妖怪の式の式
[タイトル]
Extra Stage
のタイトル。
冥界と顕界の間の結界がほころび、
巷には霊が溢れ、博麗神社では亡霊の姫がお茶をすすっている頃…。
多くの霊に顕界は辟易し、紅魔館からも苦情が。
結界の修復は、境界を操る能力を持つ妖怪に依頼したものの、
長引いた冬の影響でまだ冬眠から目覚めておらず、
かわりに、その妖怪の式神が冥界に出没しているとのこと。
呑気な冥界人は差し置いて、
霊夢たちは式神の主人に対するこらしめと苦情申し立てのために再び冥界に赴くのであった。
式とは式神のこと。
陰陽師の命令に従い、呪詛・妖術などを行う一種の精霊で、鬼神や童子の姿をとったりする。
式神は、祭具・供物の類、あるいは動物などにとりついて、呪う相手の元に送られる。
陰陽師が式神を放つことを「式を打つ」と言う。
この場合は、強力な力を持つ妖怪(八雲紫)が式神(八雲藍)を使役し、
その式神もあまりに長い間使役され妖力が強力になり、
自らも式(橙)を打てるようになったことを意味し、
すなわち「妖怪の式の式」は橙のことである。
また、妖怪の式神という存在だけれども、
自らも式を打てるほど強力な者がExtraのボスですよ、という暗示でもある。
タイトルと共に以下の字幕も現れる。
"Cherry tree was already in bloom fully."
"However,
Japanese heart is not satisfied
yet."
「幻想郷にはようやく春が取り戻された」(意訳しすぎ?)
「しかし、日本の魂はまだ満たされない」
桜・西行・仏教・陰陽道などに関連する項目を駆け抜けてきたが、
大和の魂の一部に触れたにすぎない、ということか。
【改訂用の備忘録】
妖怪の式の式の元ネタについては、橙の項を参照。
三國に渡り妖異をなすが
[字幕]
Extra Stage
タイトルと同時に現れる、
四角形のグラフィックに刻まれている文字。
・三国(さんごく)…「三つの国。日本・唐土・天竺。日本・朝鮮・中国。魏・呉・蜀。」
・妖異(ようい)…「あやしく不思議なこと。あやしくて普通でないこと。妖怪」
ここで言う三国は日本・唐土・天竺、すなわち日本と中国とインドである。
この三国にからむ妖怪…と探しても難しいところだが、
Extra
Stage
ボスの八雲藍からたどると容易に見出せる。
八雲藍の実体は化け狐で、シッポがふさふさと多量に生えている。
九尾の狐というやつだ。
九本の尾と金色の体毛を持つ妖狐である。
九尾の狐の出現は、紀元前十一世紀の殷王朝にさかのぼる。
美女に変身して、皇帝・紂王をたぶらかした、皇后・妲妃(だっき)がそうである。
贅沢と残虐非道をつくし、王朝は滅亡、
続いて妲妃は古代インドに渡り、摩掲陀国を滅ぼそうとしたりする。
その後、妲妃は捕えられ処刑されかけるが、日本に逃げおおせる。
約2000年かけて妖力を取り戻した姐妃は、
十二世紀の日本にて美女・玉藻前(たまものまえ)に化け、
今度は鳥羽上皇を殺そうとする。
しかし、陰陽師・安倍泰親(泰成、晴明とも言われる)により正体を看破され、遁走。
討伐隊の攻勢により息絶える。が、直後に巨大な毒石「殺生石」に身を変じた。
現在では観光名所。
江戸時代以降、日本三大悪妖怪(玉藻前・酒呑童子、崇徳の大天狗)とされ、
歌舞伎や小説・漫画・雑誌・文庫などに多く登場する。
江戸時代には高井蘭山の「絵本三国妖婦伝」、式亭三馬の「玉藻前三国伝記」など
の作品がなされた。(ここには玉藻前を題材とし「三国」をタイトルに含むものを挙げた)
妖々跋扈
[音楽]
Extra Stage
のテーマ曲。ようようばっこ。
〜妖怪に始まり、あらゆる妖の者が好き勝手している世界。
ここでは、万物の霊長である人間も、ただの小動物に過ぎない〜
(曲解説より)
・跋扈 …「わがもの顔に振舞うこと。のさばりはびこること。
妖々は、曲解説にある様に「あらゆる妖の者」を指す。
多くの人を「人々」と言う様に、多くの妖の者を「妖々」としたものか。
当然ながら、「妖々夢」ともかけてのことと思う。(逆?)
