「東方儚月抄 〜Silent Sinner in Blue.」
第十三話 『月面の美しさ』

 
あらすじ

  依姫とレミリアたちの対峙。
  神の力を臨機応変に行使する依姫は
  咲夜の捕縛の解除とレミリアたち全員の捕縛をソツなくこなす。
  次第に事態は穏やかではなくなり、大事に至りつつある。
  その前に、魔理沙はスペルカード戦での遊びを提案する。


誌上情報

  表紙    《特別付録》 東方儚月抄 Silent Sinner in Blue. 特製CDジャケット!!
  背表紙   《特別付録》 『東方儚月抄 〜Silent Sinner in Blue.』特製CDジャケット!
  扉アオリ  単行本上巻大好評御礼!再々度増刷中!!
  柱アオリ  不敵な笑みを浮かべる両雄…。
         いざ、尋常に勝負!!
  あらすじ等 あらすじ、人物紹介あり


タイムライン

  (月面)
   前話と同日。


セリフ解説

 ・…八意様の言っていたとおりね
 
  情報公開その1。
  永琳と依姫が少なくとも一度以上の接触を持ったことを推測させる。
  (実際は、永琳から依姫に一通の手紙が送られた。)

 

 ・気がつくと桃に手を伸ばしている お姉様ほどじゃないと思うけどね
 
  情報公開その2。
  姉の存在(ついでに、桃好き)が示される。

 

 ・愛宕様の火
 
  愛宕信仰は京都の愛宕山山頂愛宕神社発祥の信仰。
  一般に火防、火伏せの神として信仰される。
  京都から見て愛宕山の方角からしばしば雷雲が出現するため
  火の神としての性格が形成されたものとされる。
  火の神なので、その信仰による御利益が火防である。
  愛宕信仰は愛宕神社の、主に若宮に対する火伏せの信仰によるとされる。
  若宮の祭神は、雷(いかずち)神、迦遇槌(かぐつち)命、破无(はむ)神であり、
  その中の迦遇槌に対する火伏せ信仰であると思われる。
  カグツチの出産がもとでイザナミが死に至ったことから、
  仇子、熱子がアタゴの由来ともされるが、不詳。
 
  愛宕信仰と並ぶ火防鎮護の信仰に、
  同じく火の神であるカグツチを信仰する秋葉信仰がある。
  アキバサマーの炎とも言えるが、
  こちらはパチュリーが秋葉の神の名にあやかって
  火炎スペルの名にしただけかもしれない。
  一方で依姫は愛宕様を降ろし、その神力を行使しているので
  パチェスペルよりも火の威力は格上と思える。
 
  カグツチはレーヴァテインのスペル名候補だったこともあり、
  地上のだいたいのものは燃やせる威力というのもこちらに近いか。
 
    参考
    弘文堂 「【縮刷版】神道事典」 (愛宕信仰、愛宕神社、秋葉信仰)
    東京堂出版 「<新装普及版> 神社辞典」 (愛宕神社)

 

 ・私は神々をその身に降ろして力を借りることができる
 
  情報公開その3。
  直前の霊夢のセリフを受けての物なので、
  無闇な情報公開では無いが。

 

 ・私も最近その力の修行したばかりなの
 ・わかっているわ
 
  今度は霊夢からの情報公開…とみせかけて、知られていた。

 

 ・住吉三神が貴方に呼び出されていたんだから
 
  前話で既に、住吉三神が誰か (霊夢) に降ろされていたことを
  依姫は知っており、住吉三神を降ろしていた霊夢に敵意を向けていた。
  これは永琳の指摘によったものではなく、
  住吉さんが呼び出されていたことに気付いており、
  したがって、霊夢が依姫と同じ力を有することをわかっている、ということ。

 

 ・貴方がいろいろな神様を呼ぶと私が疑われるのよね
 ・謀反を企んでるんじゃないかって
 
  情報公開その4。
  依姫以外にも神降ろしを感知出来る者がおり、
  そのために、月の都で神を降ろせる依姫が何か良からぬことをしているのでは、
  という疑惑が発生してしまう、と推測される。

 

 ・稽古はやらされてたんだもん
 
  情報公開その5。
  永琳が警戒するほどの綿密な計画を吸血鬼が練ったとも思えないので、
  霊夢のこのセリフに依姫が着目した時、黒幕の存在を類推する。
  (永琳の手紙で既に情報があるかもしれないが)

 

 ・でも その疑いも 今日晴れる
 
  情報公開その6。
  今日までは本当に疑われていたらしい。

 

 ・こんなのまともに闘ったら勝てるわけがないぜ
 
  まともに闘う=いわゆるガチバトル。
  永琳は以前に戦力差は歴然と言っていたが、
  それを痛感した魔理沙。
  そして、この後のスペルカード戦提案に結び付く。

 

 ・お得意の逃げるにしても
 
  ガンガン行く勇者の魔理沙が、逃げを得意とする描写は
  これまでにほとんどない。
  慎重姿勢で思考する魔理沙の単なる言い回しか、
  外面上のキャラクターと実際の内なる心理との差異か。
  または、シーフのアビリティ、とんずら。

 

 ・どうした?動いても構わないよ 祇園様の怒りに触れるけど
 
  垂直離陸で突破できそうな祇園様の檻だが、
  動くとよろしくないようだ。
  情報公開というよりは警告。

 

 ・おもしろくないわね
 
  警告の後、一転して、手応えの無さに不満を漏らす依姫。
  この気持ちも依姫がこのあとスペカ戦を承諾するのに一役買う、
  といったところだろう。

 

 ・ま こんな感じで基本一騎打ちで戦うんだ
 
  例外もあり。
  美鈴通常とかプリズムリバーとか式神スペルとか
  永夜抄の自機とか永琳ラスペとか。

 

 ・で うちらが全敗したら… おとなしく地上に帰るから
 
  さりげなく、無茶条件。
  幻想郷勢が手馴れたスペカ戦で、
  しかも幻想郷勢全敗が撤退条件。
  依姫は一敗もできないわけだ。

 

 ・もし私が敗れるようなことがあっても 月の都には入れさせないけど……
 
  以前に配下の兎達を失ったこともあってか、
  勝てるとは言え兎に被害が出るかもしれない戦いをするよりは、と
  スペカ戦は了承しつつも、都への進入はきっちり拒絶。

 

 ・ま そのときは手土産一つでもあればいいや
 
  魔理沙も都入りまでは無理強いしない。
  手土産は、誇示・証明するための月旅行の証拠か、単なる蒐集家魂か。

 

 ・私の美しいナイフ捌き 残念ながら誰にも見えないかもしれないけど
 
  時を操る咲夜の、目にも留まらない動きと攻撃。

 

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