つづき。
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そんなわけで、大神神社です。
写真は二の鳥居。
本殿を回り込んで南側から。
風変わりな鳥居。
鳥居と言うか、標柱に注連縄を渡した物と言うか、
鳥居に分類されている様式ではないようです。
二本の柱の間に注連縄だけが渡されています。
鳥居のルーツを鳥がとまる柱とする説がありますが、
その説の言う原型に近そうなイメージでしょうか。
通常の鳥居は前後にパターンと倒れそうなくらい
前後の力には弱そうな
(しかし横の力には強い) 感じですが、
これは全方向に無防備ですね。柱。
拝殿を今度は正面から。
拝殿は西を向いており、そちらに参道、二の鳥居などが続いています。
私はこの時東を向いており、
この奥には三ツ鳥居
(三輪鳥居) があるのみです。
本殿はなく、このさらに背後の三輪山を神体山とする神奈備です。
大神(おおみわ)神社
御祭神 大物主大神(おおものぬしのおおかみ) ■
配 神 大己貴神(おおなむちのかみ)、少彦名神(すくなひこなのかみ)
当神社は、秀麗な三輪山を神体山とする我国最古の神社で、元官幣大社、
延喜式内の名神大社二十二社の一社で、大和国一宮、全国各地に祭祀せ
られる大物主神の総本社であります。 ■
大物主神は、大国主神の和魂(幸魂・奇魂)で、大国主神が神代の昔、国造
りに労せられたとき、その和魂が現れ、問答の後
自らこの三輪山に鎮まら
れたのであり、農工商等あらゆる産業を開発し、常に日常生活全般をお守り
下され、顕界・幽界を主宰し給う和の大神であります。 ■
その御神徳は極めて広大であり、古事記・日本書紀・万葉集等の古典により
明瞭に伺えます。大和・河内・摂津はもとより、広く全国にわたって篤い信仰
を集めています。 ■
神=三輪山、三輪山=神の等式から、三輪と神が同義となり
神の字さえも 「ミワ」 と読むようになったのだとか。
さて、大神神社の神木は杉です。
こちらは手水舎脇の
「しるしの杉」
左が巳の神杉、右は御山杉。
他にも杉の大樹が多くあります。
三輪山の杉は神のよりつく神木として、「三輪の神杉」
と称されます。
万葉集をはじめ、多くの歌集にみわの神杉と詠われ神聖視されているそうです。
巳は蛇さんの巳。
蛇は古来より三輪の神の化身であり、
大物主神は蛇神としての性質も持ちます。
拝殿に吊るされている 「しるしの杉玉」
球状に纏めた杉の葉。
○の円は輪でもあります。
円が満ちれば円満であり、すなわち和ですね。
それが人と人の関わりの美しい縁にして美しい円。
大物主神は和の大神
(先述) で、縁結びの御神徳でも知られます。
大きな輪の和は美しい和、美和、三輪とリンクしたり。
杉で結ぶ古き縁 (円)
という神奈子と三輪山の縁、も考えられますかな。
そういえば、この 「しるしの杉玉」 は 「酒ばやし」
とも呼ばれ、
全国の酒蔵の軒下につり下げられたりしているそうな。
大物主神は酒の神様、酒造の祖神と仰がれる神徳もあり、
11月14日には酒まつりが行なわれます。
「味酒
(うまさけ)」 は 「三輪」 にかかる枕詞だったり、
「ミワ」 は神酒 (みわ) または酒の容器ともされるそうな。
と、いう具合に、大物主神は蛇神と杉で神奈子にリンクしそうです。
(ついでに酒でZUN氏にもばっちりリンク?)