由来はおそらく音が似ている「跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)」から?
・跳梁
…「おどりはねること、はねまわること、勢力を伸ばし好き放題すること」
・跳梁跋扈
…「悪人などがわがもの顔にのさばりはびこること」
桜の春を堪能した後は、ほころびから顕界に遊び出で、
春の陽気と久々の娑婆の空気にテンションも高まった冥界の霊や妖怪たちの
手荒い歓迎に迎えられるわけで、そのあたりが妖々跋扈か。
また、画面中を跳ね回り転がり回る、妖怪の式の式・橙を指すと思われる。
八雲
藍
[キャラクター]
Extra Stage のボス。やくもらん。
「すきま妖怪の式」
すきま妖怪こと八雲紫に使役される式神にして
すきま妖怪の式の式こと橙を式神として使役する妖怪。
1日12時間睡眠で夜行性の主人が寝ている間に働かせられる役割。
主人が起きている間も働かせられている。
実体時からかなりの妖力を持つ化け狐(九尾の狐)で、式を憑けられてより強力に。
主に式神を使う程度の能力を持つ。
冥界の花見の名所でほのぼのしている時に、ふと紛れ込んだ人間に気付く。
話をしてみると、どうやら自分の式神である橙をこてんぱんにした
その犯人であるらしいことが分かり、速やかに報復を決めた。
・八雲 …「幾重にも重なった雲。八重の雲」
八雲と言えば、関連するのは出雲と和歌である。
八雲さす・八雲立つ、は地名「出雲」にかかる枕詞である。
八雲の道、と言えば和歌の道を意味し、
八雲御抄(やくもみしょう)は鎌倉初期に成された歌学書。
これらはいずれも、日本神話でスサノオが詠んだ日本初といわれる和歌、
八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る
その八重垣を
にちなんでいるとされる。
出雲は、日本国母神イザナミに敬意を表す稜威母(いずも)からきたとされる。
風土記の中でも完本に近いとされる出雲国風土記などでも、
出雲系神話と呼ばれる、日本神話の各所に影響を及ぼした数々の神話で知られる。
日本創生の神話の大半が出雲やその周辺の話であることから
その中心的影響力の大きさが知れる。
有名なところでは、素戔嗚尊(すさのおのみこと)の大蛇(おろち)退治、
因幡の素兎、大国主命(おおくにぬしのみこと)の国譲り、
八束水臣津野命(やつかみずおみつののみこと)の国引きなどがある。
エンディングのZUN氏の歌の項にも前述したが、
黄泉の国が出雲近くにあった地であるという説も出雲系神話由来である。
また、旧暦10月の呼び名が神無月であるのは
全国の八百万(やおよろず)の神々がこの月に出雲に集結するという伝承からである。
「八雲」をキーワードに、
・出雲→出雲系神話→日本神話
・出雲系神話→黄泉の国→冥界
・和歌(→西行)
など芋蔓式に巡れるわけだが、これらをして「Japanese
heart」が満たされるか。
【改訂用の備忘録】
藍が背負っている曼荼羅は、一印会大日如来である。
東方文花帖の「御大師様の秘鍵」参照。
少女幻葬 〜
Necro-fantasy
[音楽]
藍のテーマ。しょうじょげんそう。
〜地域、風土、宗教によって、仏の色んな埋葬方法が編み出された。
火葬、土葬、鳥葬、いまや、宇宙葬なんてものまである位。
私は一生に一度の遺言に、「幻葬で行うこと」と書いて、
困らせてやろうかと企んでいる(企むな)〜
(曲解説より)
・necro- …「死」を意味する連結語
ネクロファンタジー、死の幻想。
直接的解釈で自殺願望・希死念慮か。
希死念慮はちょっと違うか。
まぁ、冥界での幻闘ってところが妥当な解釈か。
Stage5などよりもボスが強力で、より「死」に近いかもだけど。
キース・ジャレットの「生と死の幻想」(曲名・アルバム名)は関係ないか…?
