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8月9日
「金属の戦い」

 

本日も曇天。
過ごしやすい。
何か、帰りの日(明日)に台風が
近畿に接近しそうだけど、気にしない。

山陰本線にて西へと進み、仁万駅下車。
仁万駅から石見交通バスに乗車。
本日は、石見銀山を目指します。世界遺産。
(大田市駅からもバスが出ております)

大森代官所跡バス停にて下車。
目の前の案内所でマップを入手し、
すぐ近くでレンタサイクルゲット。
レンタサイクルは9時からだと思っていたけど、
帳簿を見たら早い人は8時に借り出していました。

そして、ちょっと進むと神社が。

井戸神社

キスメ的な神社!ではありません。
江戸幕府から石見銀山に派遣された十九代の代官、
井戸平左衛門が祀られています。

拝殿

太い注連縄は出雲風味。

拝殿と本殿の間

いや、なんとなくです。

本殿

千木が倒れてますよー。
いつからかは不明ですが、
ちょっと前にこの地方を豪雨が襲ったようで
バスのルートも迂回していたっぽい。

町並み地区を自転車で進みます。

世界遺産登録で観光客が増え、
一時期はマナーの問題も取り沙汰されました。
ひょっとしたら今も問題は残っているかもしれません。
ゴミの問題、騒音の問題、観光地といっても住民生活もありますし、
自転車でかっとばす(特に山から下りる時)なんてもってのほかです。
どこでも気を付けるべきことではありますけどねー。

特に石見銀山が世界遺産登録を果たせたのは、
環境面のケアが高く評価されたことが極めて大きく関わっています。
山を掘り、道を拓き、銀を削り出す一方で、
山の地形を活かした精錬施設展開をし、緑を植え育み、
結果、遠目どころか現地に赴いても、
ありふれた山に坑道が口を開けているだけという
自然環境がよく保全された、銀山としては注目される特長を有しているのです。

また、地域住民の皆様もゴミ拾いや街の美化、施設の点検など
自主的かつボランティアで取り組まれているとのこと。
そのような精神は尊重したいですね。

町並み地区

資料館や古き時代の面影を残す家々、
特に注目されて案内マップにも示される家屋、
所々の寺社仏閣と見所がありますので
ゆっくり歩いて堪能するのも良いです。

しばらく進みますと坂道となり、
やがて山の緑へと様相が変化してまいります。

 

福神山間歩

道路脇に何気なく。

間歩(まぶ)とは、鉱山の穴、坑道を言います。
特に明治以前のものを間歩、明治以降を坑道、と区別するそうで。
間分、間府とも書くようです。

さて、車両も立ち入り禁止、自転車も侵入禁止となってから
さらに少し上りますと、大きな見所の一つ、龍源寺間歩です。
石見銀山にはそれこそ網の目状、蟻の巣状に
広く長く深く坑道が掘られておりますが、
公開されているものは数少なく、その一つです。

坑道入り口付近が白っぽく見えますが、水蒸気です。
坑道内から漂い出てくる冷たい空気が暖かい外気に触れ、
大気中の水分で霧が発生するんですね。
最初は何事かと思いましたが、近付くとひんやり。
なるほど。

坑道に足を踏み入れると…ブルブル
冷えます。
だいたい5〜8℃くらいとか。
温度計も置かれていましたが、数字は失念。

坑道内はもちろん、暗いです。
フラッシュを焚かなければこんな感じ。
寒いし暗いし、夏場にはもってこいですね。
しかし、この岩石を掘り進むエネルギー。
江戸時代に人力で掘削とか、凄い。

メインの通路を進むと、ところどころでライトアップされた、
直交する細い穴に出会います。
こういうところから銀が採れたんですねー。

午後に参加したツアーでガイドさんが解説して下さったのですが、
予測される鉱脈に対して直交する方向にずーっと掘り進んで、
鉱脈にぶち当たったら今度はそちらへ掘り進む。
銀はそんな鉱脈の走り方をしているそうです。
したがって、メインのルートが一本貫通している、その道筋に
直交して何本も細い掘削跡が残っているわけですね。

龍源寺間歩のマップ(公開範囲)はこう。
上は平面図で、画面左が入り口です。
本線に対して何本も細い道が直交しているのが
お判り頂けるかと思いますが、これが銀の採掘地点です。
青の新坑道は出口に直接向かう整備された直線路。

平面図の下には縦断面図。
鉱脈に当たれば、縦方向にも掘り進みます。

銀山の鉱床断面図。
地下にも掘り進み、何層にも坑道が掘られました。
鉱床と言っても、銀鉱石がどんと固まっているのではなく、
やはり平面状に何層も分布していて、これを掘り当てるために長く深く。

 

地霊殿の洞窟体験!とまでは言えませんが、
坑道の涼と歴史を味わいました。

さて、神社もお忘れなく。

龍源寺間歩の出口から、自転車を止めた場所に向けて
少し歩を進めると、佐毘売山(さひめやま)神社がご鎮座。

山神さんとも通称される。
御祭神は鉱山の護り神様、金山彦命。

銀に金山彦の取り合わせは何とも東方ネタ。

何の因果か、雨が降り始めましたが、
特注の日傘ではなくて単なる折り畳み傘でしのぎつつ。
雷や炎の柱なんて降ってこないよね。

 

