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マヨヒガの黒猫
 
 [タイトル]
 
 Stage2のタイトル。
 白銀色ではなくなったが、寒さがまだそこは冬であることを教える。
 春を目指して飛ぶうちに、辺鄙な集落に迷い込んでしまった…。
 
 マヨヒガとは、柳田國男の「遠野物語」に記される、不思議な屋敷マヨヒガから。
 迷い家とも書く。
 妖怪あるいは怪体験の一種。屋敷幽霊(幽霊屋敷ではない)かも。
 山で道に迷った人が、極稀に意図せず見つける立派な屋敷。
 中には膳椀や湯などがあるが、人の気配は無い。
 マヨイガから何か器物・調度品を一つでも持ち帰れば幸福になれるという。
 (必ず持ち帰らなければならないという説もある)
 
 タイトルと共に以下の字幕も現れる。
 
 "It wavered in the village in which people are not."
 ""MAYOIGA"(apparitional village) refused human always."
 
 「人の気配の無い集落に迷い込んでしまった。」
 「「マヨヒガ」(集落の幽霊)は人を拒むのである。」
 という感じの意訳で。
 本作ではマヨヒガを屋敷一軒ではなく、集落・村としている。
 
 前述の通り、柳田國男の「遠野物語」のマヨヒガ(迷い家)が元ネタ。
 また、ZUN氏の好きなアーティストである姫神も
 「マヨヒガ」というタイトルでアルバムをリリースしている。

 
 
遠野幻想物語
 
 [音楽]
 
 Stage2テーマ曲。
 〜曲名通り、遠野郷をイメージしています。〜
 〜日本の山奥というと、柳田翁を思い浮かべてしまいます。
  アカデミックなのかオカルトなのか、ってくらいが良いんでしょうね。〜

 (曲解説より)
 
 氏の言にある通り、柳田國男の「遠野物語」が元ネタ。
 1912年に発表された、岩手県の遠野をはじめ東北地方の
 伝承・説話を記録したもので、柳田民俗学の出発点とも言われる。
 岩手県遠野市は北上高地の中南部に位置し、四方を山に囲まれた地。
 1954年の合併で誕生する前、遠野物語が世に出た頃は遠野町があった。
 河童や座敷童子などで全国的に知られ、カッパ淵などがある。
 また、先述の姫神も、東北地方や遠野郷を題材とした楽曲も成しており、
 「姫神名作大全集 / 遠野」などのアルバムがある。

 
 

 
 [キャラクター]
 
 Stage2のボス。
 「凶兆の黒猫」
 チェンと読む。
 山に棲む化け猫(猫又)の類に、式神を降ろしたもの。
 ただし、式が憑いていなくても外見は同じ。
 猫又とは、10歳あるいは40歳以上の飼い猫が変化する妖怪で、
 二股の尾を持ち、人語を解し、人語を話す。
 橙は、通常モードでは人を驚かす程度の能力しか持たない。
 鬼神を憑かせることで高い妖力を得るが、橙の使役者も式神であり、
 つまり橙は式神の式神であるという希釈系列で、その能力はやや低い。
 主に妖術を扱う程度の能力を持つ。
 
 は、中国語読みで「チェン(cheng)」と発音する。
 漢字の通り、ダイダイやオレンジ、また、ダイダイ色、オレンジ色を意味する。
 
 橙の使役者が藍(らん)であり、(Extraボス)
 藍の使役者が紫(ゆかり)である。(Phantasmボス)
 橙→ 藍→ 紫と、虹の七色(赤〜紫)で言えばより後になる順に並んでいる。
 赤・橙・黄・緑・青・藍・紫
 物理的には、光の波長が長く、振動数が小さく、すなわちエネルギーが低いほど赤寄りで、
 波長が短く、振動数が大きく、すなわちエネルギーが高いほど紫寄りとなる。
 赤よりも波長が長いものが赤外線、紫よりも波長が短いものが紫外線である。
 可視光線としては、エネルギーで比べると一番弱いのが赤で、一番強いのが紫ということ。
 使役のヒエラルキーが可視光のエネルギーの高低に基づいていると考えられる。
 Stage2とExtra、Phantasmという具合に、難易度にも対応していると思われる。
 
 ZUN氏の好きな作家の一人である藤木稟の小説・朱雀十五シリーズ「上海幻夜 七色の万華鏡編」に
 チェン)という名の、上海の少女娼婦見習いが登場する。
 舞台は、租界が広がりつつある20世紀初頭の魔都・上海。
 纏足は痛い。

 【改訂用の備忘録】
 ・ZUN氏の好きな作家、荒俣宏の代表作、「帝都物語」 では
  加藤保憲なる魔人が式神を自在に使役するが、それらの式神は
  橙色の光を纏っている。
 ・ZUN氏の好きな作家、藤木稟の 「陰陽師 鬼一法眼 <二> 朝幕攻防篇」 には
  鬼一法眼の式神・妖怪猿の見融と、見融の式神・妖怪猫の式部が登場する。
  「式の式」 の元ネタであろう。

 
 
ティアオイエツォン (withered leaf)
 
 [音楽]
 
 橙のテーマ。
 〜元気な妖怪少女のイメージで作曲しました。〜
 〜枯葉色です。冬というよりは秋。
  私にとって猫は秋のイメージがあります。
  過酷な冬も夏も越せない、春の瑞々しさも猫に合わない。
  そんなイメージが。〜
 (曲解説より)
 