英題が
"Death and the Flower" で、本作にあてるなら「桜と死」でなんかいい雰囲気なのだが。
少女幻葬は、「少女幻想」にちなむかな。
少女に対して「清らか、脆い、夢見がち、不思議」などの属性が付加され
社会の中に広く形成された観念。
近代社会としての文化・思想の発達から発生した、
第二次性徴後からしかるべき男性と結ばれるまで無傷であるべき、といった、
「少女」たちに対する社会からの囲い込みであると同時に
男性秩序に対する少女自身の武器ともなった考え。
明治以降に近代社会としての意識が興り始めたころに「少女」という概念が登場、
少女小説・少女雑誌が刊行され、少女たちに熱狂的に受け入れられた。
それまでに存在していなかった「少女」のイメージが生まれ、
メディアを介して広まり、現実に受け入れられたことで、
近代社会に特有の「少女」を担い手とする文化、少女文化が発達した。
現代では、いわゆるオタク文化が少女幻想に根ざしている部分もあるだろう。
鬼符
「青鬼赤鬼」
[スペル]
Extra
Stageに中ボスとして登場する橙のスペル。
画面上部の橙から左右交互に青と赤の大玉が計4つ放たれる。
大玉は青または赤の弾丸群を経路上に多量に配置しつつ、壁沿いに画面下へと落ちてゆく。
配置された弾丸群が、それぞれタイムラグと速度差を伴いながら順次
自機狙いで飛来あるいは自機非依存的に拡散してゆく。
Phantasmではこれの上位版として、「前鬼後鬼の守護」がある。
都合により先に前鬼・後鬼の解説をする。
前鬼・後鬼は、飛鳥時代〜奈良時代の呪術者にして修験道の開祖である
役小角(えんのおづぬ、通称・役行者(えんのぎょうじゃ))に使役された鬼神。
生駒山に住み人々を苦しめる夫婦の悪鬼が役小角により懲らしめられたもの。
前鬼は赤鬼であり、後鬼は青鬼であり、これから本スペル名がきていると考えられる。
つまり、「赤鬼青鬼」=「前鬼後鬼」なのだが、
橙が「青鬼赤鬼」と誤って後ろ前に召喚してしまったためか、
青鬼赤鬼(Extra)
<前鬼後鬼の守護(Phantasm) の上下関係。
鬼神
「飛翔毘沙門天」
[スペル]
橙のスペルのひとつ。ひしょうびしゃもんてん。
橙が回転をしながら画面全体で弧を描いて飛び回る。
描く図形は太極図(霊夢の陰陽玉のあれ)か。
飛び回りながら順次進行方向に向かってほぼ半円形に楔弾群を乱射し続ける。
途中からは全方位に中玉を散発的に放射する攻撃も加わる。
毘沙門天は、仏教の護法神であり、四天王の1つとして須弥山の北方を守護する。
四天王としてみる時は多聞天である。
また、日本の民間信仰では七福神の1つでもある。
古代インド神話の夜叉王クヴェーラが仏教に取り込まれ、ヴァイシュラヴァナとなった。
ヴァイシュラヴァナの音写が毘沙門である(クヴェーラの音写は金毘羅)。
軍神である他に財宝神としても信仰される。
ちなみに四天王は持国天(東)・増長天(南)・広目天(西)・多聞天(北)で、
須弥山の中腹の四王天に住み、帝釈天に仕える。
四王天は、欲界に属する六種の天上界(六欲天)の最下層。
六欲天は、四王天・忉利天・夜摩天・兜率天・楽変化天・他化自在天の総称。
帝釈天は、梵天と並んで仏教の二大護法神で、四天王を配下とし、須弥山の頂上に住む。
須弥山の頂上は六欲天の下から2番目の層である忉利天にあたる。
また、毘沙門天と帝釈天は十二天にも含まれる。
仏教の護法神である「天」の諸尊12種を組合せたもので、密教では四天王と共に重視される。
十二天は八方位を護る諸天+天・地・日・月に関わる4種の神から成る。
伊舎那天(東北)・帝釈天(東)・火天(東南)・焔魔天(南)・羅刹天(西南)・水天(西)・
風天(西北)・毘沙門天(北)・梵天(天)・地天(地)・日天・月天
火天はアグニ、焔魔天は閻魔天とルーツは同じ夜摩(yama)、あとは四天王の持国天、
このあたりが紅魔郷〜文花帖に関わる。
式神
「仙狐思念」
藍のスペルのひとつ。せんこしねん。
自機狙いで放たれた大玉が、自機手前で炸裂、四角形に配置された弾源が発生し、
それぞれからその四角形の基準に八方向楔弾が放たれる。
