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補遺1・風神録と長野 / 補遺2・風神録と静岡 / 補遺3・風神録と五行 / 補遺4・風神録と魔除

Acknowledgements & References

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瑕疵無き要塞
 
 [タイトル]
 
 Stage3のタイトル。かしなきようさい
 妖怪の山、紅く染まる錦の渓谷。
 
 ・瑕疵
   「きず、欠点。[法] 行為・物・権利などに本来あるべき要件や性質が
    欠けていること。意思表示の取消し、売主の担保責任などの前提となる」
 ・要塞
   「外敵を防御・攻撃するために、
    国境・海岸などに築造する堅固な建造物。とりで」
 
  3面は今回は山に入って一番最初のステージになるので
  華やかな感じを意識しました。

 (「キャラ☆メル」vol.3、東方風神録インタビューより)
 
 瑕疵は前ステージの疵痕とも連関している。
 きず、欠点の意で、法律用語としては不完全であることを言う。
 瑕疵が無いので、欠点が無い、完全である、と解釈できよう。
 
 要塞は、次ステージも含めて、妖怪の山の社会の中でも
 ここでは特に防衛面でのシステムを指しているのであろう。
 (しかし、哨戒役が次ステージ中盤であることから、
  要塞と見立てるにしても、本ステージは要塞の中核ではない。)
 
 瑕疵無き要塞とは妖怪の山の防衛システムの完全さを指すか、
 現在のシステムが構築されてから単に深奥まで侵入した者がないのか。
 厳密なところは不明である。
 広がる美しい景色が、人跡未踏で自然のまま、という意味の 「瑕疵無き」、
 地形も攻撃も険しい、という意味の 「要塞」 かもしれない。
 
 光学迷彩で不可視である可視無き、
 渓流に繋留されず、かし (船などをつなぐために水中に立てる杭) 無き
 などと掛けられているとも考えられる。
 
 また、要塞と言えば、シューティングゲームでよく登場する。
 敵要塞に単機乗り込んで中枢を破壊したり、
 あるいは一機が要塞まるごとを相手にしたり。
 
 本ステージではまた、ボスの河城にとりの名に含まれる
 「」 にちなんで 「要塞」 であるとも考えられる。
 とは端的には、敵を防ぐために築いた軍事的構造物である。
 日本では、戦国時代に統治、居住、権勢表示を兼ねるようになるまでは
 防衛施設であり、柵、石垣、濠や土塁が巡らされ、
 自然地形を活かして山城が発達したことで知られる。
 河城の姓はそのまま考えれば河の要塞とも言えるだろう。
 
 長野市松代地区の山中に、松代大本営跡がある。
 大戦後期に、皇居、大本営、重要政府機関の移転を目的として
 象山、舞鶴山、皆神山の3箇所を掘削してつくられた、
 地下坑道 (地下要塞) 跡である。
 敗戦をもって進捗度75%の段階で工事は中止された。
 日本の中枢や天皇の移動が考えられていた事から格は高く、
 実戦にさらされていないためキズとしての瑕疵は無い。
 (未完成なので不完全という瑕疵はあるが)
 関連は不明。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (瑕疵、要塞、城、かし)
 「Wikipedia」 (瑕疵要塞松代大本営跡
 「キャラ☆メル vol.3」 一迅社

 

 


ゼビウスの要塞アンドアジェネシス
ASCII24より)


松代象山地下壕鳥瞰図
Wikipediaより)



未踏の渓谷
 
 [ステージ]
 
 Stage3。みとうのけいこく
 天狗や河童が妖怪社会を形成する妖怪の山。
 暗き樹海よりも更に川の上流、人類未踏の美しき渓谷。
 
 ・未踏
   「まだ足をふみ入れないこと、実地に歩いてみないこと」
 ・渓谷
   「谷、谷間」
 
 妖怪が巣食い妖怪社会を形成する妖怪の山。
 みだりに人の踏み込まない、人跡未踏の完全なる渓谷。
 また、踏み込まない様にとの河童の警告。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (未踏、渓谷)



神々が恋した幻想郷
 
 [音楽]
 
 Stage3のテーマ曲。かみがみがこいしたげんそうきょう
  3面のテーマです。
  妖怪の山に潜入して一曲目です。コテコテの幻想郷節が炸裂しています。
  妖怪の棲む美しい渓谷に、最上級のメロディアスな曲を用意しました。
  2面の気持ちの悪さとは対照的な3面に、開放感を感じて頂ければ幸いです。

 (神々の休憩所 より)
 
 秋気の景勝、秀美の山水。
 躍動の紅葉に流れる清水に調和の解放的に流れる旋律。
 神々も恋慕の情を寄せる佳境。
 
 音楽ユニット・Sound Horizon のマキシシングル 「少年は剣を…」 収録の楽曲に
 「神々が愛した楽園〜Belle Isle〜」 がある。
 オンラインRPGのベルアイルのテーマソングである。
 Sound Horizon は自らを幻想楽団と称するとのこと。
 関連は不明。

 
 参考
 「Wikipedia」 (Sound Horizon少年は剣を…ベルアイル



河城 にとり
 
 [キャラクター]
 
 Stage3のボス。かわしろにとり
 「超妖怪弾頭
 妖怪の山に住む河童である。
 ここ暫くの間、河童は滅多に人間の前に姿を現さなくなったが、
 河童は人間を隠れて観察していた為、人間とは仲が良いつもりでいる。
 突然態度や口調を変えたり、ちょっと奇異な性格の持ち主だが、
 案外、人見知りする。人間をみるとすぐに逃げる。
 コテコテのエンジニアで、人工物をみるとすぐにばらしては、元通りにする。
 その為の工具が、彼女の服にびっしり入っている。
 水を操る程度の能力を持つ河童。

 (キャラ設定.txt より)
 
  僕の中では技術者のイメージがあるんです。
  河童という妖怪は中国や高麗や百済から来たような、
  迫害されて川に住んでいた人たちが
  優れた技術を持っていたことが起源かもしれませんし、
  そうじゃなかったとしても、
  なんとなく調子がいいけど偏屈で、
  技術に対しては頑張る感じがイメージとしてあるんです。

 (「キャラ☆メル」vol.3、東方風神録インタビューより)
 
