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東方求聞史紀つまみぐい

 初回更新: 2007.07.05

 

3月6日

さてまぁ、コンテンツの更新が無い代わりと言っては何ですが、
まったく関連せずにひとりごちてみます、東方求聞史紀。
今のところは幻想郷マップや事典の一部(「色と空の境界」)で
触れた程度でしょうか。
求聞史紀、あれだけの情報量・設定量に関わらず、
解釈の自由度が高いというのがすごいですよね。
普通、あれだけ情報がもたらされれば1つのイメージに収束するか
あるいは収拾がつかず散逸するかといった感じですが、
世界観を損ねずに、自由に解釈も出来るという一品。
 
以前の拍手メッセージで、当時は求聞史紀が出たばかりということで
伏せさせて頂いた部分があるのですが、こちらはアリスに関してでした。
これも多様に解釈(既に方々で種々なされていると思いますが)可能ですね。
いやまぁ、私は何も考えてないので、何も表明はありませんが、
 これがアリスの設定であると受け入れる、
 阿求は魔界を知らないんだよと棄却する、
 神が創ったんだから人間と言っても過言でないと判断する、
 アリスか誰かの検閲で魔界関連はNGになったものと考える、
などなど多様に扱えるということです。
 
1.もとが阿求の視点だから、
2.人妖たちの検閲がいろいろ入っている可能性があるから、
という前提が、解釈の自由度の高さの大きな要因ですね。
各話題についての取捨選択、その組合せの数が膨大です。
「霧の湖で釣りをしている人間が居るとは思わなかった」(P10)と書きつつ
霧の湖の紹介では「多くの太公望達が釣りに出掛けるのである」(P139)
とあり、阿求だけをとってみても油断ならないかもしれません。
基本は幻想郷の人間向けの出版ということで
情報を誇張(これは独白にも明示されていますが)したり
情報を制限したりすることもあるようですね。
花の異変の原因が花映塚作中と異なるのは
阿求が情報を制限したとも解釈できます。
(ZUN氏の設定変更とも解釈できます)
 
いやはや、いろいろですね。(?)
つづく……かどうか未定

 

 

3月9日

以前にこの欄で触れたことですが、
今年注目はなんたって「月」です。
日本のセレーネ(SELENE)は2007年夏打ち上げ予定ですね。
セレーネは月周回探査機です。
セレーネによりもたらされると期待される種々のデータは、
現在複数唱えられている月の起源説に決着をつけるとも言われています。
月周回衛星「SELENE」(JAXA・宇宙航空研究開発機構)
現在、小惑星探査機「はやぶさ」が苦境に立っていますが、
セレーネは万事順調に運ぶことを祈っております。

「月の記憶」、これは萃夢想・パチュリーストーリーの八雲紫戦タイトルですが
著しく難解ですよね、これ。
求聞史紀で「幻想月面戦争騒動」が提示され、
ようやく紫と月の関係が少し補強された様で、でもやはり謎で。
まぁ、紫関連は後回し…(ぇ
 
月世界の文明は異様に進んでいるそうで。
三月精にもあったように「醜い縄張り争いなんて無い」と思っていたので
バルカン砲、プランク爆弾、月面戦車などの兵器の存在は予想外でした。
まぁ、求聞史紀にも「月の都の意外な一面」とあるので
通常思い浮かべるような目的とは異なる産物かもしれませんが。
永琳の項では医術も進んでいることが窺え、
最近の香霖堂(未読なので東方Wikiの香霖堂の項を参照しました)では
その一端が垣間見れるようです。
「霖之助が見た事もない器具を使い、体の中を写真に写したり」ってのは
簡単なところではX線(レントゲン)でしょうか。
複雑なところではCTとかPETとか。
蓬莱人なら放射線も平気なんでしょうけど、
一般人が永遠亭に近づくのは危険なのでは…?(^^;;
まぁ、放射性物質を剥き出しで置いてはいないでしょうけどね。
永琳なら宇宙を弄る要領で異空間に保管していてもおかしくはないですし。
「駄目になった体の一部を正常な物と取り替える技術」の方は
明らかに現代の我々の医療よりも進んだレベルですね。
移植医療ならまだしも、再生医療は意欲的に基礎研究が
進められている段階ですし、実現はまだまだ未来の話ですね。
予め取り出した幹細胞をブタとかに移植し、分化誘導かけつつ培養する、
というシステムは、手法さえ確立されれば一番現実的でしょうか。
近年のSFでも散見されますが、このシステムはもちろん
望みの組織を培養する分だけ時間を要するため、
急な病気や怪我に対して即時的に一から対応はできないわけで。
となると、永琳の技術は例えば患者の幹細胞を迅速に採取し
(あるいはゲノム情報から?)神秘の促進培養であっという間に
望みの組織を手に入れるといったもの…あ、ここで輝夜の能力!?
細胞レベルから組織レベルまで増殖するのにかかる培養時間を須臾に。
あるいは任意の組織ストックから移植して、
拒絶反応は神秘の免疫抑制剤で抑えるとか。
う〜ん、いずれにしても進んでますなぁ、月の医術。
 