一つの対角線が、もと放たれた大玉と同じポイントを照準している。
大玉が放たれた時点でわずかに横にずれるだけで全弾やり過ごせる。
タネさえ分かれば、被弾はまずありえないスペルで、
プレイヤー間では非常に簡単なスペルの代名詞。「仙狐思念レベル」とか表現される。
・思念
…「思い考えること。常に心に深く思っていること」
テレパシーという単語が精神感応とか思念伝達とか訳されるから、
ここではそちら寄りのニュアンスか。
仙狐は妖狐の中でもハイクラスのものの総称。
妖狐のランクは少々ややこしい。
まず、最下層が、妖力を身に付けた狐の野狐(やこ)。
地狐・中狐・宙狐などがあるが、これらは野狐クラスに属する。
野狐が歳月を経て妖力を増すと尾の数が増えるのでレベルが判別できる。
九尾の狐はその最上位で、これより尾の数は増えないそうだ。
クラス地狐の上位からクラス気狐の下位あたりが九尾というところか。
白狐・赤狐はクラス分類で気狐にあたり、妖力が高まるほど尾の数は減る。
気狐の上位は四尾の狐となる。
1000年以上この世に居た妖狐は天狐、さらに3000年以上経つと空狐となり、
尻尾は無く姿も狐ではなく人間になると言われる。
天狐・空狐の総称が仙狐であり、広義には1000年以上生きた狐を言う。
他に金狐・銀狐などの種類があるが、
これらはダキニ天の眷属で精霊。妖怪のヒエラルキーとは系が異なる。
式神
「十二神将の宴」
[スペル]
藍のスペルの一つ。じゅうにしんしょう(じんしょう)のうたげ。
十二個の魔法陣が画面各所に配置される。
配置につくまでは真下に、位置につくとそれぞれ楔弾を打ち出す。
8つの陣はそれぞれ四方向に楔弾を放ち続け、画面をいくつかのパートに分ける役目、
残り4つの陣は各々全方向に楔弾を打ち出す。
また、藍からも自機照準多WAY弾丸が放たれる。
十二神将は仏典に登場する神々で、十二夜叉大将、十二天将とも呼ばれる。
各々7000、計84000の眷属夜叉を率い、薬師如来を信仰するものを護る。
十二尊ということから昼夜十二時の護法神とされ、やがて十二支と関連付けられるようにもなった。
また、安倍晴明が使役したと言われる式神も十二神将と呼ばれる。
他のスペルを考慮しても、どちらとも関連しそうで
「十二神将の宴」がどちらの十二神将を指すか判断不能。
安倍晴明はまた、「信太(地名)の狐」の子であるという説話もあり、狐と関連もする。
【改訂用の備忘録】
荒俣宏の 「帝都物語」
において、加藤保憲が使役した式神も十二神将であった。
安倍晴明の式神の方にちなむもの (またはそのもの) であろう。
式輝
「狐狸妖怪レーザー」
[スペル]
藍のスペルの一つ。こりようかいレーザー。
自機に向け大玉を発射、大玉は中玉と弾丸群を率い、経路にレーザー源を配置して行く。
レーザー源からは大玉軌道に対してそれぞれ左右交互の向きにレーザーが放たれる。
・狐狸
…「キツネとタヌキ」
キツネもタヌキも人を化かすと言われる動物で、
「狐狸妖怪」と四字熟語風な表現もある。
狐と光が関連すると言えば、狐火か。
怪火(あやしび)の一種で、夜、道のない山腹などに火が点々と見えたり消えたりする現象。
狐松明(きつねたいまつ)と呼ぶところもある。
炎は点滅し、数十個〜数百個と数を増したかと思うと突然消え、再び数を増したりする。
式輝
「四面楚歌チャーミング」
[スペル]
藍のスペルの一つ。
大玉群を全方位に放出、それらは時計回り群と半時計回り群があり、
微妙に交差して自機に襲いかかる。
また、粒弾が順次断続的に藍の左右に展開、
その後交差系に降り注ぎ、流動的な網目を形成する。
網目の変動に合わせて移動し、その最中に大玉群を抜ける、
藍の最難関符の一つとして名高い弾幕。
・四面楚歌 …「周りが敵や反対者ばかりで、味方のないこと。孤立無援」
・charm
…「魅了する、魔力や魅力で人などを操る、誘惑する」
陰陽師・安倍泰親に正体を看破された玉藻前は宮中から遁走、行方をくらます。
その後、那須野での人攫いが宮中に伝わり、九尾の狐討伐軍が編成される。
その軍勢は8万余りに及んだそうだ。
