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4月14日0時
ご無沙汰致しております。(汗 すっかりと新年度ですね。 社内で異動があったり、娘が生まれたり、風邪を引いたり、 すっかりバタバタしております。うーん。 さて、遅くなりましたが、3月下旬発行のFebri
vol.11から。 ・第11話 「運松庵の太公望」 太公望は封神演義でも有名な人物だが、 彼の故事にちなんで釣り師のことを太公望と言うこともある。 ここでは、釣り師の意。 運松は本話に登場する漁師の爺さんの名前。 元ネタ
(後述) に忠実に見れば運松庵が名前となるのだが、 そうすると、「太公望の運松庵」
でなければ違和感がある。 (「ZUNのプログラマー」 と言う場合と同じ違和感) 作中で爺さんは 「運松の爺さん」
「運松翁」
と呼ばれていることから 爺さんの名前が運松で、庵は爺さんの家…というよりは屋号のようなものか…を指すか。 ・虎 華扇の家の門番。 華扇宅への侵入を目論んだ魔理沙と遭遇。 魔理沙が毛皮目当てに手を出してきたので応戦し、 魔理沙の腕にザックリと深い傷を刻んだ。 華扇は茨歌仙で龍・猿・鳥・蛇と本話の虎、(あと、雷獣) 三月精で鼠・蛇・犬を使役していたが、これだけメンツがそろうと、やはり十二支か。 元々が茨牡丹=庚申薔薇で、2ヶ月に一度の連載と庚申を掛けただけに、 庚申の十干十二支とリンクしているのかな。 ・本物の鬼ごろし 華扇が宴会に持ち寄ろうと考えた、宴会の目玉になる酒。 鬼殺しについては「幻想曲抜萃」にZUN氏が寄せたコメントにも見られる。 鬼ごろしという銘の日本酒も売られているが、 鬼殺しは
「辛くて強い酒。また、きつくて悪酔いをする酒。」 と 広辞苑にもある一般名詞。 「鬼でも天狗でも酔いつぶせます」
との華扇の言だが、 まぁ、鬼が飲んで飲み応えが無いような酒は持ってないよね。 ・職漁師は危険な仕事だし そういう事もあるか…… ・冬眠明けの熊とかな 職漁師の運松翁の家に人が集まっているのを見て、 爺さんが落命したものと早とちりした魔理沙であった。 職漁師は生業として漁をする人を言い、漁師と同義であるが、 趣味や娯楽で漁をする遊漁者と区別するための呼び方でもあるようだ。 (参考 Wikipedia:漁師) しかし、本話終盤で、宴会用の魚を職漁師に頼ったことを
「贅沢」
と表現しており、 一般的な漁師としての職漁師ではなく、旅館や料亭の依頼を受けて渓流魚を獲る、 より狭い意味での職漁師の可能性がある。 (参考 雑学の世界ttp://www.geocities.jp/widetown/japan_den/japan_den011.htm) 調べてみるとテンカラ釣りや電車結びなどの単語に行き当り、 魔理沙の言う冬眠明けの熊と合わせ、ちょうど先日 浅暮三文著
「殺しも鯖もMで始まる」
を読んだ私はニヤニヤしてしまうのであった。 ・運松の爺さんが医者になってたんだ 元ネタ(後述)では元々医者だが、ここでは元々漁師で、 河童の秘薬を使って人々の治療を副業的にボランティアで行なっていた模様。 常に腕に包帯を巻いている華扇に、爺さんを訪ねてみたらどうかと魔理沙は提案する。 ・河童の腕 1話の腕が再登場。 爺さんは川で二本の腕を入手し、後日しつこく頼まれ河童に返し、 お礼にと河童の秘薬を受け取っていた。 河童の腕は、1話に登場の、「河童の腕」と書かれた箱に一本と、 箱を抱える様に、ヒトの様な描写の腕が一本。(左腕っぽいが) 腕を捜している華扇は腕の在処に興味津津。 ・運松庵 河童の腕や河童の秘薬の話はよく聞かれるもので、 風神録事典のステージ3の一番下に怪異・妖怪伝承データベースからの引用を テキストにまとめたこともあるが、河童の腕を斬るなり抜くなりして手に入れ、 河童がその返却を頼み込み、返却のお礼に 秘薬(の製法)や川魚を提供するパターンが主だったものである。 本話の元ネタを、柳田國男の「山島民譚集」(平凡社・東洋文庫)より引用する。 「筑前黒田家の家臣に鷹取運松庵と云ふ医師あり。妻は四代目の三宅角助が娘、美婦 にして胆力あり。或夜厠に入りしに物蔭より手を延ばして悪戯をせんとする者あり。次の 夜短刀を懐にして行き矢庭に其手を捉へて之を切放し、主人に仔細を告げて之を燈下に 検するに、長さは八寸ばかりにして指に水掻あり、苔の如く毛生ひて粘りあるは、正しく 本草綱目にある所の水虎の手なりと珍重すること大方ならず。然るに其夜も深更に及びて、 夫婦が寝ねたる蔥に近く来り、打歎きたる声にて頻に訴ふる者あり。私不調法の段は謝り 入る、何とぞ其手を御返し下されと申す。河童などの分際を以て武士の妻女に慮外する さへあるに、手を返せとは長袖と侮りたるか、成らぬ成らぬと追返す。斯くすること三夜に 及び、今は絶々に泣沈みて憫を乞ひければ、汝猶我を騙かさんとするか、我は外治の 医家なるぞ。冷え切つたる手足を取戻して何にせんと言ふぞと罵る。御疑は御尤もなれ ども、人間の療治とは事かはり、成程手を継ぐ法の候なり。三日の内に継ぎさへすれば、 仮令前ほどには自由ならずとも、ことの外残りの腕の力になり候。偏に御慈悲と涙を こぼす。此時運松庵も稍合点し、然らば其薬法を我に伝授せよ、腕は返し与ふべしと 云へば、河童是非に及ばずとて障子越に一々薬法を語りて書留めさせ、片手を貰ひて 罷り還り、更に夜明けて見れば大なる鯰のまだ生きたるを、庭前の手洗鉢の辺にさし置き たりしは、誠に律儀なりける話なり。」 ・(謎) さて、今回は今後につながると思われる謎が提示された。 爺さんの元ネタと照らしてもいろいろ設定が異なる点も謎である。 名前は、名前っぽくない運松庵を屋号扱いにしてむしろ自然だが、 元ネタの医者を漁師に変更し、河童の腕と薬のパターンを崩して、 腕は川で拾ったことに変更されている。 薬も、「河童が腕を切られた時に生み出される秘薬」
と、 河童の体液か何かかと想像してしまう設定となっている。 薬自体は謎だが、少なくとも河童が腕を切られたという要素はあるのだろう。 次いで、爺さんが川で河童の腕を入手。(切られた腕かは定かではないが、 少なくとも河童関係。だから河童が爺さんを訪ねたし、爺さんが職漁師である必要があった。) 河童が爺さんを訪ねて薬と腕を交換。爺さんが人々に薬を使ってやる。 魔理沙も治療され、神社でそのことを話し、華扇が河童の薬で腕絡みと推理し 腕の行方に興味を示した、という流れなのであろう。 河童の腕も実際に直近で斬られたものか、以前に斬られて、その時に薬がストックされたのか 運松庵の奥さんが腕を斬った話で無い以上は現時点で断定が出来ない。 華扇の元ネタ、茨木童子あるいは羅生門の鬼が腕を斬り落とされる話が、 華扇が隻腕であることの元となっていると考えられるが、 河童の腕はそことのリンクっぽくもある。 そうそう、茨歌仙2巻も購入致しました。 6話は単行本でわざわざカラーになっていましたが、 7話以降連続でカラーページ描いてはるんですね。 関係無いですが、2巻コメントで酒分が足りないと出た途端に11話にお酒出てましたね。
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