 河童は日本人にとって最も知名度の高い妖怪の一種であり、
 河川や湖沼の水系に棲息すること、嘴、頭に皿、背中に甲羅を持つことなど
 一般的な認識となっていると言えよう。
 妖怪というよりも身近な動物でもあるかのように
 現代社会でもしばしばキャラクターに用いられ容易に受け入れられている。
 一方で、各地の伝承をひも解けば多様な面ばかりが見て取れる。
 全国的に伝わる水怪ながら、各地で呼び名が異なり、
 伝承内容や身体特徴、由来説など多種多様である。
 民俗学的な見方、分類や細かな言及はあるが、
 ここでは話を進めやすくする上で、かなり乱暴な議論だが、
 「河童」 をひとまず水怪全般がひとくくりにされたものとし、
 それらの中から東方の河童、ここでは河城にとりに関連の深い要素を抜き出し、
 本項始め以下の項で順次挙げて行くこととする。
 
 河童の風神録出演については、河童の水神としての側面が
 考慮されてのものと推測される。
 河童を水神 (またはその眷属) として祀り、
 水難除けとしてきた例はいくつも知られる。
 宮城県色麻町のおかっぱ様こと磯良神社や東京都台東区の河童寺こと曹源寺、
 河童伝説の色濃く残る九州においては河童水神などが祀られる福岡の田主丸、など。
 河童のことを猿猴 (えんこう) と呼ぶ土佐には、
 猿猴を水神として祀ったとされる河泊神社も知られる。
 佐賀県伊万里市の松浦一酒造の河童のミイラとされるものは
 発見されるまでは 「河伯」 と記された箱に入れられていたそうだ。
 福島県の北野天満宮にも 「河伯の手」 と呼ばれる河童のミイラが伝えられる。
 
 河伯かはく) とは中国神話の黄河の神である。
 元は人間であったが、河を渡っているときに溺れ死に、水神と化したとも、
 仙薬を飲んだために河に出会して仙化したとも言われる水神である。
 上記の例をはじめ、河童の異名に河伯を取る例があり、
 広辞苑で 「河伯」 を引くと 「(1) 河を守る神。河の神。(2) 河童」 とある。
 若い頃から好んで河童の絵を描いた小川芋銭の表記は
 明治末には 「河伯」、大正期には 「水虎」 を使い、
 昭和初期の最晩年に 「河童」 であったとされる。
  (昭和2年に発表された芥川龍之介の 「河童」 に
   「どうかKappaと発音して下さい」 の文が添えられており、
   この頃以降に 「河童かっぱ)」 の呼び名が定着したと考えられている)
 河伯の 「伯」 は神の意であり、風神を言う風伯と同様である。
 「人」 偏に首長の意の音符 「白」 を合わせ、かしらとなる人の意である。
 形成文字としてハクの音をもたらす 「白」 に着目すれば、
 河伯から河シロに通じ、河城の姓に至るだろうか。
 
 にとりは自身のことを霊夢ストーリー中で、
 通称谷カッパのにとり、と紹介する。
 河川系、とくに山系に棲息の河童であると知れる。
 河童の伝承は、河川や湖沼の淡水系にとどまらず、
 海に出現する河童のものもあり、それらとまず区別される。
 一方、九州地方などでは、河童の性質として
 夏は河童として水怪であるが、秋の彼岸頃には山に登り山童山神) となり、
 また春の彼岸頃に下界に降りてくると言う伝承がある。
 本作では山神の地位は天狗に譲っており、
 東方の場合は山に現れてもあくまで水神であり、
 一種の河童であることに変わりはないということであろうか。
 まぁ、通称の割には、「この辺の河童」 も居るようだから
 かなり使い難い通称である。
 
 河童は尻子玉を取ると言われる。
 溺死体では肛門括約筋の弛緩から肛門が開くことから、
 河童などの水怪が人を襲い、肛門の器官を抜き取ったのだと
 昔の人は想像したのだと考えられている。
 玉のことを瓊 () と言うからといって、
 「瓊取り」 から 「にとり」 の命名ではない。
 (特に、瓊の言う玉は赤く美しい玉である)
 
 にとりの名は、長野県上水内郡戸隠村 (現、長野市) の
 荷取にとろ) 洞窟遺跡に由来するだろうか。
 日本最古の土器は1万2000年前の草創期に出現する。
 長野県でも、荷取洞窟などの草創期遺跡から丸底土器が出土している。
 「荷取」 は、建築現場などで荷物の保管・運搬を行なうための
 ステージの名称に、荷取構台、荷取ステージなどと用いられる。
 一般的に読めば 「にとり」である。
 一方で、件の洞窟遺跡の場合は 「にとろ」 と特殊な読み方をする。
 ニトロは有機化合物の持つ官能基、ニトロ基 (-NO2) を言う語だが、
 ニトロ化合物の中でも特にニトログリセリンを指して
 単にニトロということがある。
 ニトログリセリンはダイナマイトの原料となる爆発性物質である。
 
 ZUN氏の語る河童のイメージに 「技術者エンジニア)」 が前面に出ている。
 これは、河童の伝承に含まれる河童起源の中の人形説からか。
 左甚五郎あるいは飛騨の匠、または何某かの名工が
 とある寺社や大名屋敷建設に携わった際に人手不足を補うため
 多数の (草、藁) 人形を使役して手伝わせた。
 この人形が用済みで捨てられた物が河童となったという伝承である。
 名高い、すぐれた技を持つ工人の技術を補助し得る技術者、
 それが河童であると言えるだろうか。
 
 そして、ニトロ技術者で、
 炸薬を装着したミサイルなどの頭部、すなわち弾頭、
 超妖怪弾頭につながるだろうか。
 
 ちなみに、戸隠は諏訪湖から真北に位置する。
 北は五行思想で行である。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (河童、河伯、弾頭)
 「Wikipedia」 (河童河伯ニトログリセリン
 「日本妖怪大事典」 村上健司著、水木しげる画、角川書店刊 (河童)
 「妖怪Walker」 村上健司著、角川書店刊
 「中国の神話伝説(上)」 袁珂著、鈴木博訳、青土社刊
 「筑波大学附属図書館」>電子展示 >平成18年度企画展 >第4部 豚とカッパと青龍刀
 「怪異・妖怪伝承データベース」 >カッパ
 「海東青の考古学」 >信州遺跡データ >考古資料編主要遺跡(北信)
 「長野県の歴史」 古川貞雄ら著、山川出版社刊


鳥山石燕「画図百鬼夜行」より、河童
Wikipediaより)


鳥山石燕「今昔画図続百鬼」より、水虎
WikimediaCommonsより)