那須野での第一次会戦は、九尾の狐の妖術により多数の戦力が失われ失敗に終わる。
十分な対策と訓練を為した後、再度攻撃を開始。
訓練の甲斐あって討伐軍は次第に九尾の狐を追い込む。
九尾の狐は最後の抵抗として、那須の領主・須藤権守貞信の夢の中に現れ、
若い女性に化けて許しを願う。
貞信はこれを九尾の狐が弱ったものと読み、最後の攻勢に出、九尾の狐を仕留めることに成功した。
四面楚歌は第二次会戦後に追い詰められた九尾の狐を指し、
チャーミングは若い女性に化けて夢に現れ許しを請うた様を指すものと思われる。
また、キツネをはじめイタチやオコジョの類は、
その狩猟方法に「チャーミング」という手法を取ることで知られる。
獲物となる小動物は、危険を感じるとすばやく穴に逃げ込んでしまうため、
それを防ぐために一芝居打つ行動。
苦しそうに転がったり自分の尻尾をぐるぐると追いかけたりを続けると、
獲物たる小動物は危険を感じず、むしろ興味をひきつけられる。
キツネは演技を続けながらじわじわと距離を詰めてゆき、
獲物が射程距離内になったところでパッと捕えてしまう。
九尾の狐の四面楚歌チャーミングも、魅了されてしまったら最後、
手ひどい返り討ちあるいは部隊全滅の憂き目にあったことだろう。
式輝 「プリンセス天狐
-Illusion-」
[スペル]
藍のスペルの一つ。
全方位に蝶弾群を放出と同時に、自機狙いに大玉と大玉に率いられる中玉&弾丸群を放つ。
攻撃後、藍は姿を消し、自機位置に移動。
出現後に同様の攻撃をし姿を消す、を繰り返す。
天狐については「仙狐思念」の項を参照。
ハイクラスの妖狐で、さらに上位の空狐とともに仙狐と総称される。
少なくとも1000年以上生きている。
そして、言わずもがなだが、元ネタはプリンセス・テンコーこと二代目
引田天功。
奇術師、イリュージョニストにして日本奇術協会国際交流委員長。
初代の死後、二代目を襲名し、その遺志を継いで命懸けのイリュージョンを展開する様になる。
世界各地で公演を展開し、「プリンセス・テンコー」の愛称で知られる。
設定上は引田天功とプリンセス・テンコーは別のキャラクターとされており、
日本人の引田天功に対してプリンセス・テンコーはアメリカ出身アメリカ人であり
演じるマジックやイリュージョンも全く別々のものとなっている。
アメリカではプリンセス・テンコーを主人公としたアニメが放映され
テンコー・ドールなる人形も売り出されるほどの人気である。
これに伴う米国プロダクションとの契約から、
年は24、髪型、メイク、体重、体形は固定され、変えることが禁じられている模様。
テンコー・ドールはバービー人形で有名なマテル社より発売されている。
「人形裁判」のマテル社。人の形弄びs
式弾
「アルティメットブディスト」
[スペル]
藍のスペルの一つ。
藍から放たれる4方向レーザーが、中継点で一度向きが変えられ、
全体として卍型となり、これが回転する弾幕。
青レーザー時は青弾丸をばら撒き、赤レーザー時は赤中玉を自機依存で5方向に放射する。
・ultimate
…「究極の、最終の、根本の、最高の、最大の、最も遠い」
・Buddhist …「仏教徒、仏陀の、仏教の」
卍(まんじ)は仏教で用いられる吉祥の印で、
向きが二種類あるが日本ではこちら(卍)が多用される。左まんじとも言われる。
右まんじについてはナチのシンボルマーク・鍵十字あるいはハーケンクロイツとして有名で
世界的にタブーとされ、卍もしばしば同一視される。
(そもそものナチ党が左と右を厳密に区別せず、単に右まんじを多用しただけ、という話もある)
卍の由来は諸説あり、ヒンドゥー教ヴィシュヌ神の胸のつむじ、仏教釈迦の胸の瑞相など。
左まんじ卍は「和」のもと、名前の示すように「万」の元などと言われる。
仏典を通して中国に伝わり、元はサンスクリット語のシャリーヴァトゥサが室利靺蹉と音訳、
吉祥喜旋、吉祥海雲と漢訳された。
徳とか万(萬)と訳されるうちに、卍の中国語発音がと意味「吉祥万徳の集まる所」が定められ
漢字として扱われることになった。(なので「まんじ」は正確には「卍字」)
Ultimate
Buddhist.