三色の輪が一つの輪に合わさるのも、大物主が和の大神と言われているのとマッチし、
また、和の伝統弾幕と銘打たれた風神録に多く見られる輪の弾幕も
三輪山が関われば充分な補強になりうるか。
大物主についてもう少し。
古事記において、大国主神の前にやってきた大物主は
「私の魂をよくお祀りしたならば共に国造りをしよう。
祀れないならば国造りは難しいだろう」
と告げます。
お祀りするにはどうすればよいかと問うと
「大和を囲む緑の山々の、東の山の上に祀れ」
と答えます。
こうして三輪山に大物主が祀られているわけですが、
この大和を囲む山々の大きな輪こそが
「ヤマトトーラス」、とか。
大きな輪 (和) で大和。
グーグルマップ
さてさて、大神神社の境内から続く小道がありますので
こちらを進んでみます。
山の辺の道と呼ばれる、日本書紀にも確認される
歴史上 (文献的記述が)
最古の道として知られるものです。
最長のコースで天理駅から桜井駅までのハイキングコース。
コース取りは自由に楽しめます。
山の辺の道紹介
大神神社から少し北上しますと狭井 (さい) 神社に至ります。
例の鳥居。鳥居でしょう。
笠木がないので定義から外れるとか
歴史的に見て通常の鳥居とはルーツを異にするとか
あったりするのかな…。よく存じ上げません。
狭井神社の境内から三輪山に登ることが出来ます。
受付を通し初穂料を納め、ルールとマナーを守って参りましょう。
健脚自慢のツワモノは山の辺の道ハイキングに三輪山登山も盛り込むのだそうです。
ちなみに、この日はもともと入山禁止。
お祭りの日や天候次第で禁止措置がとられます。
次の機会には是非とも参らせて頂きたいところ。
では、道に復帰してさらに歩を進めます。
健脚ハイカーはもちろん、あまり歩く予定ではなさそうな観光客、
自転車で行程を楽しむ方 (あまり乗り回せませんが)
と多くの人とすれ違います。
写真の様に様々な表情が堪能できますし、
ご紹介しておりませんが道中には他にも史跡がいくつかあります。
さぁ、檜原神社に到着です。
私がここまで山の辺の道を歩いたのはここが主な目的。
特徴的な三ツ鳥居 (三輪鳥居)
です。
大神神社の三ツ鳥居は拝めませんでしたが
(肉眼で拝めても撮影禁止ですし)、
檜原神社では拝み放題です。
ルーツも歴史も不明の、三つの鳥居が合わさった形式。
三つの輪にもこじつけたくなります。
さらに私がこじつけたいのは…(あくまでこじつけです)
ご覧の通り、四本の柱から三ツ鳥居が形作られている点です。
4本の柱、そう、オンバシラです。
(なんという解釈の拡張)
諏訪大社には4本の御柱が境内4ヶ所に屹立し、
こう…水平方向から見ると遠近感で
| i
i
|
こんな感じ。
これを画面左(または右)にスライドさせていったとして
画面左右端が永夜抄の霊夢の様に
空間がつながって筒状
(またはトーラス) になっているとします。
スライドさせた結果は…
← | i i | ■
i i |
|
i | | i
おぉ、三輪鳥居の柱だ。(強引)
はい、まぁ、この考察は蛇足ということで。
檜原神社を後にし、最寄駅を目指します。遠い…。
たぶん、何かの古墳。
陽射しが柔らかく、まだ14時半程度だというのに
郷愁を駆り立てる演出に向きます。
いや、実際、電車の本数と次の目的地への乗車時間を考えると
ちょっと急いだ方がいいのかな。
水田がもっと潤っている季節とか
稲穂が頭を垂れている季節あたりだったら
より原風景っぽいかな〜。
山と豊穣と水と。
リンク
大神神社
巻向駅 (無人) から奈良駅へ。
奈良紅葉名所のひとつ、奈良公園。
やはりこちらはやたら混雑。
奈良公園の紅葉と鹿↑。
ここにも鹿(画面左)。あちこちに鹿。
東大寺前を東に向かうと手向山八幡宮があります。(画面右端にやはり鹿)
このたびは 幣もとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに
辿り着いたのが夕方で、既に閉門されていました。orz
「ボムもとりあへず神の山」 (?)
の風神録にちなみたかったのですが、残念。
月は東に日は西に。
お疲れ様でしたー。
近鉄奈良駅から大阪へリターン。
それにしても、あれですわ。
最初の三郷駅には風神にちなんでカイゲンの風の神さんが
目立つところにいらっしゃったのですが、
今私が風邪で苦しんでるのはあのオッサンのせいですわ。
くっ、あまりにも寒くて写真に収めなかったのが悔やまれます。
考えてみればいいオチやん〜
(お粗末様でした)
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