→十六夜咲夜考(よりディープ)
まずは拍手でお送り頂いたメッセージの該当部分をお示しさせて頂きます。
> 紅魔郷の咲夜考の中に、「咲夜の精神を認めた」と考えられてるようですが、 > 劇中で否定されてるっぽいです。
> 霊夢使用時の6面レミリアとの戦闘前会話に >
「やっぱり人間って役に立たないわね」「首一つ落ちてない」などというセリフがあり、 >
当時のレミリアは、咲夜を全くアテにしてなかったようです。 >
しかし、妖々夢では、咲夜を送ったら1日で春を取り戻せると確信したり、 >
永夜抄でも真実の月で咲夜を本気で心配して、一瞬だけ取り乱してたりしてます。 > 霊夢や魔理沙の影響もあるのでしょうが……
あくまで私見、個人的考察ですので、 と言うよりも最早「妄想」に分類されるおそれも強いので 予めおことわり申し上げます。 また、以下、いつもの文体(not
ですます)で書きます。ご容赦をm(_ _)m
まずは、レミリアの人間に対する捕え方を挙げる。 「人間だけよ 脳なんて単純で科学的な思考中枢が必要なのは」 「人間って楽しいわね」 「やっぱり、人間って使えないわね」 これらからは、レミリアは吸血鬼(かつ紅魔館の主)として、 自身を含むヴァンパイアと人間との間に、種族として区別の線ははっきりと設けていること、 種族としての高貴さ、長寿、再生能力、驚異的身体能力から 明らかに人間を下等種族と見ていることが見てとれる。 その明確な線引きが、妖怪退治は人間がすべきもの、と萃夢想にも現れる。
それらを踏まえると、レミリアの次に館の実権を握る十六夜咲夜が 人間であるという点は誰しも疑念を抱くところ。 妹様は幽閉の身、図書館の魔女は単なる居候、中華妖怪は門番他館外の世話係。 館内の仕事はメイド部隊が行うが、メイド部隊の長が咲夜。 掃除・洗濯・食事の世話の他にも、妖々夢の頃には暖炉の薪の心配もしていたし、 館内の仕事すべてを管轄していると言える。 それに加えて、お嬢様の傍仕えも担っている。 「下等」な人間を、高貴なる自身の館に立ち入らせ、住まうことを許し、 あまつさえ自身の世話までさせているが、 しかしながら「奴隷」的扱い(ぼろきれの様な服&倉庫のような寝所)ではなく、 高貴な紅魔館の館内で働くためのメイド服で、寝食に困っている様子もない。
つまりは、人間・十六夜咲夜がレミリアの傍に仕えるのは レミリアの特別の計らいであり、他の人間とは違う要素が咲夜にあるためと言える。 おまけ.txtをひもとくと、十六夜咲夜は 「飯さえ食えればそれでいいと思い、紅魔館でメイドをやっています」 とあり、やはり飯はちゃんと食えているんだなぁ、という点の他に、 吸血鬼の魔力で魅惑あるいは洗脳されて仕えているのではなく、 自発的に紅魔館で働き、能動的に永遠の忠誠(エターナルミーク)を誓っているという 重要な点が見えてくる。 雇用という観点では、被雇用者に労働の意思や能力が十二分にあろうが、 最終決定権は雇用者にある。 レミリアは、自ら咲夜を世話役に選んだのである。
では、どのような要素が咲夜に考えられるだろうか。 下等な種族であるが、是非ともそばに置きたいと思わせるもの。 それは、使える者か、それとも愛でたい者か、どちらかである。 前者は、能力という視点で、メイド・護衛・露払い的な役割を買ってのこと。 後者は、魅力という観点で、鑑賞・寵愛、ともすれば恋愛? ここで私は「咲夜の精神」を気に入ったためそばに置いた、後者の要素からが強いのでは、と考える。 能力的には、メイド隊も人海戦術で効率良く回るし、 それらを纏める力や、護衛としての力も、人間に限らず妖怪に手を回せば良いし、 時を操る咲夜の能力を、長寿のレミリアが利用したがってのことでもないと思うため。 人間の寿命は短いため、そのポストが重要であるならば すぐにまた後任を探さなければならないという煩雑さも発生する。 基本的に、ちょっとの煩わしさを除けば護衛は不必要だし、 館の世話はメイド部隊で何とかできるとも思われる。 となると、やはり、レミリアが咲夜を「気に入った」ため傍に置いたのではないだろうか。
この「気に入る」要素に容姿は含まれない。 人間の寿命は短く、吸血鬼から見ればあっという間に変化してしまうためだ。 本当に容姿が気に入って人形のように保存し愛したいならば 「その永遠の忠誠が本物ならば、貴方の時を永久に止めて私の人形となりなさい」とか言えば済む。 そこで、容姿でも能力でも無く、人間離れした精神なのではないかと考える。 しかし、変わり者ばかりの幻想郷の中で見出される精神となると、 公表されているストーリーではつながらない。 そこを補完するのが、咲夜=ジャック(少なくとも殺人)の妄想。 人々に疎まれ、殺人を経てもなお、レミリアの目にとまる何かがあった?
