「東方儚月抄 〜月のイナバと地上の因幡」
第七回

※ 以下、各4コマのオチについてはなるべくネタバレしません ※


あらすじ

  冷え込みも厳しくなり始めた時節。
  永遠亭の薬師は風邪に倒れてしまった。
  永琳の日頃の労に気遣い、輝夜達は心を込めた看病を試みる。

 

誌上情報

  表紙イラスト
  柱アオリ 秋は夕暮れ。冬はつとめて。…で、つとめてってなんだ? 勤めて?
        病、脇から

 

タイトルラインナップ

  ・この季節は布団があったかくって
  ・ずっと寝てたくなりますよね
  ・判断能力の低下
  ・フラグ
  ・ご愛用らしい
  ・犯行の瞬間を目撃
  ・タマゴはたんぱく質
  ・無茶しやがって
  ・温かい液体
  ・カクテル
  ・まっくらくらーいくらーい
  ・煮バナナ入り
  ・この先 生き残れるか
  ・次鋒
  ・そして歴史は繰り返す
 
 
  タイトル雑学
 
  ・(柱)秋は夕暮れ。冬はつとめて。
   清少納言の枕草子。
   つとめては国語辞典参照。
 
  ・フラグ
   旗を意味する英語。
   また、コンピュータプログラムにおいて
   処理の条件判定結果を記録しておくための変数
   条件に合っている場合は True、一致しない場合は False となる。
   True であればフラグが立っている、False がTrue とすることをフラグを立てると言う。
 
   このプログラミングのフラグから由来し、
   いわゆる美少女ゲームなどでの選択肢において
   後のシーン展開に関わる重要な選択を行なうことをフラグを立てる、
   または条件判定の段階でそれまでの選択が適切である状態をフラグが立っている
   などと表現されるようになった。
   ここからさらに派生し、種々の定型的なフラグ概念が生み出された。
   漫画等で、発言後その人物が読者の経験則上ほぼ確実に死亡する運命を辿るような
   お決まりのセリフを登場キャラが放った場合、
   見えない選択肢の決定的に不適切な方をそのキャラが選んでしまったかのように見立てて
   そのキャラに死亡フラグが立った、と表現したりする。
   オレ、この戦いが終ったら結婚するんだ。は死亡フラグの代表格。
   これらのフラグ、特に死亡フラグはネットスラングかな。
 
  ・無茶しやがって
   自ら犠牲となり散っていった戦友(とも)に対して
   非常にくだけて軽い表現ながら強い感謝と哀悼の意を込めて投げかける言葉。
   使用はネットで多く、これもネットスラングあるいはそれに近い。
 
  ・まっくらくらーいくらーい
   谷山浩子の 「まっくら森の歌」 より。
   ♪まっくら クライ クライ
   NHKの 「みんなのうた」 で有名であり、
   1980年代以降根強い人気を誇る。
 
  ・この先 生き残れるか
   「この先生きのこる」 のネットスラング (というかぎなた読み) に由来。
 
  ・歴史は繰り返す
   「歴史上で1度起った出来事は、そのあと何度も起きる
   (広辞苑より)
 
  ・(柱)病、脇から
   やまいはきから、のぎなた読み

 

セリフ解説

 ・十二単
 
  「女房装束の俗称。単の上に袿を重ね、その上に唐衣と裳をつける服装。
  (広辞苑より)

 

 ・こうなる!!
 
  本話から冬服の永琳。
  輝夜と鈴仙はもともと長袖。
  てゐは健康優良児なので (?) 冬場も半袖。 けんこう!

 

 ・イチコロリ
 
  いちころ+ころり。
 
  いちころ
  「(一撃でころりと倒れるの意から) すぐに負けてしまうこと。
  ころり
  「急にものごとが成立したり変化したりするさま。「―と死ぬ」「―とだまされる」
  (いずれも広辞苑より)

 

 ・医者の不養生
 
  第四回参照。

 

 ・死亡フラグ
 
  タイトル雑学の 「フラグ」 にて解説。

 

 ・ピコーン
 
  ナムコのゲームに出現するスペシャルフラッグ
  旗の脇にSの字を伴う。
  ゼビウスでは1UP。
 
  スペシャルフラッグも死亡フラグも
  頭文字Sの旗。

 

 ・ネギ
 
  ネギを振る仕草は、ヴォーカロイド・初音ミク
  ロイツマのフィンランド民謡 「Ievan Polkka」 に合わせて振る動画に基づくと思われる。
  ロイツマ・ガールこと、アニメ 「BLEACH」 の井上織姫が
  ネギを振り回す動きと 「Ievan Polkka」 の一節とを組み合わせたフラッシュが
  流行したことにより、ネギと 「Ievan Polkka」 の組み合わせが定着した。
  その派生として、東方界隈では永琳がネギを回したりもしたものである。