「究極の仏教徒」
仏教では、人が自ら「真理(法・ダルマ)」に目覚めて「悟り」を得る過程が重視され、
最終的には「自分として執着している自我は実体ではない=無我」と悟り、
苦の束縛から解放される「解脱」を求める。
悟りの境地は涅槃と呼ばれ、エゴや煩悩が消失した状態である。
人間は六道輪廻のうちの人間道にたまたま生まれているに過ぎず、
六道輪廻の苦からの解脱なくして永遠の安寧は得られない。
というわけで意訳すれば「解脱者」かな。
本スペルの上位版は「禅寺に棲む妖蝶」である。
狐と禅と言えば、「野狐禅(やこぜん)」という言葉がある。
「禅の修行者が、まだ悟りきっていないのに悟ったかのようにうぬぼれること。
物事を生かじりして、知ったような顔でうぬぼれること。」の意。
アルティメットと見せかけて、実は悟入幻想?
紫にもしばかれる。
式弾
「ユーニラタルコンタクト」
[スペル]
藍のスペルの一つ。
無数の針弾の放出と自機依存の蝶弾放射が為される。
蝶弾は飛び去るが、針弾は展開後、藍方向の重力に引かれる様に軌道を曲げて落下、
藍を中心にスイングバイ軌道に乗って再度襲いかかる。と同時に第二波が展開される。
・unilateral
…「一方的な、片側だけの、一方の、片側性の」
ユーニラタラル、ユーニラトゥラルという具合の発音で、最初のラにアクセント。
最後のラルは弱く、辞書によっては発音記号を"rl"としている。
下手にユーニラタラルと言うよりユニラタルゥとか嘘発音する方が通じるかも。
・contact …「接触、つきあい、関係」
Unilateral
Contact.
「一方的な接触」
チカンあかん!(違う)
コックリさんなど交霊術や式神の使役、悪魔の召喚などは
一定の手順に沿った術式をもって人間側からコンタクトがなされる。
あちら側からの接触に術式・手順が必要という設定はほとんどない。
コックリさんが寝てようが他の妖怪と談笑している時だろうが
人間はいつも一方的にコンタクトを取ってくるのである。
逆に、狐狸妖怪はじめ怪異の類は、
自分たちが妖怪であるという存在理由や単に食欲や戯れなどから
人間に一方的に危害を加える側であるというとらえ方もある。
退治とか返り討ちとかは二次的な接触。
金融・法律などの用語に
"unilateral contract"、"unilateral compact"
がある。
どちらも「片務契約」を意味する。
当事者の一方だけが相手方に対して何らかの債務を負っている契約を言う。
贈与契約、使用貸借、消費貸借、無償の寄託、無償の委任などがこれにあたる。
贈与契約ならば、贈与者は物を相手に引き渡す義務を負うが、
相手側は何の義務もない、という具合。
まぁ、単に
"contact" と "contract、compact"
のシャレか、という深読み。
狐狸妖怪との契約は「片務契約」に終わり、騙されたー!というオチに?