鳥山石燕「画図百鬼夜行」より、山童
WikimediaCommonsより)



にとり外観
 
 
 1. 服装
 
 帽子とリュックは河童の身体的特徴、
 頭の皿亀のような甲羅を意識したものであろう。
 河童は頭頂に水を湛えた皿があり、頭がくぼんでいるとも表現される。
 皿の水がこぼれれば怪力も発揮されない。
 皿を叩き割って退治する話も聞かれる。
 また、河童の甲羅は、水怪としてが意識されたものか、
 亀や鼈に似る、または河童の正体が亀や鼈であるとする話もある。
 
 帽子に描かれた白い模様は…
 「己」 の字に似て、また、蛇を連想させることから、
 「巳」 の字を意識した白蛇だろうか。
 水怪と蛇から、この場合は蛟 (みずち) が連想される。
 ミズチは古くはミツチと清音で、ミは水、ツは助詞、チは霊の意で、
 すなわち水の霊の意であるとされるが、龍の一種。
 蛇に似て、四肢をもち、毒気を吐く想像上の動物である。
 日本ではミズチは (蛇体の) 水神に結び付いており、
 先述の荷取洞窟あたりの地名・水内もミズチに通ずる。
 河童の地方異称にもミヅシ、ミヅチ、メドチなどが知られる。
 
 また、河童のに掛けて白い布の 「サラシ」 とも考えられるか。
 さらしとは、さらして白くした綿布または麻布、白木綿である。
 白い布はしばしば白蛇の依代または見立てであり、
 白蛇は縁起の良い動物、時には神の象徴である。
 白蛇の伝承は各地に残り、白い (長い) 布に対する信奉も所により窺え、
 水神にもまた通ずる。
 白い布の信奉や白の神聖視は、半島に由来 (大陸由来の半島経由) するとされる。
 
 服装は、多量のポケットが付いたスカート、大きく膨らんだリュックと
 エンジニア仕様である。
 服のポケットは、芥川龍之介の河童」 における河童が体組織の一部として、
 「カンガルウのように腹に袋を持って」 いることにちなむだろうか。
 また、エンジニアと言えば、キャラ☆メルでのインタビューにて
 インタビュアーは外見から 「“エンジ” ニア」 を強調していたが、
 水色のスモックを着た幼稚園児を連想してのものであろう。
 スモック (smock) とは、ゆったりした上っ張り、仕事着で、
 女性・子供・画家などが用いる。
 確かに袖のあたりはゆったりしている。

 2.所持品・アクセサリー
 
 右手の草。
 スペルにも関連して、野蒜のびる) か。
 ユリ科の多年草。広く山野に自生する。
 細い長管状の葉は、長さ約30センチメートル。
 全体にネギに似た臭気がある。
 葉および鱗茎は食用、根・茎は外傷・打身などの薬用。
 
 左手の穂。
 外観から、蒲の穂か。
 蒲はガマ科の多年草。淡水の湿地に生える。
 高さ約2メートル。夏、約20センチメートルのろうそく形の
 緑褐色の花序 (穂) をつける。
 蒲の花粉である蒲黄 (ほおう) は傷薬として知られ、
 大国主のアドバイスで因幡の素兎が快方に向かったのも
 蒲黄の効能である。
 蒲の雌花が熟すと綿状の穂になる。
 
 両植物は薬用となる点が共通している。
 河童の伝承の中で多く見られる一つの定型エピソードとして、
 河童が悪戯の代償として腕を切られる、抜かれる、
 あるいは殺されそうになることがある。
 この時、河童は腕を返してもらう、命を助けてもらう、
 その交換に接骨術やの製法を教えたとされる。
 薬の種類については伝承ごとに様々で、
 傷薬、打ち身・挫きの薬、痛風の薬、魚の目の薬、目薬などなど。
 
 また、植物を手に持つ河童の絵として、
 芥川龍之介が描いた 「水虎晩帰之図」 がある。
 芥川龍之介は河童の絵を多く描いたことで知られ、
 「水虎晩帰之図」 も山梨県立文学館や長崎市立博物館所蔵のものなどがある。
 ここに描かれた河童は、長い葉と穂をつけた葦 (あし) を持っている。
 葦はイネ科の多年草。各地の水辺に自生する。
 高さ約2メートル。茎に節を具え葉は笹の葉形。
 秋、多数の細かい帯紫色の小花から成る穂を出す。
 
 にとりの胸元には鍵があり、
 鍵は両側から結わえられた紐に引かれている。
 紐はリュックのものであろうか。
 これは長野県北佐久郡立科町、蓼科山麓の女神湖傍にある
 鍵引石かぎひきいし) にちなむだろうか。
 女神湖は沼地を利用した人造湖で、昔は赤沼と呼ばれていた。
 ここに人が通ると鍵っ引き (小指を引っ掛けあって引き合う力比べ) を挑む
 河童が石の上に居た。大抵の人はそのまま沼に引き込まれてしまったが、
 諏訪頼遠なる人物が大力で河童を小指で吊り上げ、
 恐れ入った河童は一夜で和田の山中に池を作り逃げて行ったという伝説が残る。

 3.スペル背景
 
 スペル背景には二匹の亀が描かれている。
 一匹は画面中央付近から下部に位置し、
 頭を画面左上方向に向けている。左前足も見える。
 もう一匹は画面上端部を占め、
 画面右手に頭部が描かれている。
 こちらは両前足を広げている格好である。
 後ろ前足はというと、どちらの亀でも不鮮明であり、
 亀全体も輪郭を辿ると異様に尾部までが長い事が分かる。
 
