東方風神録

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風神録と長野 (一部)
 

長野のナガは、ナーガ(蛇神)のナガ〜♪
…かどうかはさておき、
本項では風神録と長野の関係を掘り下げてゆく。
 
――といっても、
omake.txt をはじめ、「東方風神録インタビュー」(「キャラ☆メル」vol.3、一迅社)、
そしてスペルカードからも諏訪神話との関連は明白。
これらについてはスペルカード解説・考察の各項に任せて、
また、蛇関連も同様に任せてしまって、
本項ではそれらの項で書ききれないところをちょっとだけ記してゆく。
が、とりたてて述べなければならないほどのものでもない。(ぉ

 
長野県の旧国名は信濃 (しなの) である。信州と呼ぶこともある。
「信仰」 が本作の重要ワードであることと 「信」 が一致。これ大事。
 
さて、シナノの語源についてはいくつかの説がある。
信濃国は八世紀のはじめに信濃と表記される前、
地名二字好字令の前は科野と書かれており、
また、埴科や更級など 「シナ」 の音を持つ地名が現在も多く見られる。
主要な説はこれらを踏まえている。


・シナノキ説
 
シナノキ (榀、科の木、級の木) はシナノキ科シナノキ属の落葉高木である。
シナノキ属自体は世界的にも冷温帯に広く分布しているが、
シナノキは日本特産種である。
北海道から九州までの山地に分布している。
秋には黄色に紅葉することで知られる。
 
このシナノキ (科の木、級の木) が多いことが科野の語源とするのが
江戸時代の国学者、谷川士清による説である。
 
この説を参考とすれば、(黄色だけど紅葉の援護もあるし)
信濃をベースとして構築された東方風神録は
シナノキを原点に持つことになる。
この場合、特に注目されるのが日本特産種である点。
 
東方風神録は 「弾幕の伝統」 であり、「これが、純日本製の弾幕である」 と
ゲームのパッケージにて紹介されている。
そのパッケージに掲載の弾幕は、多くが 「円」 を備えている。
弾源からの全方位弾ならば円環状に弾幕が広がるのも当然だが、
本作では円形に並んだ弾群が、そのままの形で飛来する弾幕も特色である。
文の通常や鉄の輪、諏訪大戦が筆頭である。
これらは、円、環、輪である。
くるりと回る円運動も含めれば、特に本作では枚挙に暇がない程であろう。
通常弾幕、スペル攻撃、回転するキャラクター、輪を背負うキャラクター、
スペル発動時には文字が渦を巻き、アイテムは回転しながら飛び出す。
円が満ちれば円満、すなわち和である。
幻想郷もみんな仲良く、(東方プレイヤーもみんな仲良く)
「和」 である。
 ・和
   「おだやかなこと。なごやかなこと。のどかなこと。仲よくすること。
    あわせること。うまくまざること。日本。倭。日本製・日本風・日本語などの意

輪は和に通じ、日本につながる。
輪は円であり、日本円。輪は丸であり、日の丸。
純日本製と言いつつ横文字のスペル名などもあるが、
弾幕の本質、その他ビジュアル面の本質、さらに諏訪神話に根ざす設定と
日本特産種であるシナノキとは上手く適合していると考えられる。


・シナサカ説
 
賀茂真淵が 「冠辞考」 にて、山国ゆえの地形説を唱えている。
古は科野と書き、その郡にも埴科・更科あり。波閉科・妻科といふ神社も
 ここに有ば、山国にて級坂あれば地の名となりけん

(「長野県の歴史」(1997)より又引き)
科や級は古語において段差、坂の意。
 
この説を参考とすれば、八坂神奈子との結び付きを考える事ができる。
八坂(無数の坂)という名前の通り、山の神様と言われている
(キャラ設定.txt より)
と言っても、八坂神奈子の元ネタ、八坂刀売神の八坂も
一般的には山多き信州を示すと言われるので、
東方風神録で特別言及するものではない。
が、シナノから風神録につながるもう一つのルートと言える。


・風神説
 
他にも種々の説があるが、上で挙げた 「長野県の歴史」 に
科の木説、風神説、級坂説が代表的に挙げられていたので
それに倣って、最後に風神説を記す。
(ちなみに、その本では級坂説が有力とされていた)
 
八坂(無数の坂)という名前の通り、山の神様と言われているが、
 実際は風雨の神様であった。

(キャラ設定.txt より)
 
「東方風神録」 の項に挙げた様に、
記紀神話にはシナツヒコ (志那都比古神 (記)、級長津彦命 (紀)) が登場する。
イザナギが生み出した風の神である。

このシナは 「息が長い」、ツは助詞の 「の」、ヒコは 「男性」 であり、
シナツヒコは息の長い男性と解釈される。
シを 「風」、ナを助詞の 「の」、ツを 「所」 の意として
風の吹き起こる所の男性と解釈する説もある。
日本書紀においてシナツヒコの別名とされるシナトベ (級長戸辺命) も同様に
トベがトメに通じ女性を表す解釈や、トが 「所」 で風の起こる場所とする解釈がある。
これらに関連付けて、シナノの語源にこのシナを見る説もある。

 

その他諸説ありますが、
このあたりが風神録に関連付けられそうです。
とは言え、もともと科野と諏訪神話でリンクできると言えばできるところなので
先にも書いた通り、風神録が特別に関連が強いというわけではありません。
他の項で長野や風神が出ますので、その前奏代わりに。

 


参考
「広辞苑 第五版」 (和、しな)
「Wikipedia」 (信濃国シナノキ
「長野県の歴史」 1997年、古川貞雄ら著、山川出版社
「【縮刷版】神道事典」 弘文堂 (シナツヒコ)
「風の名前」 高橋順子、佐藤秀明著、小学館 (科戸の風)


長野県
Wikipediaより)

 

 

 

 


シナノキ
Wikipediaより)



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