「東方儚月抄 〜月のイナバと地上の因幡」
第二回

※ 以下、各4コマのオチについてはなるべくネタバレしません ※


あらすじ

  ここは永遠亭。月の兎と地上の兎が同居する地。
  幻想郷を見舞った酷暑は竹林の内奥も包み込んだ。
  絶えがたき暑さを乗り切るために涼む方法を種々試みる鈴仙達。
  頼りの賢者の留守の間、彼女達は生き残る事が出来るのか……


誌上情報

  表紙アオリ 2ヶ月連続・東方Project巻頭カラー
  柱アオリ 死ぬときは前のめり!
        損して得とれって嘘だよね。


タイトルラインナップ

  ・夏の日の事件
  ・責任問題
  ・生活の知恵
  ・難題
  ・逆効果
  ・見た 得た 喰った
  ・現行犯
  ・スペース扇風機
  ・スペース発電機
  ・ぴったん
  ・ぴたた――ん
  ・逆転の発想よ
  ・むしろ冷たくなりうる
  ・想定外
  ・社会の縮図
 
 
  補足
 
  ・見た 得た 喰った
   カエサルの明瞭簡潔な戦勝報告、
   「来た 見た 勝った」のもじりと思われる。
   (2007年8月23日に頂いた情報に依ります。多謝)

  ・ぴったん
  ・ぴたた――ん
   「ことばのパズル もじぴったん」の曲、「ふたりのもじぴったん」より。
   ♪ぴったん たんた もじぴったん
   ♪りんらん らんら もじぴったん
   ♪ぴたたん


セリフ解説

 ・こんなときに限って師匠は出かけてしまっているし…
 
  逃亡兎に手紙を託すため、外出中の永琳。
  儚月抄CLR 第1話にて、夜が明けたら神社に向かうつもりとあり、
  午前中早々に出かけてしまったのであろう。

 
 ・おしおきだべ―――
 
  タイムボカンシリーズ・ヤッターマンにおけるドクロベーの有名なセリフ。

 
 ・うーさーぎーおーいし かーのやまー
 
  文部省唱歌・故郷(ふるさと)より。
  兎追いし かの山。
  兎美味しい、ではない。というギャグは最早定番。

 
 ・なんで床で寝てたんですか
 
  心床しいお姫様。(違う)
  
  特に京都四条河原辺で、夏の夜に屋外に設けた床で涼む事を
  床涼み (とこすずみゆかすずみ) と言うが、ここではあまり関係ない。
  納涼床

 
 ・打ち水
 
  道や庭に水をまくこと。水撒き。また、その水。
  特に、夏の夕方などに涼をとるためにまく。
  (Yahoo!辞書より)
  
  打ち水は午前中や夕方の涼しい時間帯に行った方が良い。
  昼間に行うと、地面が熱せられている為すぐに蒸発し、
  かえって蒸し暑くなってしまうからである。
  (Wikipediaより)
 
  涼しいうちに撒くのがミソ。
  地面が急激に熱されるのに対して
  蒸発する水分が気化熱としてエネルギーを少しずつ奪って行くので
  急激な気温の上昇が和らげられる。

 
 ・あら 氷菓子じゃない
 
  アイスクリーム。アイスキャンディー。シャーベットなど。
  出所不明。
  
  氷菓子の歴史としては、
  紀元前から氷や雪に乳や蜜を加えることが為されていたようだが、
  アイスクリームは16世紀になって考案されたとされる。
  常温の水に多量の硝石(硝酸カリウム)を溶かすと、
  その溶解反応は吸熱反応であるため顕著な冷却が得られる。
  
  永琳の手持ちの薬品(上記硝酸カリウムや硝酸アンモニウムなど)で
  吸熱反応からアイスを作っているのだろうか…?
 
  ちなみに、棒状の氷菓はアイスキャンディーで、
  本作で描かれているのもそれである。
  
  また、氷菓子 (こおりがし) と高利貸し (こうりがし) が同音であるため
  「アイスキャンディー」 はサラ金、ヤミ金などの貸金業者を指す
  隠語として用いられることもあるようである。
  (「アイスキャンディー」のWikipedia記事(上記リンク)より)

 
 ・現行犯
 
  現に行なっている際または行い終った際に見つけられた
  犯罪またはその犯人。
  現行犯人は、誰でも、逮捕状なしに逮捕できる。
  (広辞苑第五版より)

 
 ・扇風機
 
  扇風機であ゛〜
  ファンの回転に応じて、羽根と空隙が高速で繰り返される。
  声は羽根で反射される音波と空隙を通り過ぎて行く音波に分かれ、
  耳に捉えられる反射音は不連続になる。
  描画感覚:1/3回のような感じ。(?)

 
 ・ぴったん
 
  例えば、冷凍庫から出したての氷をなめると、
  舌にくっついてしまうことがある。
  冷凍庫から出したての氷は、
  表現に違和感を感じるかもしれないが、表面が乾燥している。
  室温の影響も受け始めたばかりでまだ融け始めてはおらず、
  空気中の水蒸気も凍結させるため、
  表面には水としての水分子が乏しく、湿りとか濡れの状態では無い。
  ここに湿り気を帯びた舌や口腔粘膜が接触すると、
  乾燥している側 (氷表面) が水分を吸収しようとして吸着してしまう。
  おせんべいが口の中にくっつくように。
 
  あの氷柱は汗ばんだ皮膚を吸着するほどに表面が乾燥している、
  つまり融けだしていない、用意したてほやほやなのだ!(ほやほや?

 
 ・心頭滅却すれば 火もまた涼し
 
  安土桃山時代の僧、快川紹喜(かいせんじょうき)が
  焼討ちにより焼死したときの辞世の偈に由来。
  「安禅必ずしも山水を用いず、心頭滅却すれば火も亦た涼し」

 
 ・なんだって―――!
 
  「つまり○○は××だったんだよ!」
  「な なんだって―!!」
  一般には通じないが、一部界隈では定番。
  MMR

 
 ・何か涼しくなるクスリとか
 
  熱伝導は物理現象なのでいかんともし難いが、
  心頭滅却すれば…と同様の効果ならば
  カプサイシン受容体などの温受容体遮断
  あるいはメントール受容体などの冷受容体刺激で
  得られるだろうか。
  身体の熱警報装置を遮断するようなマネで、当然危険だが。
  永琳なら身体全体の熱容量を変換する薬とか
  熱を下げる解熱ならぬ熱を放出する放熱薬とか作っちゃいそうだけど。
 
  ウサギドクロマークは永琳の茶目っ気か、
  てゐのワナである事を示すものか。
  言うまでも無いが、兎の長い耳に骨は無い。

 
 ・これでよしと…
 
  昇る流れ星。
  儚月抄SSB 第二話にて魔理沙&霊夢が目撃した
  昇る流れ星とリンク。
  
  

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