 これは、描かれた亀が
 甲羅に長く緑藻を生やした蓑亀であることを窺わせる。
 特に上の亀は画面左端付近で輪郭が箒の先の様になっている。
 蓑亀緑毛亀緑藻亀とも呼ばれる。
 長い年月とよほどの条件が揃わなければ甲羅に藻は生えないため、
 長寿の象徴である亀で特に縁起の良い、めでたいものとされる。
 珍しい亀の発見は、昔は宮中へ献上され改元までされるほどの
 大きな慶事であった。(神亀、宝亀などの改元)
 (卯酉東海道にも 「神亀の遷都」 の語がある)
 このスペル背景の蓑亀の緑藻は非常に長く、瑞祥は著しい。
 また、その分長生きであり、長年生きて特殊な力を得、
 妖怪化しても不思議ではないかもしれない。
 河童の関係は本項第一節にて触れた。
 また、亀からは玄武も想起される。
 玄武は天の四方を司る四神の一にして、
 が巻きついた姿をした神獣である。
 北方を守護する。
 北や玄 (黒) と言えば、五行説で行に当たる方位と色である。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (みずち、さらし、スモック、野蒜、蒲、葦、蓑亀)
 「Wikipedia」 (白蛇ガマカメ#文化玄武
 「怪異・妖怪伝承データベース」> カッパ
 「神魔精妖名辞典」> 河童
 「玄松子の記憶」>神社記憶 >諏訪大社上社本宮
 「竜神信仰――諏訪神のルーツをさぐる」 大庭祐輔著、論創社刊
 「山梨県立文学館」>ジュニアガイド >芥川龍之介
 「長崎県の河童伝説」>河童の定義
 「妖怪Walker」 村上健司著、角川書店刊
 「平安神宮」>自然の煌き >池中の宝物

 

 

 

 

 

 

 

 


野蒜、蒲の穂
季節の花 300より)


水虎晩帰之図
山梨県立文学館より)

 

 

 

 


蓑亀
平安神宮より)



芥川龍之介の河童 〜 Candid Friend
 
 [音楽]
 
 河城にとりのテーマ。
 あくたがわりゅうのすけのかっぱ 〜 キャンディド・フレンド
  河城 にとりのテーマです。
  この曲はよく聞くことになるので、飽きさせない事に力を入れてみました。
  その為に、奇妙なフレーズとリズムを使ってみましたが如何でしょう。
  この曲は長時間聞く事を想定しています。
  初めて聞いた時の印象から、聞いていくうちに徐々に変化していきます。
  最終的にはかなり切ない曲に聞こえてくる筈、かな?
 (神々の休憩所 より)
 
 ・candid
   「包み隠しのない、率直な、遠慮のない、気取らない、腹蔵のない」
 
 芥川龍之介 (1892年〜1927年) は小説家で、
 「羅生門」 「鼻」 「芋粥」 「地獄変」 「歯車」 などで知られる。
 「河童」 は晩年の代表作で、1927年に雑誌 「改造」 に発表された小説である。
 「河童」 には 「どうか Kappa と発音してください。」 の副題が添えられ、
 当時はカッパの表記が決まっていなかったか
 異なる表記が一般であったかと考えられる。
 
 芥川龍之介の河童」 では、
 上高地の河童橋近くの温泉宿を発ち、穂高山を目指していた主人公が
 河童に出会い、やがて河童の国に迷い込んだ話が描かれる。
 
 河童橋は長野県松本市の上高地に存在する橋である。
 上高地は飛騨山脈南部の梓川上流の景勝地であり、
 神 (穂高見命) が祀られた地という意の 「神垣内」 に由来するとされる。
 
 他項目でも触れるが、にとりのポケットと 「河童」 の袋が、
 にとりの光学迷彩と 「河童」 の皮膚組織が、
 Stage3中盤の遭遇シーンと 「河童」 の冒頭とが
 それぞれちなんでいる。(ポケットは可能性程度)
 (「にとり外観」 ならびに 「オプティカルカモフラージュ」 参照)
 
 Candid Friend.
 「盟友」
 芥川龍之介の河童」 では、
 河童は人間のことを、人間の河童に対してよりもよく知っており、
 また、河童の国の文明も人間の国のそれと大差無い。
 河童の国に迷い込んだ人間があれば、それを取って喰うなんてことは無く、
 特別保護住民として優遇する。
 一方で、文化や価値観はまるで異なるものとして描かれており、
 風神録で河童が人間を 「盟友」 と言うのも一方的な価値観の可能性も残る。
 
 河童の伝承の中にも、人間を襲って水中に引き摺り込んだり
 尻子玉を抜いてしまう恐ろしい水怪としての側面を持つ一方で、
 人間の作業の手伝いをしたり膳椀を貸したり魚を届けたりする特徴の伝承もある。
 (ただし、それらの側面も多くは川に引き込む目的が裏にあったり、
  悪事を懲らしめられたりの謝罪に付属しているのだが)

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (芥川竜之介)
 「SPACE ALC」 (candid)
 「Wikipedia」 (芥川龍之介河童_(小説)上高地河童橋
 「怪異・妖怪伝承データベース」> カッパ
 「青空文庫」>芥川龍之介 >河童

 

 

 


芥川龍之介
Wikipediaより)


河童橋と穂高連峰
Wikipediaより)



光学 「オプティカルカモフラージュ」
 
 [スペル]
 
 にとりのスペル。
 Easy, Normal にて使用。
 迷彩状態のにとりから青銃弾群と赤銃弾群が放たれる。
 銃弾は共ににとり周辺を旋回した後、
 赤銃弾は交差状に全方位に散開、
 青銃弾は列を為して一部交差状に画面下方へ飛来する。
 
 ・optical
   「視覚の、視力を助ける、眼の、視覚的な。光学の。可視光線の」
 ・camouflage
   「カムフラージュ、偽装、変装」
 ・optical camouflage
   「光学迷彩」
 
 Optical Camouflage.
 「光学迷彩」
 芥川龍之介の河童」 にちなむ。
  河童は我々人間のように一定の皮膚の色を持っていません。
  なんでもその周囲の色と同じ色に変わってしまう
  ――たとえば草の中にいる時には草のように緑色に変わり、
  岩の上にいる時には岩のように灰色に変わるのです。
  これはもちろん河童に限らず、カメレオンにもあることです。

 (「河童」より)
 河童伝承の中には、河童の姿は見えないとするものがある。
 
 また、Stage3では、にとりとの遭遇は以下の変遷を辿る。
  出会い頭に両者びっくり → 逃走するにとり → 再会=光学迷彩
 これも同じく、芥川龍之介の河童」 の序盤、河童との遭遇のシーンに由来する。
  僕は呆っ気にとられたまま、しばらくは身動きもしずにいました。
  河童もやはり驚いたとみえ、目の上の手さえ動かしません。
  そのうちに僕は飛び立つが早いか、岩の上の河童へおどりかかりました。
  同時にまた河童も逃げ出しました。いや、おそらくは逃げ出したのでしょう。
  実はひらりと身をかわしたと思うと、たちまちどこかへ消えてしまったのです。
  僕はいよいよ驚きながら、熊笹の中を見まわしました。
  すると河童は逃げ腰をしたなり、二三メエトル隔たった向こうに
  僕を振り返って見ているのです。それは不思議でもなんでもありません。
  しかし僕に意外だったのは河童の体の色のことです。
  岩の上に僕を見ていた河童は一面に灰色を帯びていました。
  けれども今は体中すっかり緑いろに変わっているのです。