 

 ・首に巻く
 
  白ネギの薬効成分にして硫化アリルの一種であるアリシン
  辛みと匂いの成分でもあり、揮発性。
  手拭きやガーゼなどに白ネギを巻き込み、それを首に巻く民間療法がある。
  ネギから揮発したアリシンが表皮や呼吸器から吸収され、
  代謝活性化効果などにより体力の調整、回復効果があるとされる。

 

 ・しょうが湯
 
  「ショウガの根をおろして砂糖をまぜ、湯にといて飲む発汗剤
  (広辞苑より)
 
  生姜と砂糖の湯。
  生姜の発汗作用、健胃作用などが期待される
  胃にやさしく、温まる飲み物。
  調味料や他の薬効成分との組み合わせもきき、
  家庭ごとのバリエーションも豊かである。
  多様な生薬成分を含む葛根湯にも生姜が含まれる。

 

 ・卵酒
 
  「鶏卵に砂糖と熱燗とを加えて混ぜ合せた飲料。風のとき発汗剤とする
  (広辞苑より)
 
  玉子酒とも表記する。
  栄養と加温。
  一説には、適度な酒による安眠と
  卵白に含まれる溶菌酵素リゾチームが
  風邪症状の緩和に有効と言われる。

 

 ・早くて見えなーい
 
  イッキの直後に贈られる称賛のコール?
  そんなイッキコールもあるらしい。

 

 ・麦酒を温めて
 
  温ビールあるいはホットビール。
  欧州にはフルーツやスパイスで風味付けされて
  温めると香り良い種のビールもある模様。
  また、ドイツの民間療法として知られる。
 
    参考 「BEER(麦酒)」>ビール豆知識(ホットビール)
        「@nifty:デイリーポータル」>>風邪の民間療法マニュアル

 

 ・注ぎたて
 
  そそぎたて、とも、つぎたて、とも読める。

 

 ・煮バナナ
 
  バナナに砂糖を加え、煮込む。
  消化しやすい状態で栄養も摂れ、糖分も補給。
 
    参考 「@nifty:デイリーポータル」>>風邪の民間療法マニュアル

 

 ・梅干し湯
 
  梅干しとネギ、おろしニンニクに熱いお湯を注ぐ。
  ニンニクにもアリシン (前述) が含まれる。
  梅干しも風邪の民間療法の代表格。
  健胃消化、疲労回復、抗菌作用などが謳われる。
 
    参考 「@nifty:デイリーポータル」>>風邪の民間療法マニュアル

 

 ・第一大根湯
 
  強力な解熱・発汗の作用で知られる薬膳スープ。
  大根おろしに生姜と醤油を加え、熱い番茶を注ぐ。
  虚弱体質や心臓病、結核性の人は避けなければならない。
  また、もとが強壮な人も連用は避ける。
  正しい用法・用量で。
 
    参考 「特集−民間療法」>発熱

 

 ・カクテル
 
  生活で言えば食い合わせ、医療で言えば併用禁忌。
 
  2つ以上のものを混ぜて
  それぞれが合わさった効果が得られることを相加効果、
  足し合わさった以上の効果が得られることを相乗効果と言う。
  食物も薬物も毒物も体内に入ればいずれも何らかの「成分」に過ぎず、
  極端に表現すれば、良い効果も悪い効果もその強さや量に応じてもたらされる。
  多種の成分が混在すればそれぞれが相互にも影響し合い、
  時には有害な作用を異常に強めてしまう相乗効果が発現してしまう。
  要するに、正しい用法・用r (略

 

 ・闇鍋
 
  「冬などに、各自思い思いに持ち寄った食物を、灯を消した中で
   鍋で煮て食べる遊び。また、その煮た物。闇汁。闇の夜汁

  (広辞苑 「闇汁」を一部改変)
 
  遊び。

 

 ・アオゾメヒカゲタケ
 
  ヒトヨタケ科アオゾメヒカゲタケ属アオゾメヒカゲタケ。
  熱帯性であり、シロシビン系またはシロシン系のキノコの一種。
  マジックマッシュルームと呼ばれるグループにあたる。
  神経伝達物質のひとつであるセロトニンに類似構造のシロシビンの作用により
  幻視、幻聴の幻覚症状、思考の変化、寒気、痺れなどを呈する。
  これらのキノコ、マジックマッシュルームの所持は違法。
 
    参考 「不思議なキノコの仲間たち」>シロシビン・シロシン系
        「毒きのこ Data Base」>日本の毒きのこと中毒の型 >Cタイプ

 

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