自転車で下る道中にて、案内図。

右下から続く町並み地区。
左上に向かうルートが龍源寺間歩へ至る道。
山を巡る細い道には各所に間歩の口が開く。
また、案内図上方の彼方には、銀を運んだ街道と港。
実はその辺までひっくるめての世界遺産。

もう少し下って、羅漢寺の秘仏公開を参詣したり、
五百羅漢を慎ましく眺めたり。

さらに下って、町並み地区の端。
城上(きがみ)神社。

祭神は大物主命(大国主命)。

拝殿は、江戸の亀戸天満宮を手本にしたものと伝えられるそうな。(案内板より)

何故かここで三日目へのリンクが発生。

拝殿天井には「鳴き龍」が描かれておりました。
上がっても良いようなので失礼して、
鳴き龍の真下で柏手を二つ。
なるほど、残響があります。
真下から外れたところで手を叩いても、残響なし。
たのしい。

 

本殿

 

さて、ちょっと早い時間ながらお食事を楽しんで、
大森代官所跡バス停から世界遺産センターへ向かいました。

世界遺産センターでは限定ツアーに参加できます。
人数に空きがあれば当日も行けますが、事前予約がベスト。
私も事前予約です。

このツアー、ガイドさんと共に銀山を歩き、
通常は非公開の間歩も案内して頂けるという良いツアー。
ただし、山と坑道を歩きますので、
履き慣れた歩きやすい靴、長ズボン、冷える坑道用の長袖が必須となります。
これが、前日の出雲大社と二律背反のドレスコードで厳しかった…。
旅に携行の荷物も減らしつつ、両ドレスコードも満たしつつですよ。

世界遺産センターに集合し料金を支払い人数確認。
石見銀山の簡単なレクチャーを受け、マイクロバスで移動します。
その途中でバスを止めてガイドさんが石見銀山レクチャー中に撮影。
中央上方の、少し岩肌が見える山とか、銀山のメインの一角。
環境の保全度がすごい。

 

20人ほどでちょいと山登りを楽しみます。

金生坑(きんせいこう)

坑道の一つで、数百メートル向こう側にまで貫通しているとか。
また、山の上方の坑道ともつながっていたり。

さらに山を登りまして、大久保間歩。
限定公開ツアーのメインディッシュです。
通常非公開。
大きな間歩の口から大量の霊気もとい冷気がゆっくりと流れ出しています。

長靴に履き替え、ヘルメットをかぶり、懐中電灯を携えて、間歩内へ。
自前の長袖も装備。
やはり、冷えます。
龍源寺間歩は短かったので半袖のままでも平気でしたが、
ここでは解説込みで2,30分過ごしますから、長袖は必須です。

メインの坑道が鉱脈にぶつかり、上方にも展開したということで、
掘削の跡はかなり上方にまで行っている事を確認中。

江戸時代くらいは狭い坑道で、足場を組んで上方まで展開したそうです。
今はゆったりめで普通に歩いて入れる坑道となっていますが、
これは明治頃に発破も駆使して拡張とさらなる採掘を行なった為とか。

金生坑へ続く、狭く急なルート。
冷たい坑道内の空気に加え、水がどこかから絶えず滴りますので
水蒸気がー。フラッシュを焚くとこのありさまです。

水の汲み出しも採掘には大きな問題だったそうで、
この階段には中ほどに溝も刻まれ、
人が昇降することと水を伝え落とすことを兼ねていたとか。

うむ、やはりフラッシュはよろしくないですな。
フラッシュが無いと何も写らないけど。

公開範囲では最奥部。
大きな空間と、朽ちかけの足場。

 

洞窟探検でしたー。
地霊殿のイメージ?

ツアーはもうちょっと続きます。

釜屋間歩。

こちらは現在非公開。
銀の産出が最大だったポイントの一つ。

釜屋間歩の脇には階段が。

謎の岩盤遺構と称される地点です。

銀の製錬のために、精錬する場所や水を溜める仕組み、
建物が作られていた形跡ということが判ってきたのだそうで。

山道も無理なく、ガイドさんの判り易い解説もあって
楽しいツアーでした。
やはり案内板よりも、噛み砕いた言葉での説明、
時には解説資料も駆使してポイントを押さえた話は良いと実感。

 

この後、世界遺産センターにてツアーは解散。
約二時間の所要です。

私は世界遺産センターからバスに乗車して大田市駅まで行き、
あとはひたすら電車移動しました。
盆前で混む可能性もあったのに特急指定席を押さえるのを失念しておりましたが、
運良く自由席に座ることができました。
4〜5時間移動に費やし、新下関駅のビジネスホテルに宿泊ー。
おやすみなさい。

儚月抄と地霊殿の2日目でしたー。

 

お次は3日目。
続き

 

 

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