 (「河童」より)
 
 光学迷彩は多くのSF作品に登場する技術であり、
 科学的手段で光学的に不可視の状態、すなわち透明化する技術。
 カメレオンの擬態や 「天狗の隠れ蓑」、ドラえもんの 「透明マント」 のような
 透明化を人間や兵器に対して施そうとするもの。
 ハリー・ポッターの透明マントやスタートレックの遮蔽装置、
 プレデターのクローキング技術ならば世界的にも知られていよう。
 
 カメレオンのような擬態ならば、
 センサーとモニターの併用で後方の景色を映し出すスーツやカーテンで
 実現できそうにも思えるが、実用的なクオリティでの実現は非常に困難である。
 全身、全方位の擬態にこだわらなければ
 「向こう側」 の光景を外部からプロジェクタで投影すれば良いが、
 この種のものはあまり光学迷彩と呼称しない。
 SFなどでは特殊な材質やメカニズムを利用して、
 光波そのものを完全に透過させる透明人間化や
 空間を歪ませて光波を反射吸収することなく回避する技術などが登場する。
 空間歪曲は現実的では無いが、特殊材質としては
 負の屈折率を有するメタマテリアルが周波数限定ながら見出されている。
 東方では、負の屈折率を利用した光学迷彩の利用例が
 サニーミルクの能力としてすでに登場している。
 にとりの場合は次の項、ハイドロカモフラージュを踏まえ、
 水と空気との異なる屈折率を利用した屈光系の光学迷彩技術と想像される。
 
 「光学迷彩」 の語は、士郎正宗の漫画 「攻殻機動隊」 に登場する
 「熱光学迷彩」 と呼ばれる装備に由来し、やがて一般に定着しつつある語である。
 「熱光学迷彩」 が正式名称だが、語呂の良さからか
 作中でも 「光学迷彩」 と呼ばれることが多い。
 可視光線の他、赤外線領域の電磁波も背景と同化するため
 「熱光学迷彩」 の名称である。
 水や多量の埃を浴びるとノイズのためか迷彩が無効となる。
 高湿条件下でも視認値が上昇する。
 従って、にとりの光学迷彩スーツは攻殻機動隊準拠という意味ではなく、
 光学的な迷彩という意味での名称であろうと予想される。
 (但し、攻殻機動隊には全天候型とされ、
水や埃にも強い光学迷彩も登場する)

 
 参考
 「SPACE ALC」 (optical, camouflage, optical camouflage)
 「Wikipedia」 (光学迷彩メタマテリアル
 「青空文庫」>芥川龍之介 >河童
 「怪異・妖怪伝承データベース」>カッパ
 「攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL」 士郎正宗著、講談社刊

NORMAL

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


光学迷彩
(東京大学大学院情報理工学系研究科
 システム情報学専攻 舘研究室より)



光学 「ハイドロカモフラージュ」
 
 [スペル]
 にとりのスペル。
 Hard, Lunatic にて使用。
 オプティカルカモフラージュの上位版。
 赤銃弾が弾速の速い光弾へと変化。
 弾量も増し、光弾もはっきりと列を為している。
 
 ・hydro-
   「水の、水素の」
 
 Hydrocamouflage.
 「水迷彩」
 水を操るにとりの、熱光学迷彩とは異なる原理に基づく迷彩か。
 オプティカルカモフラージュ時同様、
 にとりの姿も、迷彩効果は働いているが、透明にはなっていない。
 水の形状を自在に操作して纏い、その屈折を利用して
 可能な限り身体を回避した道筋に光波を迂回させたものか。
 にとりが自在に操作できる水を利用していれば、
 迷彩効果以外にも直接的な防御や攻撃に速やかに転じる事ができよう。
 
 河童伝承の中に、河童はわずかの水にも身を隠す事ができる、というものがある。
 馬の足跡にできた水溜りであっても河童がいることがある、など。
 極端な場合、そのような水溜りに千匹も住める、というものもある。

 
 参考
 「SPACE ALC」 (hydro-)
 「怪異・妖怪伝承データベース」>カッパ

HARD



洪水 「ウーズフラッディング」
 
 [スペル]
 
 にとりのスペル。
 Easy, Normal にて使用。
 画面左右から光弾が列を為して飛来し、画面に縞模様を形成する。
 にとりから自機照準で青中玉が連射される。
 
 ・ooze
   「にじみ出ること、分泌。(水底などにたまる)泥」
 ・flooding
   「洪水、氾濫。《精神医学》 情動氾濫療法」
 ・洪水
   「降雨・雪どけなどによって、河川の水量が平常よりも増加すること。
    また、堤防から氾濫し流出すること。おおみず」
 
 Ooze Flooding.
 「泥流」
 水底にたまる軟泥、ヘドロ。その奔流。
 水を操るにとりが、操作する水を主体として
 泥を水底から押し上げ、河底や河岸の土壌を削る勢いで
 対象ごと一気に下流へと流し去るイメージか。
 
 心理学で言うフラッディングは行動療法の一つ。
 恐怖や不安症状の原因となっているような現実場面に
 患者をいきなり直面させ、実際には何も恐ろしい事態がないことを理解させる。
 段階的にではなく、最初から最大級の恐怖に曝すのがポイント。
 患者の安全の保障と退路を断つ事が必要。
 本スペルでは、可動域を狭められた状態で大きめの弾に見舞われるという
 恐怖を味わうこととなる。
 しかし、判ってしまえば何も恐ろしい事態ではなく、
 スペルゲットが容易に安定できたプレイヤーも多いのではなかろうか。
 
 にとりの洪水系スペルは、本項のフラッディングの他は
 メアやトラウマがあり、水を操る直接的な水攻撃以外にも
 心理攻撃という共通性があるのではないかとも考えられる。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (洪水)
 「SPACE ALC」 (ooze, flooding)
 「心理学用語集」>フラッディング

NORMAL


鉄砲水
Wikipediaより)



洪水 「デリューヴィアルメア」
 
 [スペル]
 