式神
「橙」
[スペル]
藍のスペルの一つ。ちぇん。
藍が自身の式神である橙を召喚。
中ボス戦でコテンパンにされたが、主人の召喚に健気に応じる猫娘。
橙は画面の左右を壁から壁へジグザグに横切り、壁で折り返す際に弾丸群を撒く。
藍は定位置におり、自機依存に粒弾群を投射する。
橙に轢かれないよう注意しながら弾幕をかいくぐる。
せっかくステージタイトルなので、中ボス戦だけでなく、ボス戦にもちょこっと参戦。
妖怪の式の式。
「狐狗狸さんの契約」
[スペル]
藍のスペルの一つ。こっくりさんのけいやく。
藍が画面から居なくなる、回避特化弾幕。
画面端各辺から反対の辺に向けて弾丸が次々打ち出され、四方からの弾の通り道ができる。
時間が経つと列が増える。
また、自機周囲を6本×2のブレードが回転し、「出てはいけない」サークルが形成される。
このサークルは画面内の定められたコースを巡るため
プレイヤーはそれに従って移動し、弾丸の行列をたびたび横切ることになる。
後半になるとサークルは中央に位置し、円はどんどん小さくなる。
画面四隅からの放射弾丸群も加わり、
タイムアップ間近になると非常に小さい領域内で四方からの弾丸群を回避する。
弾丸の行列は、さながらキツネの嫁入り行列だろうか。
狐狗狸さんについては、レティの「テーブルターニング」の項を参照。
テーブルターニングとウィジャ盤を起源とする、
霊的な存在との交信や予言を授かるためのオカルト的手段。
「〜〜を教えてください」の質問文ばかりで構成される交霊術であり
特に供物や祭器・魂などを捧げて呪詛を行ってもらうなどの「契約」の類は絡まない。
準備物を揃える・コインから指を離さない・行き帰りを促す文言を唱える、が簡単なルールで、
地方によったり派生した類似の遊びがあったりと、アレンジの幅は広く
厳密な「契約」のニュアンスは伺えないが、
お越しいただく
→質問に回答していただく
→お帰りいただく
という内容の略式的契約だろうか。
たまにこっくりさんがだだをこねて、
「お帰りください」と言ってもコインは「いいえ」に進むばかりで
子供たちがパニックになったりするらしい。
こき使われるばかりの片務契約だから怒ったりするのかも。
幻神
「飯綱権現降臨」
[スペル]
藍のスペルの一つ。いづなごんげんこうりん。
Extraの最終スペル。
時間あるいはダメージ依存で攻撃がどんどこ激しくなる。
粒弾、蝶弾、大玉、楔弾、中玉2種、と全方位に放出される弾の種類が追加されていく。
・飯綱 …「飯綱使いが用いる想像上の小動物」
・権現 …「仏・菩薩が人々を救うため仮の姿をとって現れること」
・降臨 …「天上に住むとされる神仏が地上に来臨すること」
飯綱は、飯綱使いと呼ばれる使役者が用いる、10cmほどの動物で、使い魔のような存在。
しばしば管狐(くだぎつね)と同一視される。
飯綱・管狐を使役する術を飯綱の法術という。
飯綱はその使役する術の名を冠し、東北や関東が中心、
管狐は、竹筒の中で飼ったり携帯できたということに名が由来し、新潟や中部が中心である。
これらを飯綱使いなどと呼ばれる霊能者が使役し、その通力を占術などに使用した。
地方により(特に管狐の方は)狐憑きの要因とされ忌み嫌われた。
もとは天狗に使役される使い魔。
狐に乗った天狗を飯綱権現とし、これを主祭神として祀る飯綱神社が各地にある。
飯綱使いの飯綱の法術は、この飯綱権現から教わったものとされる。
本スペルは、この飯綱権現を降臨させた、というもので、
管狐に仮の姿をとらせて降臨させたものではない。
管狐は上記の様に狐憑き・外法と忌み嫌われたため、
霊能者が、「うちは外法をやってませんよ」という印に猫を飼ったりするらしい。
猫はクダやイズナを食べるとされるため。
つまり、藍が飯綱を召喚するとすぐさま橙に食べられてしまう恐れがあるため
ここでは飯綱の使役者の飯綱権現を呼んだと考えられる。
ちなみに、イタチ属にイイズナという動物が実在し、
また、管狐はオコジョ(同じくイタチ属)の別名に用いられることもある。
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