「東方儚月抄
〜月のイナバと地上の因幡」
第三回
※
以下、各4コマのオチについてはなるべくネタバレしません ※
あらすじ
ここは香霖堂。幻想郷の内外問わず様々な品を扱う道具屋である。
夏の熱気は夕立の激しい雨音を店内に響かせ、同時に
賑やかな珍客、月のイナバと地上の因幡をもたらしたのだった。
雨宿りの間のドタバタコンビに、霖之助の商魂は……?
誌上情報
表紙 鈴仙、てゐ、ウサギ2羽
表紙アオリ 大反響表紙で登場!
柱アオリ その雨、ルナティック級。
あえて見えないものを想像することこそ風流。
タイトルラインナップ
・緊急避難
・離陸↑
・私 自らが出る
・散弾アンブレラ
・サンフラワー
・ないものねだり
・Capa
・やっぱり
・水もしたたるいいウサギ
・ないけど
・激写ガール
・クリーンヒット?
・着陸↓
・リスペクト
・落ちた
補足
・私 自らが出る
コナミの横スクロールシューティングゲーム、「XEXEX」(ゼクセクス)にて
ラスボス戦前のデモで話される名(迷)台詞から採られている模様。
・激写ガール
アイレムのカメラアクションゲーム、「激写ボーイ」にちなむ?
香霖堂で雑誌Newton に巡りあう点で、SSB
第三話にリンクする。
但し、SSB 第三話の咲夜来店との前後関係は不明。
セリフ解説
・!
4コマ漫画お約束のタイトルコール及び四段ぶち抜きのイラスト。
前回・前々回の鈴仙&てゐのほのぼの風味は、今回雑誌の表紙を飾っているためか、
ここではストーリー性を少し付与された鈴仙&てゐが描かれている。
何かに気付きつつブレザーを脱ごうとしている鈴仙と、上方を見るてゐ。
夕立に見舞われ始めたひとコマであろう。
・ゲタ占い
あしたてんき【明日天気】
「児童遊戯。はきものを空中に蹴り上げ、落下して表が出れば明日は天気、
裏が出れば雨として占い遊ぶ。雨か日和か。」
(広辞苑より)
・そういう競技
広島県福山市のゲタリンピックが知られる。
(→「ゲタリンピック」)
てゐはゲタ占いで猛烈な勢いでゲタを蹴り出したため、ゲタは見失われた。
それを以っててゐは鈴仙に、雨は降らないと伝えた。
占いの経緯は知らなかったが、鈴仙はてゐを信じた。
・てるてる坊主
♪てるてる坊主 てゐ坊主
明日天気にしておくれ
ってことで、即効性は無い。
・散弾アンブレラ
一見、傘にショットガンが仕込まれた、仕込み銃の様だが、
傘を閉じた状態で排莢や装弾(てゐ使用時の手の動き)が為されている事から
傘を模した外装のショットガン、といったところだろうか。
・頭にかぶる傘
笠の様だが、形状はアンブレラハットか。
釣りやスポーツ観戦など、屋外で長時間不動の際の雨や日よけに有益。
・ピュアなにがし
2004年10月まで発行されていたアダルトゲーム雑誌、
Coloful
PUREGIRL(カラフルピュアガール)。
東方香霖堂が連載されていた。
(→「Wikipedia」(Colorful PUREGIRL))
・エル某(エルなにがし)
東方香霖堂の第二の連載媒体、同人情報誌、magazine
elfics(マガジン・エルフィックス)。
2005年12月より東方香霖堂の連載はWEBサイト、エルナビに移行したが、
2006年4月のビブロス倒産に伴い、エルフィックスは廃刊、エルナビも廃止となった。
(→「Wikipedia」(エルフィックス))
・Newton
SSB第三話参照。
休・廃刊誌ではなく、絶賛刊行中。
・ひまわり7号
「サテライトヒマワリ」参照。
打ち上げは2006年2月。
てゐが読んだ記事は、「打ち上げへ」とあることから
2005年末〜2006年初頭頃のものと思われる。
・いろいろな物がありますね
−マイコン
BASIC
パソコン関連雑誌、「マイコンBASICマガジン」。通称ベーマガ。
2003年4月、休刊。
(→「Wikipedia」(マイコンBASICマガジン))
−砦の攻防特集
マイコンBASICマガジンで度々掲載された対戦型シューティングゲーム。
「とりでの攻防」とも。
(→「ベーマガ総合事典」(とりでの攻防))
−Beep!