 にとりのスペル。
 Hard にて使用。
 ウーズフラッディングの上位版。
 画面左右からの光弾列が波状に蛇行する。
 
 ・diluvial
   「洪水の」
 ・mare
   「雌馬、雌ロバ。母馬。(月・火星などの)海」
 ・mare
   「《廃》夢魔、悪夢(nightmare)」
 ・mere
   「[古] 小さな湖、池、沼地」
 ・nightmare
   「恐ろしい夢、悪夢。悪夢のような経験。夢魔」
 
 Diluvial Mare.
 「洪水の悪夢」
 
 水関係では、月の海の mare (マーレイメアリ) や
 池の mere (ミアー) があるが、発音が一致しない。
 ここでは、ナイトメアのメアと解釈した。
 
 ナイトメアは、悪夢やそれをもたらす悪魔を言う。
 そのような悪魔、特にインクブスは、夜になると
 眠っている女性の胸の上に乗って悪夢を見せるものとされる。
 Nightmare という語の mare の部分は、
 そのような夢魔を言うゲルマン祖語の marōn に由来し、
 古英語の mare または mære を経て、成ったものとされる。
 ここでは、このメアを適用した。
 フラッディングやトラウマの心理的な要素の関連も考えられる。

 
 参考
 「SPACE ALC」 (diluvial, mare, mere, nightmare)
 「リーダーズ英和辞典」 (mare)
 「Wikipedia(英)」 (Nightmare
 「神魔精妖名辞典」 (インキュバス、ナイトメア)

HARD



漂溺 「光り輝く水底のトラウマ」
 
 [スペル]
 
 にとりのスペル。ひかりかがやくみなそこのトラウマ――すいていの――
 Lunatic にて使用。
 デリューヴィアルメアの上位版。
 光弾列の描く正弦波の極大点同士が接し、
 網目を描くような軌跡を取る。
 
 ・光り輝く
   「さかんによく光る。美しいほどに輝く」
 ・水底
   「水の底。みずそこ。みなそこ」
 ・トラウマ
   「(傷・けがの意) 精神的外傷」
 ・漂溺ひょうでき
   「ただよいおぼれること」
 ・溺れる
   「水中で、泳げないで沈む。水中に落ちこんで死ぬ、死にそうになる。
    心を奪われる。はまる。ふける。ぼんやりする」
 
 トラウマは特に心的外傷を言う。
 虐待や強姦、犯罪、戦争、事故、災害などで大きなショックを受け、
 長い間残存する心の傷である。
 フロイトが心的外傷を言ったドイツ語 Trauma に由来する。
 これはギリシア語の Trauma (傷、けが) の借用語であったことから、
 現在用いられるトラウマも時に身体的な外傷も意味する。
 
 光り輝く水底の Trauma.
 「光り輝く水底の心的外傷」
 
 下位スペルが 「洪水」 であるため、本スペルも洪水関係と予想する場合、
 「光り輝く水底」 は洪水の直接的な部分とかけ離れている印象である。
 大量の水の奔流は水底の堆積物を巻き上げ、地を削り、
 多量の土砂やその他を巻き込みつつ、勢いよく下る。
 洪水に巻き込まれた人間 (または河童) が
 洪水の最中や流されたところでは土砂や岩石や何かの残骸ばかりの
 濁りきった水に囲まれるばかりである。
 この場合は、尋常でない勢いの洪水により、
 家屋も人畜も水棲生物も水底に根を下ろしていた植物も
 漂うプランクトンも川底の堆積物も何もかも全てを
 押し流してしまい、純度の高い水ばかりの、
 光ばかりが美しいが荒廃した寂寥の世界を考える事ができるだろうか。
 このとき、漂溺の言う溺れるは、心を奪われるとかぼんやりする
 といった意味に変わるか。
 水の流れは緩やかなイメージなので、ここでは特に
 水攻撃より精神攻撃のニュアンスが強く、従ってトラウマであろう。
 
 水底で心的ショックとなると、ダム建設などで沈んだ集落 (村、町) も妄想できる。
 その形を水底に留めながらもひと気の途絶えた湖は
 とてもとても大きくて、ダムによる人造湖とも想像できず、
 水を司る水怪は自身の罪だと自責する。
 子供と相撲をとった河辺も胡瓜をくすねた畑も
 深奥に射す光を時折きらりと反射する人工物もキラキラ光る思い出も
 みな水の底。美しい自分達の世界の水底なのに、トラウマ。
 水底と 「皆」 底をかけているとか。
 
 ことわざの 「河童の川流れ」 (物理的にも精神的にも自分がダメージ)、
 河童が人間を水中に引き摺り込む (漂い溺れている時点でトラウマどころか死)
 とかではないと思われるが、不確定。
 ナマコ (sea cucumber) のキュビエ器官 (刺激を受けると吐き出す白い糸状組織)
 とかでもないと思われるが、不確定。
 

 また、中国の水怪である水虎が日本に伝わり、
 河童など日本の水怪伝承と混交して、
 河童のことや河童に似た水怪を水虎と呼ぶこともある。
 一方、河童は人間の他、よくを水に引き込もうとする。
 そして、逆に馬に引き摺られ、よく仕置きを受ける。
 虎と馬とトラウマ、その関連はやはり不明。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (光り輝く、水底、トラウマ、漂溺)
 「Wikipedia」 (心的外傷ナマコ水虎河童
 「怪異・妖怪伝承データベース」>カッパ

LUNATIC



水符 「河童のポロロッカ」
 
 [スペル]
 
 にとりのスペル。かっぱのポロロッカ
 Easy, Normal にて使用。
 画面上端から光弾が続々出現し、画面上部に停滞後、
 下方に襲い掛かる。
 
 河童の Pororoca.
 「河童の潮津波」
 ポロロッカ (Pororoca) はアマゾン川で見られる、
 海から川への逆流現象の名称である。
 満月や新月の日は干潮・満潮の差が大きい大潮の日であり、
 満ちてゆく潮の勢いが更にアマゾン川河口の三角江で収束され、
 緩やかな河川の流れを軽く上回って、著しい水勢で逆流する。
 このような現象を一般的に海嘯、潮津波と呼び、
 アマゾン川の場合を特にポロロッカと呼ぶ。
 にとりの水を操る能力により、激しく逆流する河川。
 
 ブラジルはあて字で伯剌西爾と表記し、略す際はとする。
 河伯の伯であり、水の神が繰り出す大海嘯、という含意もあるだろうか。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (ブラジル、伯)
 「Wikipedia」 (ポロロッカ海嘯

