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永琳のスペカ背景とあれこれ

 初回更新: 2007.07.05

 

4月5日

門板の非公式設定スレ9で少し前(799〜あたり)に
永琳スペカ背景関連の話題があったので、少々…。
永琳スペカ背景が「上下反転した西行妖(?)」であることは
ほんのひなんじょ様の東方私見で早くから指摘がなされていますが、
改めて…(クリックで拡大)

右が永琳スペカ背景で、上下反転&縮小しています。
上下反転というのは、ちょうど月が水面に映る
その虚像と実像の関係と同じです。
上の虚像と実像は実に良く似ています。
枝ぶりがわずかに異なるのは、画像を加工する際に
選択範囲をあまり厳密に取らなかったものなのでしょう。たぶん。
 
幽々子スペカ背景は西行妖とは限りませんが、
幽々子の背景に象徴的に据えられるならば
満開の桜か西行妖かといったところでしょうし、
まぁ、西行妖でしょう。
西行妖は人を死に誘います。これは求聞史紀に記述されますが、
妖々夢のテキストにも(明言はされていませんが)そう解釈出来る
記述があります。
永琳の背景の樹木はその天地逆転です。
そして、永琳のスペルには生命遊戯や蘇活、
物語のキーワードとなる蓬莱の薬があります。
西行妖の死に対して、生命あるいは不死が見出されます。
 
さて、東方の物語中には具体的に何の樹木であるか、
といった言明はありません。
しかしながら、月には「桂」が生えていると中国の伝承があります。
「呉剛伐桂」。
呉剛が桂を切り倒そうと斧を振るいますが、
桂の木は傷ついても速やかに再生してしまうため
呉剛は永遠に木と格闘しているのです。
これがすなわち不死の樹。
 
また、上図では永琳スペカ背景の方を縮小していますが、
樹木に着目すれば永琳の方が樹木自体は拡大されています。
空を覆い尽くさんばかりに巨大な樹木ということで
世界樹・ユグドラシルも連想されます。
ユグドラシルもまた、傷つけられても
ノルンの魔法の薬草で再生し続けるとか、
ラグナロクで全てが滅んでもこの大樹だけは存在し続けるとか
言われています。
 
ちなみに、桂は中国でモクセイ(木犀)属の植物を指すようで、
日本で一般的に言うカツラ(桂)とは異なります。
ユグドラシルはトネリコの樹とされますが、
モクセイ属もトネリコ属も同じモクセイ科の植物です。
この2つに限らず、生命の樹(セフィロトの樹)でもいいかもしれませんし
それらをいずれも兼ねていると見ることもできますね。

(つづく?)

 

 

4月7日

前回のStage1ひとりごとに書き忘れたことが。
妖魔夜行。
ライトノベルの妖魔夜行シリーズ、
そのサブタイトルの一つに「鳩は夜に飛ぶ」があります。
「夜の鳩山を飛ぶ」は
夜の鳩山(地名)を飛ぶ and/or 夜の鳩、山を飛ぶ?

さて、先日(4月5日)の続きをば。
前回は世界樹・ユグドラシルに触れましたが、
その関連、世界軸(アクシス・ムンディ)=世界の中心に生える木
について引用を介しつつご紹介。
 スカンジナビアの伝説によるとね、イグドラシルには智恵と
 不老不死の生命を与える力がある。
(中略)
 イグドラシルにはニードヘッグという巨大な蛇が住んでいて、
 枝の一番上に住む鷲(わし)と敵対している。この鷲と蛇は
 互いに太陽と月の原理を表しているというよ。
(中略)
 鷲と蛇の「終わり無き戦い」は、コズモスの「終わり無き再生」を
 象徴しているんだ。古来から、蛇や蛙や蟹は月、
 鷲や獅子や烏は太陽と関係づけられる。

智恵と不老不死を具える永琳のスペル背景には大樹。
その周りで繰り広げられる「終わり無き戦い」と言えば
輝夜と妹紅の関係が思い起こされます。
 (螺旋階段が象徴するのは)蛇ではないよ。龍だ。
 しかし同義的だね。龍は蛇から進化した聖獣だからね。
 屋根のはおそらく鳳凰だ。鳳凰は中国では太陽を表す鳥だ。
輝夜=龍と見立てられるのは、スペル背景である慈聖宮の龍や
龍料理、籠目(竹に隠れた龍は『籠』、姫を秘匿するシンデレラケージ)、
そして蛇と龍が同義的であればニードヘッグにも見立てられます。
ついでに、龍が自分の尾を銜えればウロボロス、永遠。
妹紅もまた、鳳凰が太陽を表すことから太陽と関連する
鷲(フレスベルク)にも見立てることが出来ます。
 さてそこでだね、世界軸(アクシス・ムンディ)は
 聖書にも登場してくる。
(中略)
 「神はエデンの園の中央には、命の木と善悪の知識の木を
 生えいでさせられた」――創世記二・九にある記述だ。
 次に園に住む蛇に騙されたイブとアダムは智恵の木から
 禁じられた実を食べてしまい、哀れにも、神によって
 楽園を追放されてしまう。

前回の最後に仄めかした命の木です。
善悪の知識の木とセットで、智恵と不老不死の実をもたらします。
一方、アダムとイブは楽園を追放され、蛇は地を這うよう定められます。
ここでも蛇が現れますが、先と同様にこれを輝夜の見立てと見ると
どうなるでしょうか。
月の禁を犯した(犯させた)という大罪のため地上に落とされ、
以来「地上に這いつくばって暮らす」こととなった輝夜に
符合するとも考えられます。
妹紅は、輝夜ら月人の様に蓬莱の薬を禁じられていませんでしたし、
そそのかされて服用したわけでもありません。設定テキストからは
むしろ中身や効能を知らずに手を出したと思われます。
人間の範疇を越え、人間社会から外れはしましたが、
禁を犯した訳ではなく、ただ「最大の大罪の犠牲者」であるのでしょう。
 
輝夜の最大の見立ては「竹取物語」ですが、
罪を犯したため地上に落とされたかぐや姫との符合、
何より月には不死の樹木・桂が生えますから
輝夜・永琳は上述の「世界軸」2種に上手くリンクするという具合です。
世界軸が相手なのですから、敵は強大で
二人掛かりにもなるわけです。
 
上記引用(太字)はいずれも藤木稟「黄泉津比良坂、暗夜行路」より。
月時計(ルナダイアル)のネタ元の小説です。

 

 

拍手メッセージ、ありがとうございます〜m(_ _)m

(16日2時)
> 世界樹ユグドラシルの解釈面白いですね。
> 個人的には月の桂の方が可能性が高い気がしますが。
> 確かにニドヘグとフレスベルクの対立軸も符合しますね。
> ただフレスベルクには死のイメージがあって
> (語源もそんな感じ)、鳳凰と親近性は余り感じられない気がします。
> むしろフレスベルクの頭に留まっているという鷹(とも雄鶏とも)
> ヴィゾルフェルニルの方が近いような。
> そういえばニドヘグとフレスベルクの反目を煽っている
> ラタトスクという栗鼠がいるらしいのですが、
> 当て嵌めるとしたら…、兎?

御粗末様でした。(^-^)
仰る通り、ユグドラシル伝説周辺に更に(というより少しでも)
踏み込むだけであっさりと不具合を生じます。(^^;;
「黄泉津比良坂〜〜」中の表現から外へは踏み出せないという欠点。

 

 

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