頂いたコメントに戻りますが、 「やっぱり、人間って使えないわね」 このセリフは、人間の戦闘能力面についてのことと思っています。 吸血鬼の護衛役、露払いとしては不足、と。 しかし、仕事面では 「咲夜は優秀な掃除係 おかげで、首一つ落ちてないわ」 と評価する言葉も残します。 しかし、先にも述べた通り、掃除だけならメイド部隊でも他の妖怪でも (時間操作を駆使する咲夜に比べれば効率は落ちますが)こなせる仕事で、 これらの面ではないところが理由で咲夜を置いているのかな、という印象です。
ここからさらに妄想です(^-^;
咲夜を気に入り、傍仕えを続けさせる日々。 まだ未熟な面も多々見られた仕事面でも熟達し、 実質的な仕事以外にも、メイドとしての気構え・気遣いが行き届くようになり メイド長として板についてきた。 しかし反面、メイドとしての枠に収まるために人間性の一部が削られ、 また、お嬢様の食糧供給のため陰惨な仕事も繰り返すあまり、 咲夜本人に自覚は無いが、レミリアが見出した精神の美も含め、 その精神自体が崩壊の兆しを見せ始める。 人間の境界を越えようとしたのか、狂気に飲み込まれかけたのか… この頃には、レミリアにも咲夜の精神がどうこう言うよりも 咲夜に対して情が移っており、咲夜が永く人間としての咲夜であることを望む。 でも、一体どうすれば咲夜を解き放てるのだろう? 幸福がどのようにすればもたらされるのか、 それはどのような魔道書にも知識にも集約されておらず、 高等な思考中枢をもってしてもたどり着けない道である。 だが、すでにレミリアは知っている。 自身がその能力を行使し、咲夜が幸福たる「運命」も思いのままとできるのだ。 例え、自身が退治・調伏される屈辱的な運命であったとしても、 それは咲夜のための運命なのだから…
…妄想全開ですね(^^;
コメントで頂いた文で、 > 妖々夢では、咲夜を送ったら1日で春を取り戻せると確信したり、 >
永夜抄でも真実の月で咲夜を本気で心配して、一瞬だけ取り乱してたりしてます。 これらは咲夜に対する情が表に出たものだと思っています。 そして、 >
霊夢や魔理沙の影響もあるのでしょうが…… 霊夢や魔理沙との出会いは、レミリアの運命操作の結果であった、と。 運命操作の能力があるのに、レミリアが負けるのはどう考えても変!と 思う人もおそらく多いと思いますが、 それはレミリアが自身が負けることよりも優先した何かがあったためで、 単に咲夜のガス抜きだった、というのが私の妄想です。 特に必要と言うわけでもない霧を出したのは、 そうすることが目的の結果に辿り着く運命のルートだったから…。 結果、レミリアは撃破されるが、それを担った人物は紅魔館とのつながりを断つことはしなかった。 魔理沙は図書館に忍び込み、館内を管理する咲夜と関わる。 レミリアが神社に出掛けるのに随伴するため、霊夢とも交友を深める。 (霊夢EDでは、まずはレミリア単独で訪れ、咲夜を伴う下地作りとした?) それらの影響が新鮮な風を吹き込み、咲夜は変わる。 広く幻想郷を巡り、季節に触れ、人妖に触れ、異変に触れ、世界に触れ、 また新たな繋がりを次々とつむいでゆく。 咲夜は変化した。 それは、紅霧異変の運命を操作する前のレミリアにとって良い方向ではなく、 咲夜にとってこそ良い方向に変化したものだが、 果たして、今のレミリアにとってそれが良い方向ではないと言えるだろうか。 紅霧異変後、レミリアも変わった。 今の運命は、レミリアにとっても咲夜にとっても幸福な方向だったのでは、とも思える。 霊夢や魔理沙の影響から咲夜もレミリアも変わり、 それが妖々夢や永夜抄に見られる、ご指摘の描写につながっているのでしょう。
なんて、 へんてこな妄想にお付き合いくださりありがとうございましたm(_
_)m 相変わらずまとまらないまま長々とすみません。 長いのと、妄想臭が強すぎるので、補遺には含めていなかった部分です。 今後も事典にまで含めることは考えておりません。(^^; 運命操作能力うんぬんは、 レミリア初出の紅魔郷でその能力をまったく行使しないのはおかしいと思い 考えてみたものです。 これを考えていたので、十六夜咲夜考ではちょっと唐突でしたが 最初からレミリアが十六夜咲夜を認めていた線を挙げたのでした。 |