NORMAL



水符 「河童のフラッシュフラッド」
 
 [スペル]
 
 にとりのスペル。かっぱのフラッシュフラッド
 Hard にて使用。
 河童のポロロッカの上位版。
 
 ・flash
   「一瞬の、束の間の。見た目が派手な、これ見よがしの。偽の。
    流行の、格好いい。(瞬間的に)激しい、荒々しい」
 ・flood
   「洪水、浸水、大水、冠水。氾濫、横溢、おびただしい流入、殺到」
 ・flash flood
   「鉄砲水」
 ・鉄砲水
   「豪雨による雨水が、土砂などを伴いながらはげしい勢いで流れ下るもの」
 
 河童の Flash Flood.
 「河童の山津波」
 鉄砲水は、主に集中豪雨、あるいは火山の噴火による短時間大規模の融雪や
 地震や噴火による湖の決壊などにより、多量の出水が一気呵成に下流域を襲う現象。
 多くは土砂や岩石、崩壊した山腹を含む。
 水分の割合が多いものが鉄砲水、土砂の割合が多いものが土石流と呼ばれる。
 土石流の場合は山津波とも呼ばれる。
 にとりの水を操る能力により、激しく勢いを増す河川。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (鉄砲水)
 「SPACE ALC」 (flash, flood, flash flood)

HARD



水符 「河童の幻想大瀑布」
 
 [スペル]
 
 にとりのスペル。かっぱのげんそうだいばくふ
 Lunatic にて使用。
 河童のフラッシュフラッドの上位版。
 
 ・瀑布
   「たき。飛泉」
 
 河童の操る水流の創る、幻想の大きな滝。
 ポロロッカは海 (幻想郷の場合、単に川下) から、
 フラッシュフラッドは山 (川上) から、
 そして、幻想大瀑布は直上から襲い掛かる水塊である。
 重力も加味されて、威力は上昇。
 
 長野県と岐阜県の間に御岳山がある。
 御岳山にある長野県の滝のひとつに、幻の巨大滝と呼ばれるものがある。
 落差90メートルの滝で、標高2690メートルに位置する日本最高所の滝であり、
 地理的要因の他、夏場しか姿を拝めないという点で幻とされる。
 幻想大瀑布の名称は、この滝にちなむものだろうか。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (瀑布)
 「日本の滝データベース」>長野
 「滝のある景色」>長野県御岳周辺の滝めぐり

LUNATIC


幻の巨大滝
滝のある景色より)



河童 「お化けキューカンバー」
 
 [スペル]
 
 にとりのスペル。おばけキューカンバー
 Easy, Normal にて使用。
 にとりの周囲を弾源が巡り、緑レーザーブレードを射出する。
 レーザーブレードは交差状に自機に襲いかかり、
 それらに重ねてにとりから自機照準の銃弾が放射される。
 
 ・おばけ
   「ばけもの、へんげ、妖怪、また、奇怪なもの、ばかでかいもの」
 ・cucumber
   「《植物》 キュウリ」
 
 お化け Cucumber.
 「おばけキュウリ」
 キュウリは河童の好物として一般的によく知られ、
 寿司のカッパ巻きの名称が一般的であることからも窺える。
 キュウリを盗む河童の目撃例や、
 その際に懲らしめたとする伝承が伝わっている。
 河童はキュウリ好きなので、キュウリを食べた後に河で泳ぐと
 河童に襲われ肛門を抜かれるとか腹を裂かれるとかの話もある。
 また、初なりのキュウリを水神様に供えたり、河に流したりした。
 「お化けキュウリ」 は、野菜などによく言われる 「お化け○○」 と
 同じく、ばかでかいキュウリの意と取るのが一般的である。
 キュウリは果実の生長が非常に早い。
 日本の市場で見かけるキュウリは小さいものだが、
 収穫せずに放置すると容易く巨大に生長する。
 しかしながら、本スペルの形状から想像するに、
 ここでのお化けキュウリ奇怪な物として
 異常に細長いキュウリと言える。
 そのようなキュウリをイメージした光線兵器といったところか。
 
 また、河童の地方異称において、長野県の一部に伝わった中に
 カーカンバカーカンベがある。
 お化け Cucumber は、「妖怪カーカンバ」(妖怪・河童) とも解釈できるだろうか。
 
 キュウリだけでもそうだが、河童そのものをネタとした兵器。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (お化け)
 「SPACE ALC」 (cucumber)
 「Wikipedia」 (河童キュウリ
 「怪異・妖怪伝承データベース」>カッパ
 「神魔精妖名辞典」>河童
 「もののけが集うホームページ」>もののけの紹介 >河童

NORMAL


おばけキュウリ
花と野菜の図鑑より)



河童 「のびーるアーム」
 
 [スペル]
 
 にとりのスペル。
 Hard にて使用。
 お化けキューカンバーの上位版。
 
 ・伸びる
   「空間的に長くひろがる。時間が長くなる。心理的にゆるむ。
    財産が豊かになる、勢力や能力などが盛大になる。収支差し引いてあまる」
 ・arm
   「腕。腕に似たもの、本体から長細く伸びているもの。部門、機関。権力。
    武器、兵器。戦い。紋章。《医》 治療群」
 
 河童の腕は伸縮自在である。
 但し、その腕は左右通して一本であるため、
 一方を伸ばせば他方が縮んでしまう。
 河童はしばしば馬を引き込もうとしたり尻をなでようとしたりした伝承で
 よく腕を斬られたり捥がれたり引き抜かれたりする。
 腕を返してもらう代わりにと、
 以降の悪戯を自粛したり侘証文を残したり
 魚や膳椀といった利益をもたらしたり薬や接骨術を教えたりする。
 
 「にとり外観」 の項で触れた様に、
 ここでは植物の野蒜のびる) が掛けられていると推測される。
 野蒜はユリ科の多年草。広く山野に自生する。
 細い長管状の葉は、長さ約30センチメートル。
 全体にネギに似た臭気がある。
 葉および鱗茎は食用、根・茎は外傷・打身などの薬用。
 
 のびーる Arm.
 「伸びる腕」 「野蒜兵器」
 河童そのものをネタにしつつ、
 弾幕はまた別のモチーフであろうか。
 野蒜をイメージした光線兵器。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (伸びる、野蒜)
 「SPACE ALC」 (arm)
 「怪異・妖怪伝承データベース」>カッパ

HARD


野蒜
季節の花 300より)



