11月22日
「封緘のエイリアン」
近畿の紅葉も見ごろと聞いて、京都をぶらりとしてきました。
午後から天気も崩れる予定で肌寒いですが、
その方が人も少しは少なかろうと出発。
まずは阪急京都線、烏丸駅下車。
南東へ2〜3分も歩けば(てきとう)、神明神社です。
祭神は天照大神。
と言っても、目当てはアマテラスではございませんよ。
拝殿
拝殿内には二本のやじりの写真が飾られています。
当社の宝物に「やじり」が二本伝わっている。
社伝によると、近衛帝の時、頭は猿、尾は蛇、手足は虎の
「鵺(ぬえ)」という怪獣が夜毎空に現れ都を騒がせた。
これを退治せよとの命を受けた源三位頼政は、神明社に祈願をこめ、
みごと怪獣を退治したその御礼に奉納した弓箭である。
当社が厄除け・火除けの神と言われるゆえんである。
この「やじり」は今でも祭礼の時に飾られる。
(「神明神社について」(境内で入手のプリント)より)
鵺退治。
源三位頼政が射落とし、従者の猪早太が止めを刺した。
本殿
さて、引き返します。
途中、元悪王子町を通るのですが、
悪王子社跡の石碑の前で
石碑に神楽笛?を吹く人を目撃。
神明神社に来る道すがらでは
そのすぐ近くの悪王子社前で同様に
笛を奏でておられたのですが、
日課だったりするのでしょうか。
荒ぶるスサノヲを鎮める音色。
阪急京都線と交差する、地下鉄烏丸線の四条駅から烏丸御池駅へ。
烏丸御池駅で地下鉄東西線に乗り換え、二条城前駅で下車。
二条城のお堀外側をぐるりと回り、二条城北側、
NHKの鉄塔との間に位置する二条公園へ。
二条公園の北側に2つの社があります。
左の社は、裏に「主一大明神」と彫られた石が祀られていたので
目的のお社ではないかな…。
こちらが、鵺大明神。
画面左手枠外には鵺池碑という石碑も立っております。
公園内には鵺池と呼ばれる池があります。
鵺を射落とした矢尻の血を洗ったのがこの地にあった池だと伝えられる。
写真の鵺池は数年前に整備されたもの。
写真に写っている案内書きは平成十七年なので、整備もその頃だと思われます。
平成十四年に発行された「妖怪ウォーカー」(村上健司著、角川書店)には
「鵺池の水はなく、ただそれらしくコンクリートで窪みがつくられているだけだが、
何もないよりはマシという感じか。」
なんて書かれています。
お次は来た道を引き返し、二条城前駅から東西線で三条京阪駅へ。
(二条城は以前に行ったことがあるのでスルーです)
三条京阪駅下車、東へ徒歩5分ほどで大将軍神社。
スサノヲを祀る、大将軍神社。
桓武天皇が平安京を造営した際、大内裏鎮護のため
四方四隅に祀られた大将軍神社のうち、東南隅の一つである。
特に平安京東のこの地は、三条口の要地にあたり
邪霊の侵入を防ぐ意を以て重要視されてきた。
このあたりに建てられた藤原兼家邸は応仁の乱で廃壊したが、
境内に東三條社として名称を留めている。
又、樹齢八〇〇年と伝える銀杏の大樹があり、
かつては鵺の森とも呼ばれ、源頼政の鵺退治の伝説を偲ばせる。
というわけで、こちらには鵺の森めあてで参詣。
手前に拝殿、奥に本社殿。って案内マップはそう書いていたけど、
手前は神楽殿、奥に拝殿と塀で、その内に本殿ですよね…。
本社殿の塀の内から生える銀杏の大樹が彩りを添える。
この大樹イコール鵺の森でいいのかな?
近付いて見上げて別角度で。
本殿と、神木用の拝殿。
すごいぜ、鵺の森。
おいでよ、ぬえの森。
京阪三条駅の方へ戻り、すぐ近くの三条駅へ。
京阪鴨東線で三条駅から出町柳駅。
出町柳で叡山電鉄に乗り換え…ギャー、なんだこの人混みは!
さすが紅葉シーズン、叡山電鉄はぎゅうぎゅうです。
終点・鞍馬駅下車。
ようこそ鞍馬へ!
