→東方ラスボスのはなし
初回更新: 2007.07.05 最終更新: 2009.02.07 (風神録、地霊殿追加)
2007年5月6日
「黄泉津比良坂」にて印象的に用いられていたこともあり、 ゲーテの「ファウスト」(池内紀訳、集英社刊)を読みました。 「悪魔」、「錬金術」、「四精霊」、「時よ、とどまれ、おまえはじつに美しい」 と、パチュリー・咲夜・レミリアに関連しそうなキーワードに魅せられて 一読してみましたが、この線はこれ以上深まりませんでした。う〜ん。 そういえば、第二部前半に描かれる多種多様な神話の神々の中に 「時の神
ホーライ」がいらっしゃいました。 ギリシャ神話の三女神で、単数形はホーラー(Hora)、 時あるいは季節の女神で英語の「hour」の語源だそうです。 時にモイライやカリテスとともに9人の女神で輪舞を踊るそうです。 (「幻想世界神話辞典」様の「ホーライ」の項より) モイライは運命の女神、 カリテスは美と優雅の女神、 そしてホーライは時の女神。 ひえぇ〜、ひょっとして レミリア(運命)、幽々子(幽雅)、輝夜(蓬莱、永遠と須臾)の いわゆる三部作ラスボスに ギリシャ神話の女神も組み込まれてるんですか〜!? ほとほと感服ですよ。
2007年5月8日
拍手メッセージ、ありがとうございます〜m(_ _)m
(7日3時) > 「ホーライ=蓬莱」これは凄い! >
ホーライ達が正義・平和・秩序っていうのは > てるよさまと比べていささかアレな気がしますが、 >
そんな細部はほっといて、 > 三部作が運命・美・時の何れも三人の女神が >
組み込まれているとしたら、大変面白い趣向だと思います。 > 余談ですが、エンデの『モモ』に出てくる >
マイスター・ホラもこの時を表すラテン語と関連があるそうです。 > ふと思いついたので書いてみます。 >
ギリシア神話で3つ一組のもの、 > 支配者・強い女・翼の「恐ろしき者」ゴルゴーン=紅魔Ex。 >
休まない女・破壊・妬む女の「復讐の三女神」エリニュス=永夜Ex >
なんてどうでしょ。あ、妖々夢がうまくいかないですね。残念。 > 「略奪する女」ハーピーも三羽一組なんですが、 >
これは当てはまりませんね。 > 辻に現れる三頭の夜と魔術の女王ヘカテーを持ってきても >
イマイチですね。ああ…… ありがとうございます。(^-^) 三位一体の要素、他にもいくつかあるのですね。 いやはや、ホーライを初めて目にした時は何の冗談かと思っちゃった位 私はギリシア神話に明るくないので、たいへん参考になります。 仰るようにホーライも一神ごとに分けて考えるとちょっと合わなくなりますね。 着目されているように、三位一体が重要なのかもしれません。 目立つところでは、妖々夢の自機、プリズムリバー三姉妹、橙・藍・紫、 慧音のファーストピラミッド、(輝夜背景の三清)、といったところでしょうか。 橙・藍・紫は既に調和を形成しているために、 新たに三位一体の見立てを必要としないのかもしれません。 逆に、ラスボスは大所帯だったり(紅魔館・永遠亭)、 三に満たなかったり(白玉楼)しても強大な力を誇るのは 三位一体の見立てがあるから、って何だかいつもの暴走風味な妄想に… あぁ、となるとフランや妹紅には三位一体の見立てが必須に… というわけで、ゴルゴーン&エリニュスを頂きます。(ぉ
総括1 (2007年7月5日)
貴重な拍手メッセージのお蔭もあり、 その後少し上記の考えを進めてみたので記します。
調和、神聖の意味などしばしば特別視される「3」ですが、 三位一体の要素は上にもご紹介したとおり東方でもいくつか見受けられます。 上の他には光の三原色や三種の神器、三国に渡り妖異をなすが、 などもそうですね。 本編以外でしたら、東方三月精は単独で3を内包しますし、 東方文花帖(音楽&体験版CD)・東方花映塚・東方紫香花で花映三部作?、 幺樂団の歴史・東方求聞史紀(漫画)・東方求聞史紀で阿求三部作?、 東方香霖堂は霖之助・霊夢・魔理沙で調和?、 三誌同時展開の東方儚月抄、ですね。(強引)
