「東方儚月抄 〜Silent Sinner in Blue.」
第十五話 『星屑の人間』

 
あらすじ

  月面で繰り広げられるスペルカードバトル。
  幻想郷勢の二番手は火力を誇る魔法使い。
  多彩な攻撃に対し、依姫は妙な能力を発揮し始める。


誌上情報

  表紙アオリ 大好評センターカラー!!
  扉アオリ   単行本上巻、大好評発売中!
  柱アオリ   言い出しっぺの魔理沙、大奮闘!…にしても傍迷惑な攻撃だな。
          来月はお休みします。
  あらすじ等  あらすじ、人物紹介あり


タイムライン

  (月面)
   前話と同日。
 
  (幻想郷)
   満月の夜。


セリフ解説

 ・スターダストレヴァリエ
 
  紅魔郷・妖々夢・萃夢想・永夜抄・花映塚に登場の
  魔符 「スターダストレヴァリエ」 より。
  星屑幻想。
  タイトルの 「星屑の人間」 の由来。
 
  魔理沙から放射される多量の星弾が依姫他を襲う。

 

 ・月の都で見える星は瞬いていないらしいな
 
  動かない星弾を指しての魔理沙の台詞。
 
  身体の前で腕を交差し、直立不動の依姫。
  降り注ぐ星弾はその周囲で悉く静止してしまう。
  ピタッ
  神を降ろした描写も特に無く、謎の能力で弾幕を無効化。

 

 ・星が瞬いて見えるのは大気の揺らぎなのです
 
  光の経路上の地球大気は高度によって特性が異なり、
  温度や密度の不均一、そしてそれらの時々刻々の変化から
  屈折率の変化を受けて複雑に屈曲する。
  我々の生活圏だけで見ても気圧配置や風の流れが絶えず変化している。
  地上から観測される星の光はこれらにより
  位置の揺れ、大きさの変化、明るさの変化が生じ、
  瞬きとして観察される。
 
    参考
    「美星町 星のデータベース」>星空・星座 >シーイング、星のまたたき

 

 ・大気の少ない月の都では星はほとんど瞬かない
 
  宇宙空間や大気のごく薄い月から見る星は瞬かない。
  月人や玉兎が生活し、現在スペルカード戦が展開されている裏の月には
  大気はあるが、それも地上の1/6重力に見合った量の大気なのだろう。
  大気は少なく、星の光に対する大気の揺らぎはわずかな影響である。

 

 ・甘…
 
  停止した星弾を手に取り、口に運び、齧り味わう依姫。
  さらに、ポイ捨て。
  やはり手癖が悪い。お行儀も悪い。
 
  コンペイトーということか。
  砂糖菓子を意味するポルトガル語の confeito に由来。
  金平糖、金米糖は当て字。
 
    参考
    「広辞苑 第五版」 (コンペイトー)

 

 ・等速度の攻撃は加速度系において止まっているに等しい
 
  速度が一定であることはすなわち、外力を受けず、
  加速度に変化が無い、加速度ゼロということを意味する。
  一方、加速度を受けている場合は速度が時間経過に伴って増加し、
  やがては非常に大きな速度となって、
  多少の速度で運動する物は速度ゼロに近似できる。
  しかし、その場合は時間が重要なパラメータである。
  その時間が一瞬となる程に巨大な加速度の系が
  依姫の周囲に展開されているのであろうか。
 
  加速度系が展開されているならば
  それは等価原理で重力場と同等であり、
  空間限局的な重力異常を利用したバリアということになる。
  しかし、能力や神の力かどうか、不明。
 
  そもそも、そんなややこしい系を形成するよりも、
  等速の星は同じ速度で移動する事で相対速度ゼロとして
  止まっているに等しくする方が容易いかと思われる。
  実際のゲームでもたまに後退しながら回避することはあるし。

 

 ・イベントホライズン
 
  永夜抄に登場の、黒魔 「イベントホライズン」 より。
  永夜抄ではスターダストレヴァリエの上位スペルであった。
 
  等速度の弾は無効にされることを踏まえて、加速度系、
  それもブラックホール周縁の強重力場に因んだ名のスペルを発動。
  依姫は花映塚での妖夢ばりの剣閃 (チャージ無し) で
  飛来する星弾を悉く消滅させる。

 