すごく…大きいです…
しかし、お面と思わせて、首ですよねコレ。
というわけで、ひとまず鵺はおいといて、天狗の本場、鞍馬山です。
鞍馬寺の仁王門
鞍馬山の信仰は、尊天を本尊と仰ぐ尊天信仰。
月輪の精霊…愛、千手観世音菩薩
太陽の精霊…光、毘沙門天王
大地の霊王…力、護法魔王尊
三身を一体として尊天と称する。
(「ガイドブック 鞍馬山」より要約)
仁王門をくぐると受付所があり、拝観料を支払い入場しますが、
ガイドブックはそこで入手可能です。
まあ、わざわざ入手しなくても、
拝観料を払えば鞍馬山についてのしおりがもらえますし、
駅にはイラストマップがありますが。
門の手前には、犬ではなく虎。
阿
吽
虎は御本尊の一尊である毘沙門天の使いと言われる神獣。
毘沙門天の出現が寅の月、寅の日、寅の刻であったことから、
特に鞍馬山では大切にされる。
(「ガイドブック 鞍馬山」より)
毘沙門天の使いはムカデとされることもありますが、
ここでは信貴山と同様、虎ですね。
天狗目的だったことを思わず忘れてしまいます。
九十九折りの参道を登る道もあるのですが、
100円で楽ちん上昇のケーブルカーもあります。
さすがの混雑でけっこう待ちましたが…。(^^;
写真は、運良くケーブルカー最前の席につけたので、
軌道を仰いでパシャリ。
九十九折りの参道道中にもいろいろとあるようです。
次に来た時はそちらにチャレンジしてみよう。
ケーブルを降りると、すぐに多宝塔。
春に来ても良さそうですねぇ。
ケーブルの駅すぐ脇にある、開運毘沙門天。
多宝塔前から山道を少し行くと金堂へ昇る階段。
曇り空ということもあって、紅葉の色合いは少しくすんでますかな。
というか、落ち葉も結構な量なので、終わりかけだったのかもしれない。
右手の屋根は手水舎。
金堂
あまり混んでいないように見えますが、
画面より左に、参拝待ちの行列がありました。
それよりも、虎ですよ。
ア
ウン
昨年の法輪寺の虎と合わせて、年賀状は決まりですな。
しかし、そうなると信貴山も行きたいなぁ。
トラトラトラのオリジナル三虎で。
これより奥の院へ
山道を進み、奥の院を通って貴船側へ山を抜けます。
ご紹介はすっ飛ばしますが、
霊宝殿の仏像奉安室には国宝の毘沙門天像が安置されているそうな。
また、道中には牛若丸関連の史跡も。
僧正ヶ谷 不動堂
牛若丸が鞍馬天狗から兵法を学び剣術修業をした舞台は
このあたりであると言われる。
奥の院 魔王殿
さぁ、山道も下りメインです。
貴船川のせせらぎが聞こえてきたら、貴船神社は近い。
貴船神社
御祭神は高龗神(たかおかみのかみ)。
水の神で、祭事の中には雨乞祭や貴船の水まつりが含まれます。
参道
観光広告やガイドブックによく使われる所ですね。
拝殿
社記に、「国家安穏、万民守護のため、太古”丑の年の丑の月の丑の日の丑の刻”に、
天上より貴船山中腹、鏡岩に天降れり」とあり、又、「神武天皇の皇母・玉依姫命は、
雨風の国潤養土の徳を尊び、その源を求めて、黄船に乗り浪花より淀川、鴨川を溯り、
その川上貴船川の上流のこの地に至り、清水の湧き出づる、霊境吹井を認めて、水神を奉斎す」とある。
(「貴船神社要誌」(授与所にて入手可能)より)
おや、思わぬところで依姫が関わってきましたね。
貴船川の流れに沿って山の方へ歩を進めると、
磐長姫を祀る結社(ゆいのやしろ)などを経て
貴船神社の奥宮へと辿り着きます。
周囲は樹齢数百年クラスの杉が多量に。
奥宮
神楽殿、でいいのかな。
新しめの建物で、貴船神社要誌などの古い写真の建物とは
違う印象ですね。境内社の位置も少し変わっていそう。
奥宮の社殿
当社は古来より水ノ神として崇敬され、祭神として高龗神を祀り、
心願成就信仰としての「丑ノ刻詣」で知られている。
むかし宇治の橋姫が丑ノ刻(午前二時)詣りをして男に呪いをかけた伝説があり、
これをもとにつくられたのが謡曲「鉄輪(かなわ)」で、橋姫が頭にのせた鉄輪を置いた
鉄輪掛石が叡山電鉄・貴船口駅の傍らにある。
丑ノ刻詣りは祭神が国土豊潤のため、丑年丑月丑日丑刻に降臨されたと伝える
古事によるもので、人々のあらゆる心願成就に霊験あらたかな事を示すもので、
単にのろいにのみとどめるべきものではない。
(「謡曲史跡保存会」による境内案内書きより)
奥宮社殿の傍らには船形石があります。
竹筒がいくつも掛けられており、夜にはロウソクを灯したりするのかな。
玉依姫が乗って来た黄船を、小石を以て積み囲んだと伝えられる石組。
その昔は、この小石を持ち帰ると航海安全につながるとされたのだとか。
ささ、奥宮には別れを申し上げて、
来た坂を下り、貴船神社を過ぎて山を降り進みます。
途中でバス乗り場がありますので列に並んで…
やはり人が多かったです。バスもぎゅうぎゅう。
バスで叡山電鉄の貴船口駅に乗り付け、
叡山電鉄(やはりぎゅうぎゅう)で出町柳へ戻りました。
鉄輪掛石のことはすっかり忘れていました…(汗)
この頃からはもう雨天です。
出町柳で京阪に乗り込み、そのまま南下。
伏見稲荷大社や墨染寺の手前、鳥羽街道駅にて下車。
この駅近辺でしたら東福寺が有名ですが、
そちらはスルーして…駅から徒歩10分ほど。
月輪南陵
雨の中、マニアックなところに来てしまった。
崇徳天皇皇后聖子 月輪南陵
宮内庁管轄のようです。
さらに奥には九條陵もございます。
清浄な印象とは裏腹に、ファンタジーの刷り込みのせいか、
「王家の墓」的な、げに恐ろしき呪いのイメージもあって、ちょっと怖い。(失礼
ちょっと、それはそうと、目的地に行けないってどういうことですか!
この小道、目と鼻の先に「鵺塚」があるというのに。
剪定された生垣から頭が少し飛び出している石碑がきっとそうです。
現在の岡崎公園運動場あたりにあった鵺塚が
発掘調査で古墳時代の墳墓と判明し、
埋蔵物をここの土中に納めた、その目印の石碑です。
つまり、鵺塚。
これが拝めるはずだったのよー。鵺塚。
「妖怪ウォーカー」より。
鵺塚陵墓参考地 出土遺物埋納所
むぬぇん(無念)…