プランク爆弾は何でしょうな。
最小単位で空間の基底から破壊するような強力兵器なのかしらん?
ほら、原子爆弾→水素爆弾(水素=陽子+電子)→光子魚雷・量子魚雷
って風に、強力になるほど名前はちっこくなるでしょう、兵器って。
プランク長とか、物理学の基本単位で最小サイズ。
これを凌ぐのはゼロ?
そういや「ぼくらは虚空に夜を見る」にヌル爆雷(null=ドイツ語のゼロ)
ってのがあった。どうでもいいですが。
プランク爆弾がどんなものかって事よりも
何故地上人の名が付いているかの方が不思議かも(^^;; (単に地上語訳?)

彷徨える独り言…何がしたいのか自分でも分からないまま
つづく……かも。

 

 

4月25日

ひさびさに、昔の「つづく」を引っ張り出してみる。
3月6日とか9日とか、そのへんより。
求聞史紀からごく一部をキーワードにへろへろ書くやつです。
特に、「紫関連は後回し」とか書いていましたし。

取り出だしたるは「紫=メリー」説。
と言っても、単に題材として。
私がこれを信じているとか強く唱えるとかではありません。
「紫の夢」説や「偶然シンクロ」説、あるいは「完全にそれぞれ独立」説の
いずれでも良いのですが、ここでは「紫=メリー」説に着目してみます。
考えを巡らせる遊びとして。

紫=メリーが唱えられる場合、
その成り立ちの中でポピュラーなものは以下の様です。
1.メリーの能力が何らかのきっかけで、あるいは自然にレベルアップ。
 境界を操る能力を手に入れる。
2.時空を越え、過去にタイムトラベル。
 紫は幽々子(生前)を知っていること、及び求聞史紀の記述から
 1000年以上前とされる場合が多い。
3.人間と妖怪の境界を越える。
これらの三条件(順不同)を満たす、すなわち、
能力の進化、過去に出没、妖怪化の3つが揃って
メリーが紫となる最小限を備えるわけですね。
これらが偶然起こる、または、メリーの意思が介在する、
このあたりの話作りは二次創作者の腕次第ですが、
3つも出来事や原因などを考えなければならないのは
なかなか骨が折れます。
しかも、上記三条件だけでは不足で、なお可逆性が残されます。
偶然にせよ意図的にせよメリーが紫となったとしても、
境界を操れますから、その気になれば
元の時代に戻り、人間に戻れるわけです。
メリー(紫)にその気を起こさせないための理由付けも
時には求められるかもしれません。更に骨が折れます。

前フリが長くなりましたが、これら3〜4のハードルを
一気に飛び越えてしまいたいなぁ、と面倒くさがりの私は思うわけです。
まず、メリーの能力進化は自然に起こったとしましょう。
「夢違〜〜」でその兆候はありますし、
さらに境界越えを繰り返せば熟練度が上がる寸法で。
きっかけはまぁ、単に遊び心でも蓮子との些細なケンカでも
あるいは世界をリセットしたくなるほどの深く冥い絶望でも
何でもいいのですが、要は何か1つのきっかけである境界を弄ります。
「虚と実の境界」
虚言と実話の反転。虚構と現実の置換。
すなわち、幻想郷はその歴史も含め全てが元々はメリーの創作で、
それが何らかのきっかけでメリーが現実化してしまった、とする考え。
紫という妖怪は、もちろんその能力柄、メリーが自己を投影したもので、
1000年以上前から記録に残るとか諸々の設定と共にあったもの。
(幻想郷の歴史どころか、過去の幻想郷の事実すらも、そういうメリー設定)
その性質から、虚と実の境界を弄った時にメリーは紫となる。
紫の設定には、蓮子をはじめとする色々なメリーの思い出があるはずもなく、
従って、メリーは虚と実の境界を弄った瞬間に記憶が上書きされてしまう。
これで元の世界に戻ろうなんて気は起こるはずも無く、
不可逆性が成り立ちます。あぁ、悲劇。
「夢違〜〜」は、想像していた世界を具現化する兆候が昔からあったのか、
メリーの創造世界にシンクロした過去のメリーが彷徨いこんだだけなのか、
とかぼかしてストーリーを作ると面白いかも。
「竹林のメモ」は、前者ならメリーの無意識の後付け創造、
後者なら空間的なものにとどまらず時間的な幻想郷も
創造世界である裏付けであるとかでっちあげられますね。

まぁ、夢オチに毛が生えた程度の思考遊びです。(^-^;