 ・天津甕星 (あまつみかほし
 
  日本書紀に登場する星の神。
  日本神話で星の神に関する記述は少なく、
  星神香香背男 (ほしのかみかかせお)、
  別名、天津甕星、天香香背男 (あめのかかせお) のこの神に
  ほぼ限られる。
  天神の秩序にまつろわぬ悪神であることも特色である。
  葦原中国平定に最後まで服従しなかったが、
  建葉槌 (たけはつち) によって服し、葦原中国平定は完了する。
 
    参考
    「【縮刷版】神道事典」 (ホシノカミカカセオ)

 

 ・私の勘ではあんたが一番簡単に負けるわよ
 
  霊夢の勘 VS 運命を操る吸血鬼。
  いつも当たる霊夢の勘に、「博麗霊夢の言う事は全て正解」 (永夜抄より)
  なので、もはや運命は操作不能か。

 

 ・ファイナルスパーク
 
  萃夢想・永夜抄に登場の、魔砲 「ファイナルスパーク」 より。
  最後じゃないけど。
  星弾を伴ったエネルギー砲で、永夜抄版。

 

 ・光を斬るのは水を斬るよりもずっと容易いこと
 
  光は質量を持たず、容易くその進行方向を変化させたり
  遮ったりする事が出来る。
  水はその逆。
  …だけでは、ここで 「水」 である必要性の説明にはならないか。
 
  陰の金属で陽を翳らせることは容易だが、
  同じ陰の気同士の金属と水では相手を損なうことはできない、
  ましてや金生水の相生関係である。ってところか。

 

 ・ダブルスパーク
 
  永夜抄に登場の、恋心 「ダブルスパーク」 より。
  位置を変えて二箇所から依姫を狙ったエネルギー砲を放つので、
  永夜抄準拠というわけではない。(が、そうでもしないと実用的ではないか)
  遅いレーザーと速いレーザーの二種を使い分ける?

 

 ・石凝姥命 (いしこりどめのみこと
 
  石凝姥命は、アマテラスの岩戸隠れに際して
  オモイカネの命により八咫鏡を鋳造した、鏡作の祖とされる神。
  天孫降臨の際、天孫に随伴したことでも知られる。
  古事記では伊斯許理度売命、日本書紀では石凝姥、別名、石凝戸辺、とされる。
 
  八咫鏡は三種の神器の一つ。
  岩戸から外を覗ったアマテラスは八咫鏡に映った神に
  関心を奪われている隙に外へと引き出された。
  現在は伊勢神宮の御神体として奉斎されているとされる。
 
    参考
    「【縮刷版】神道事典」 (イシコリドメ)

 

 ・(地球)
 
  なぜか満地球が描かれているが、
  ロケット墜落と同日の地球齢のはずである。
  そもそも、地上から見て月が満月であれば、
  月から見て地球は朔のため見えないはずだが。
  儚月抄の地球齢・月齢の関係は、難しい。

 

 ・月からのレーザーくらいなんとも思わないでしょう
 
  長距離移動の間の拡散と地球大気による散乱で減衰。

 

 ・表の月には人間が置いていった大きな鏡があります
 
  鏡と言っても平面の一枚鏡ではなく、
  入射して来た光線を元来た方向へと返すコーナーキューブミラー。
  アポロ11号、14号、15号がそれぞれ月面に設置した。
  それぞれ、静かの海、嵐の海、雨の海に設置されている。
  アポロ11号が設置したレーザー反射鏡は、
  鏡100枚で作られ、一辺が約46cmの大きさなのだとか。
 
  また、ルナ21号の月面車、ルノホート2号にも反射鏡が設置されており、
  これもレーザーによる測距に用いられた。
 
    参考
    「Wikipedia」 (アポロ計画コーナーキューブルナ21号

 

 ・心ない兎たちがよく位置をずらしたりして遊んでいるようですが…
 
  表の月に行ける、表の月で活動できる、人間の構造物を動かせる、
  って、謎が一気に噴出。
  順に、結界の問題、真空の問題 (鴉はこれで絶命)、
  月の都の誰にも抜けなかった人間の旗の問題 (SSB 第一話) に衝突。
  結界は豊姫の介添か、フリーパスか?
  真空はどのように対処?真空でも平気なフリーザ様タイプ?
  月の羽衣で往来が可能ということは、そういうことなのか。
  …旗の方は、永琳&輝夜の話が兎情報のみだった可能性もあり
  信憑性の問題から棚上げ…。
  未だ謎の、人間との戦争の詳細もありますが、はてさて。

 

 

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