第四話 信仰の人工湖
* 初出: キャラ☆メル Febri
Vol.04 (2011年1月25日発売)
* 最終更新日: 2011年8月28日、ザッカンを新規ページとしてまとめ直し 更新履歴: 2011年2月1日、TOPページにザッカンとして更新
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今回の華扇さん 今回はダム計画の不審な点を見逃さない洞察力と 守矢神社サイドの正体分析も含めた全体像についての推理力を発揮する。 企画立案・実行と現実的に信仰シェア拡大を狙う守矢神社を目の当たりにし、 信仰が増えたらいいなー、と幻想的な結果のみを願う巫女をちょっと心配する。
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ダム 地滑りの結果、土砂で水の流れが堰き止められたのは天然ダム。 魔理沙の外の世界に関する知識は、同様の物が外にはたくさんあると教える。 ダムとは、「発電・利水・治水などの目的で水をためるために、河川・渓谷などを 横切って築いた工作物とその付帯構造物の総称。堰堤。」
である。 ダムは必要か?との問いかけが本話中に見られる。 八ッ場ダムなど、近年よくあるダム建設の是非問題である。 発電、利水、治水などの利点の反面、流域や周辺環境の激変、 山間部集落の生活環境への大きな影響、そして必要性の面など諸問題がある。 信州絡みという点では元長野県知事の田中康夫による
「脱ダム宣言」
も想起される。 一方で、「ダムは観光資源になる」。 代表格は黒部ダムで、その他にも全国にいくつか知られる。 ダムの景観や観光放水を楽しんだり、周辺施設を訪れたりする。 なお、ZUN氏は2009年9月13日に宮ヶ瀬ダムを訪れた旨をTwitterでつぶやいていた。 参考 「広辞苑
第五版」(ダム) 「Wikipedia」(ダム) 「Twitter」 @korindo > 394835013
* 鯉の滝登り 鯉は黄河の竜門にある急流を遡り竜となる。 登竜門の伝承で、東方儚月抄などでも触れられている。 軽いギャグの様だが、これまでに東方で何度か話題にされ、 今回も実際に新たな人工ダムではスロープ設置など対策が練られているところを見ると、 龍も絡めて、幻想郷では重要事なのかもしれない。
* 神様図鑑 元ネタは 「ニッポン神さま図鑑」
か。 なお、本書には建御名方神が掲載されている。 ここでは諏訪上社の五穀豊穣の神さまとされ、 古事記の国譲りの話に描かれると紹介される。 また、本来は出雲に関係なく、諏訪の新来神である建御名方神と 地主神の守矢神や手長足長の神との闘争神話を 転用したものだとの説も紹介されている。 これに、冬に諏訪湖が凍結し氷脈が現れる御神渡りも記されており、 華扇も同様の内容から諏訪子らの湖の神としての正体を把握したのかもしれない。 参考 「ニッポン神さま図鑑」 宗教民俗研究所編著、祥伝社黄金文庫
* スーベニール フランス語 "souvenir"
は、記念品、記念、思い出、土産物、の意。 東方永夜抄にて、「ヴォヤージュ 1970」
の曲解説ではスーブニイル、 東方地霊殿での古明地さとりのスペルではスーヴニールと表記された。
* 洩矢諏訪子 「名存実亡の神様」 名存実亡 (めいそんじつぼう) 「名前だけが残って、実質がなくなること。」 名前は残っているが正体が明らかでなく謎の多い、 諏訪の土着神、ミシャグジさまやモレヤ神から。 坤を創造する能力、すなわち大地に関わる能力から、 メイソン
(mason:石工) も意識されているかもしれない。 参考 「四字熟語データバンク」(名存実亡)
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貴方達は湖の神 神奈子・諏訪子コンビは乾坤すなわち天地に関わる能力の神だが、 諏訪湖周辺に土着の神々や諏訪湖を挟んで存在する諏訪大社上社・下社、 そしてその間を諏訪の神が行き来する行路と言われる御神渡り、 といったところを勘案すると湖の神の性質が見えてくる。 そもそも湖も地形と降水によって形成されるため、 地と天の作用により成されているとも言える。 東方風神録事典の補遺でも触れたが、 諏訪湖は中央構造線と糸魚川・静岡構造線が交わる地である。 大地の永年かけての地殻変動に伴い、構造線のズレにより陥没地が形成され、 天から降る雨が貯留され湖を成し、また、天竜川として流れ出る。 諏訪湖の成り立ちには諸説あるが、このように 構造線のズレと湖の成り立ちを説明付ける説も有る。 また、諏訪湖の成り立ちの諸説の中には、 天竜川が堰き止められ、天然ダムの様に諏訪湖が形成されたとするものもある。 この説の場合は本編にもマッチすると思える。 参考 「大鹿村中央構造線博物館」>中央構造線ってなに? >諏訪湖での中央構造線のくいちがい 「諏訪建設事務所」>諏訪湖のあゆみ >第3章 諏訪湖の沿革 (PDF)
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一晩でダムを造ってみせる 東方風神録事典の河城にとりの項で触れた鍵引石の伝承など、 河童が一晩で池を作ったとする伝承ならあるが、 ダムのような巨大構造体を作り上げる土木・建設技術は心許ない模様。 河童の正体としての話に、名工・左甚五郎が人手不足を乗り切る為に 藁人形に命を吹き込んで使役したものが、工事後廃棄されやがて河童となった というものがあるが、このケースなら河童も建築は心配ない。 しかし、土木工事はやはり厳しいか。
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