それにしても、紫の監査が漫画版求聞史紀で大きく描かれた割に
「幻想月面戦争騒動」なんて自身の敗戦記録が残されている胡散臭さ。
妖怪の広告塔としての役割を阿求自身もやむなしとしている以上は
嘘も書き放題であるにも関わらず、あの記述。
しかも、「虚と実の境界」なので。
通常の記事なら、嘘かな、ホントかな、と二択なのに
嘘を本当化したのかな、と第三の選択肢が生じる始末。
月に勝利しても月を支配したいとかそういうことはないので
別に敗戦でも問題無く、とにかく月に攻め入れる程度には強い
(幻想郷では最強クラス)という箔が欲しい。
しかし、勝つにしても負けるにしても面倒くさいじゃないか、
って時に素敵なほどラクチンで最適な能力の行使の仕方なのですよ。
まぁ、事実化した嘘に巻き込まれて何体かの妖怪は消滅したかもですが。
というわけで、求聞史紀を通して紫の胡散臭さは
私の中では著しく増強されたのでした。

と、お気付きの方が大半と思いますが、
「虚と実の境界」で虚言と実話を弄れるというのは二次設定です。
でも、なかなか便利。
使いすぎると虚しいだけなのでバランス取って敗戦の記録なのかな?
軽いことには使い勝手が良いです。
 霊夢 「今日も今日とて普段通り。賽銭箱は音沙汰無しね。」
  紫  「あら霊夢。相変わらずね。でも、貴女の目は節穴かしら。」
 霊夢 「不死人よりは変化に富んでいるつもりよ。
      で、何が見えてないって言いたいのかしら。」
  紫  「音が無いのはその通りよ。一円札ですもの。箱の隅に一枚。」
 霊夢 「貴女の目は箱の中にあるの?それにさっき見た時……あれ?」
  紫  「箱の中に目があるのは当たり前じゃない。相変わらずね。」

 

 

4月25日

あれですな。
半分眠ってる頭でろくに推敲もせずに
文章投下してちゃいけませんな。(^-^;;
反省反省。

 

 

5月6日

藤木稟のデビュー作 「陀吉尼の紡ぐ糸」、
次作 「ハーメルンに哭く笛」を読みました。
どちらも東方関連ワードはかなり少なく、
前者は陀吉尼と神隠し、後者はほとんど関連無しでした。
お狐さまと神隠しも珍しい結びつきではないので
藍&紫の元ネタとまでは言えません。
それよりは「ハーメルン〜〜」で明かされた
探偵・朱雀と秘書・後木の設定の方が関連しそうです。
 「朱雀家は一代目からずっと番号順の名前をつけるのが
  習わしらしいのです。なんでも御先祖の朱雀一という人が
  そう遺言したということです」

「ハーメルン〜〜」中では、盲目の天才探偵・朱雀十五の
祖父が十三、そして初代が一であることが明かされ、
後の作品では父の名が十四であると明らかになります。
また、「ハーメルン〜〜」中で朱雀の秘書である後木は
直観像という能力を持つことも明かされます。
 「直観像というのは、(中略)一度見たものの全てが、
  あたかも写真に焼きついた像のように頭の中に貯蔵されてしまう。
  例えば、細密な地図を見たとしよう。一年たとうが、十年たとうが、
  直観像の持ち主はその地図を思い出し、一つの間違いもなく
  図として再現することが可能なんだ。」

すなわち、一度見た物を忘れない程度の能力。
稗田阿求の元ネタはもちろん稗田阿礼ですが、
番号順の名前や、能力が「目」に限定されているのは
ひょっとしたら朱雀十五とその秘書が
元ネタとなっているのかもしれません。

 

 

5月8日

(東方求聞史紀159頁と共にどうぞ。)
 
そういえば、もうすぐ京都三大祭のひとつ、葵祭ですね。
賀茂祭とも呼ばれ、上賀茂神社(賀茂別雷神社)と
下鴨神社(賀茂御祖神社)の例祭です。
葵祭に先立って、下鴨神社では御蔭祭(みかげまつり)、
上賀茂神社では御阿礼神事(みあれじんじ)が執り行われます。
その名の通り、稗田阿求の「御阿礼神事」の元ネタと思われます。
実際の御阿礼神事は秘儀であり非公開です。
一方、下鴨神社の御蔭祭は一般にも公開されていそうです。
(下鴨神社歳時記より「御蔭祭」参照)
御蔭山より本社へと神霊を迎える神事とされます。
この御蔭祭ですが、明治以前の旧祭式のころの呼び名が
御生神事(みあれしんじ)なのです。
また、神霊の出現の縁となる榊の木などを指して
阿礼(あれ)という語がありますが、
これは動詞「ある(生)」からの変化と考えられているようです。
幻想郷の御阿礼神事は御阿礼の子が生まれることを祝うわけですから、
なかなか凝った設定ですね。
ちなみに、賀茂祭の祭主が阿礼男、
賀茂神社(上賀茂・下鴨の総称)の斎院の異称が阿礼少女(あれおとめ)、
でございます。

 

 

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