さて、三女神三組と三部作ラスボスの件ですが、 あれから少し考えてみまして、ひょっとしたら このラスボスに三位一体を見立てる事は 三部作以降も続いてきているのではないかと思い始めました。 おそらくは三部作構想を最初から練っておられたとするZUN氏の どこかでの発言もありますし、三部作で三位一体を三つ織り込むのは 最初から構想があったものとも推測されます。 これは上にも記したようにモイライ・カリテス・ホーライが輪舞を踊ることで 既に調和が完成している非常に美しい見立てです。 この構成からさらに三位一体をラスボスに当て嵌める点だけは 引き継がれていっているかもしれないな〜という発想です。
といっても、三部作以外は閻魔様と、現時点では不明な風神録ラスボス しか該当無しですけどね。
四季映姫・ヤマザナドゥには「復讐の三女神」エリニュスを。 復讐というよりも、エリニュスが、主に血族間の争いで不正をはたらく者や 公正な裁きを逃れようとする者を粛正すると言われる点に注目しました。 風神録ラスボスは「蛇の抜け殻」からゴルゴーンを。
それぞれについて述べますと…
レミリア・スカーレット =運命 →モイライ(Moirae) ギリシア神話の運命の三女神。 主神ゼウスと秩序・正義の女神テミスとの間に生まれた。 あるいは、夜の女神ニュクスの娘とも言われる。 運命の糸を紡ぐクロートー(クローソー)、 運命の糸を手繰るラケシス(ラキシス)、 運命の糸を断ち切るアトロポス。 人の運命・寿命を定めるとされる。
西行寺
幽々子 =幽雅 →カリテス(Charites) ギリシア神話の美と優雅を司る神。典雅の女神。 一般的には、ゼウスとエウリュノメの娘たち、 光輝のアグライエ、歓喜のエウプロシュネ、花の盛りのタレイアの 「三美神」が知られる。 神々の宴で演舞し、肉体的な美しさを表すだけでなく 精神的にも優美を与えたとされる。
蓬莱山
輝夜 =蓬莱、時 →ホーライ(Horai) ギリシア神話の時と季節の三女神。 ゼウスとテミスの娘とされる。 ホーライは「正しき時」の意、英語の
"Hour"
の語源。 一説には秩序のエウノミア、正義のディケ、平和のエイレネ。 季節を司る事から、植物や花の生長の守護を、 また、人間社会の秩序を司るとされた。
八意
永琳 =月、弓 →月神 ギリシア神話の月の女神セレネ、 ギリシア神話の狩猟と純潔を司る女神アルテミス、 ギリシア神話の夜と魔術の女神ヘカテ(あるいは呪術と子育てを司る)。 これら三女神は混交され、月夜の女神として アルテミスの姿の内に統合される面もある。
四季映姫・ヤマザナドゥ =裁き →エリニュス(Erinyes) ギリシア神話の復讐の女神。 「善意のもの達」という異名を持つ。 アレクト、ティシポネ、メガイラの三神。 母親に対する侮辱、暴行、若者の老人に対する無礼、 主人の客人に対する非礼、権力者の嘆願者に対する横柄な態度など に対する復讐を司り、罪を犯した者を追跡し、情け容赦無く罰するとされた。
総括2 (2009年2月6日)
地霊殿までリリースされましたが、 さらに東方ラスボス考の三位一体説を補強できそうなので追記します。
八坂神奈子 =蛇 →ゴルゴン(Gorgon) ギリシア神話の魔物。 「恐ろしいもの」の意。 海神の娘とされる。 ステンノー、エウリュアレー、メデューサの三姉妹。 頭には無数の蛇がうごめき、その眼は見る者を石に変える。 ゴルゴンの首はしばしば魔除けに用いられた。
霊烏路空 =鳥 →ハルピュイア(Harpies) ギリシア神話の魔物。 「掠める女」の意。 老婆の顔と鷲の爪をもつ怪鳥。 アエロ、オキュペテ、ケライノの三姉妹。 黄泉の国の王・ハデスまたはゼウスの手下である。 ダンテの「神曲」地獄篇にも登場する。
参考 「Wikipedia」 「Dictionary
of Pandaemonium」 「幻想世界神話辞典」 「神魔精妖名辞典」 「世界神話伝説事典」 「泉獺の神々の辞典」
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