現在の総合ゲーム雑誌、「ゲーマガ」のルーツ。
ここではBeep誌の継続後誌、「BEEP!メガドライブ」。
(→「Wikipedia」(ゲーマガ))
−ゲーム機
1コマ目は「3DO
REAL」、2コマ目は「ファミコン・ディスクシステム」か。
(→「Wikipedia」(3DO、ファミリーコンピュータ ディスクシステム))
・雨合羽
カッパ【capaポルトガル・合羽】
「雨天の外出に用いる外套の一種。初めポルトガル人の外套を模し、
衣服の上に広くおおうように製したもの。羅紗・綿布・桐油紙などで作り、
袖をつける。元来、袖はなく、坊主合羽・丸合羽といい、木綿のを引回しという。
また長さにより長合羽・半合羽がある。」
(広辞苑より)
合羽はポルトガル語の「Capa」の音写語とされる。
(→「Wikipedia」(合羽))
・恥ずかしながら帰ってまいりました
終戦より27年後にグァムのジャングルで発見された残留日本兵、
横井庄一の有名な帰国第一声である。
(→「Wikipedia」(横井庄一))
・くわばらくわばら
「雷鳴の時、落雷を避ける呪文として用いる語。
また、一般に忌わしいことを避けるためにも言う。
雷神があやまって農家の井戸に落ちた時、農夫は蓋をして天に帰らせなかった。
雷神は、自分は桑樹を嫌うから、桑原桑原と唱えるならば再び落ちまいと答えた
との伝説に基づくという。
また、死して雷となったと伝える菅公の領地桑原には
古来落雷した例がないのに因むともいう。」
(広辞苑より)
菅公とは菅原道真の敬称。
・兎でへそをガード
雷様がへそを取るという俗信。
夕立などで気温が急に下がるため、お腹を冷やさない様にという健康説、
お腹を押さえる前屈みの姿勢が落雷に遭い難くなるという防災説などをよく耳にする。
雷に打たれた遺体のへそ部分が特に黒焦げになっていたとか
へそ部分に穴が開いたとかいう話もある模様。
これが事実ならば河童と尻小玉みたいなものだが…。
兎はどこからともなく現れているが、
よく見ると「離陸↑」の2コマ目でてゐの頭上におり、
コマに収まらない床上をちょろちょろしていたようだ。
・前方からの攻撃に16発まで耐えるよ
コナミのシューティングゲーム、グラディウスシリーズで登場の
シールドユニットの特性より。
前方のみ防御可能で16発分の耐久力を誇る。
(→「Wikipedia」(グラディウスII -GOFERの野望-))
・ナイスショット!
和製英語。
Nice
shot!と言っても通じないことはないが、英語では
Good, Excellent, Beautiful, Gorgeous
などを用いる。
(→「SPACE ALC」(nice
shot))
東方文花帖を意識したものだろうか。
・ピーカンー(効果音)
ピーカンは快晴の意の映画業界用語で、のちに一般化。
語源は不明確。
(→「日本語俗語辞書」(ピーカン))
・「着陸↓」
2007年8月31日に頂いたメッセージの説が最も有力視される。多謝。
てゐが前日に勢いよく蹴り出した下駄は香霖堂の屋根に裏返しで乗っていた。
夏の暑さとゲタ占いの結果から、少なくとも香霖堂近隣は夕立に見舞われる。
が、店の天井に風穴を開けんばかりのてゐの銃撃でゲタは転げ落ち、上下正しく着陸。
ゲタ占いの結果は文字通り覆り、天候は快晴に転じた。