河童 「スピン・ザ・セファリックプレート」
 
 [スペル]
 
 にとりのスペル。
 Lunatic にて使用。
 環状に並んだ緑米弾群を3連射。
 緑米弾はそれぞれ回転しつつ、散開する。
 また、にとりから緑粗弾群が自機方面へ集中的に撃ち出される。
 
 ・spin
   「回転、転回。一走り、一乗り。きりもみ。ぼんやりしていること。
    《物理》 スピン、固有角運動量。言葉の都合の良い解釈」
 ・cephalic
   「頭部の」
 ・plate
   「皿、金属製食器類。(皿に盛った)料理。平面、板、板金。
    図版、刷版。ばら肉。厚板。義歯。プレート、平板培地」
 
 Spin the Cephalic Plate.
 「頭の皿を回せ」 「“頭の皿”スピン」
 河童の頭にはないしは皿状の窪みがある。
 皿の水がなくなると河童は怪力を出せないため、
 河童と相撲をとる前にお辞儀や逆立ちをさせて水をこぼさせ勝利する、
 というような河童相撲攻略法が言い伝えられている。
 取組み中でも皿から水をこぼさせるようにするとか、
 極端な例では皿を叩き割る、などの必勝法もある。
 岐阜県板取村の伝承では、河童の皿にはが入っており、
 これが川に入ると水が粘るので、
 脱出不能になった獲物を捕えるのに用いるとされる。
 皿の液に限らずとも、同様の効果を発揮する体液を分泌すると言う例もある。
 本スペルの、自機を絡め取る緑粗弾はこのゲル化剤か。
 
 頭の皿は回らないので、別の訳として、
 2つの同格名詞を挟む the と見たものも挙げた。
 アンドレ・ザ・ジャイアントとかソニック・ザ・ヘッジホッグなどの
 この場合、「スピン」 は皿回しに掛けつつも
 にとり兵器の1つを指す固有名詞であり、
 通称だかコードネームだかが 「頭の皿」 となる。
 
 アメリカのロックバンド、パール・ジャムの曲に
 「Spin the Black Circle」 が、
 アイルランドの女性ユニット、ベルファイアの曲に
 「Spin the Wheel」 があるが、いずれも関連は不明。

 
 参考
 「SPACE ALC」 (spin, cephalic, plate, spin a plate)
 「怪異・妖怪伝承データベース」>カッパ

LUNATIC



目が良いからね
 
 [会話]
 
 霊夢ストーリー、Stage3の会話。
  にとり 「あーあ、私の光学迷彩スーツが壊れちった」
   霊夢 「何よそれ」
  にとり 「人間の癖に私の姿がよく見えたわね」
   霊夢 「目が良いからね
        もしくは、あんたが隠れてなかったかも」

 
 目が良いと自称しているが、
 これまでの作品で視力 (鳥目) ネタがあり、
 視力コンプレックスがある上での強がりにも聞こえる。
 
 ・紅魔郷、St1
  ルーミア「さっき会ったじゃない
        あんた、もしかして鳥目?」
   霊夢 「人は暗いところでは物が
        良く見えないのよ」

 ・紅魔郷、St4
  パチェ 「私はあなたみたいに鳥目じゃないわ」
   霊夢 「だから〜、私は鳥目じゃないって」
 ・永夜抄、St2
   霊夢 「ああもう、私は前から言ってるでしょ!」
   紫  「?」
 ミスティア「??」
   霊夢 「私は鳥目じゃ無いって。」

 (中略)
   霊夢 「……今の奴、本当に雀だったの?
        暗くてよく見えなかったけど。」
   紫  「夜の小鳥は大体夜雀よ。
       取り扱いに気を付けないと、暗い所では
       目が見えなくなってしまうわ。」
   霊夢 「(……雀ってあんなだったかなぁ。
        良く見えなかったけど)」

 
 参考
 「幻想情報局 −イザヨイネット−」>会話



河童補足
 
 
 本章では 「怪異・妖怪伝承データベース」 様を大いに参考にしたが、
 細かな資料が多数であり、源となった情報を全て掲載できない。
 そこで、その代替として、私が本章を書くに当たり作成した
 簡易な資料を提示することとする。
 個人的なメモにも等しいため使い勝手は悪いが、
 興味を持たれた方への少しの助力になれば幸いである。
 
 これらのメモは、「怪異・妖怪伝承データベース」 トップページより、
 「データベース検索ページ」 に入り、
 ページ後半に 「代表的な怪異・妖怪」 として挙げられている 「カッパ」 から
 「カッパ」 に相当する 993例 の中から一部を掻い摘んだものである。
 
 個別のデータについても、
 番号・呼称・地域・要約のみをピックアップした。
 気になる記事の論文名や掲載誌名などをお求めの時は
 「番号」 をもとにデータベースを検索して頂けると良い。

 
  河童と亀関連。甲羅やスペル背景。
 
 
  河童と鍵引石。鍵。
 
 胡瓜
  河童と胡瓜関連。キューカンバー。
 
 
  河童と水虎。トラウマのトラかな〜と思ってとりあえず収集したもの。
 
 弱点
  河童の弱点や好物をかなり大雑把にかいつまんだ物。
  情報源までまとめてないので、気になる場合はキーワードと河童から検索して下さい。
 
 
  河童と尻。河童の定番なのでとりあえず収集したもの。
 
 
  河童と水神。風神録に登場するので神関連も収集。
 
 人形
  河童と人形。技術の元ネタ?とつながった腕。
 
 
  河童と馬。何故か馬が好き。そして痛い目にあう。
  トラウマのウマかな〜と思ってとりあえず収集したもの。
 
 迷彩
  河童と迷彩。光学迷彩や水迷彩。
 
 
  河童と薬関連。これも定番かな。本章では蒲の穂を持つことの引き合いに出した。
 
 詫証文
  河童と詫証文。これも定番かな。とりあえず収集したもの。
 
 
  河童と腕関連。斬られたり捥がれたり抜かれたり。のびーるアーム。
 
 粘る水
  河童と捕縛トラップ。セファリックプレートの項で触れた、レア伝承。関連は不明。
 



 タイトル / 自機 / Stage1 / Stage2 / Stage3 / Stage4 / Stage5 / Stage6 / ED / Extra

補遺1・風神録と長野 / 補遺2・風神録と静岡 / 補遺3・風神録と五行 / 補遺4・風神録と魔除

Acknowledgements & References

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