 ティアオイエツォンとは「凋叶棕」と書く中国語で、色の名前。
 日本の色名で言う朽葉色にあたるらしいが、未確認。
 朽葉色は、染め色の名で、赤みがかった黄色。あるいは黄褐色の淡いもの。
 検索で出てくる朽葉色も示された色はサイトによって違っていたので、
 意味合いが同じというだけで、凋叶棕と朽葉色が
 全く同じ色を指すとはかぎらないとも思える。
 ZUN氏の言にある通り、枯葉色でも良いと思う。
 
 ・ …(diao)「しぼむ、枯れる」
 ・ …(ye)「葉」
 ・ …(zong)「棕櫚(しゅろ)=ヤシ科の常緑高木、掌状に深裂した葉を持つ」
 ・棕色 …(zong se)「茶褐色、とび色」
 
 英題は「枯れ葉」の意味。

 【改訂用の備忘録】
 〜朽葉色 (くちばいろ)
  文字通り植物の葉が落ちて腐った色というわけで、平安時代から用いられた色名。
  衣服の色としては広く用いられて、「朽葉四十八色」 といわれるほどにさまざまな
  バリエーションがありました。黄朽葉、赤朽葉、青朽葉、濃朽葉、薄朽葉など。
  英語にウィザード・リーフ、リーフ・ベージュ、デッド・リーフ、フランス語には
  フォイーユ・モルト (枯葉)、中国語にも枯葉の色を表す
  凋叶棕 (ティアオイエツォン) がある。
 (「色の名前」 (角川書店刊) より)

 
 
仙符 「鳳凰卵」
 
 [スペル]
 
 橙のスペルの一つ。
 当たり判定の無い泡が橙から放たれる。
 泡が弾けると共に全方位に楔弾が放たれ、曲線軌道で散開する。
 
 鳳凰は、中国の伝説上の鳥であり、しばしば朱雀と同一視される。
 フェニックスではない。
 背丈が1m以上で、五色絢爛な色なみと、五音を発するとされる声を持つ。
 瑞獣のひとつで、麒麟・霊亀・応龍とともに四霊と総称される。
 羽ある生物の王とされ、古くは風を司るとされた。
 後に五行説の流行から、四神のひとつ朱雀と同一視され、
 これにより「火」と強く関連付けられた。
 
 ちなみに、一万円札の裏の変な鳥は、
 平等院鳳凰堂の屋根の上の鳳凰像である。

 
 
仙符 「鳳凰展翅」
 
 [スペル]
 
 橙のスペルの一つ。ほうおうてんし
 Hard、Lunatic で使用してくる、鳳凰卵の上位版。
 鳳凰卵が四・五重になった感じ。
 
 ・展翅 …「標本にするため、昆虫の羽を広げ、固定すること」
 ・展翅(zhan chi)…「翼を広げる」
 
 「」の「はね」は、昆虫の羽くらいの意味でしか用いられていない気がするが、
 本来は鳥の翼・虫の羽の意味を持つ。
 中国語で「」は鳥の翼も意味する。
 卵から孵った鳳凰が翼を広げる様か。
 めでたい瑞獣の神々しい姿、とてもめでたい。
 
 「鳳凰展翅」はそのめでたさから、中国料理の名前にもなっている。
 その読みはフォンファンチャンチ
 また、料理以外にも中国では多様に用いられている。→[イメージ検索]

 
 
式符 「飛翔晴明」
 
 [スペル]
 
 橙のスペルの一つ。ひしょうせいめい
 五芒星あるいは晴明紋を描く様に、橙が素早く移動し、
 星型の各頂点で全方位に楔弾を放射する。
 そのまま飛来すると見せかけ、橙の術で弾道が右よりあるいは左よりに
 曲線を描く様に捻じ曲げられる。
 
 「晴明」は有名な陰陽師の「安倍晴明あべのせいめい)」を指す。
 天文道と陰陽道に卓越し、呪術・科学・占いのエキスパートであった大陰陽師。
 五行の象徴として、五芒星の紋を用いた。
 五芒星の紋が、晴明紋、または、安倍晴明判紋などと称される所以である。
 晴明紋はまた、キキョウの花の形との類似から桔梗印、桔梗紋などとも呼ばれる。
 陰陽道は、中国の陰陽五行説(陰陽思想+五行思想)を元に
 神道、道教、仏教の影響を受けて発展した日本特異のものであり、
 その道に携わるのが陰陽師である。
 晴明が五行にちなんで五芒星の紋を用いたのもそういった理由からであろう。
 安倍晴明は、一説には「信太の狐」の子とも言われており(信太は地名)
 橙の使役者である藍が妖怪狐であることと関連するか。
 
 飛翔晴明
 ……晴明さん、飛べるんスか(汗)
 
 ちなみに、陰陽+五行=日月火水木金土、で前作のパチュリー・ノーレッジなわけだが、
 そこは術者が洋の東と西、使う術も異なって当然ということかな。

 
 
陰陽 「道満晴明」
 
 [スペル]
 
 橙のスペルの一つ。どーまんせーまん
 Hard でのみ使用する、飛翔晴明の上位版。
 ばら撒き楔弾を右に左に術で捻じ曲げるのに加え、
 術の影響を受けず、素直に飛来する弾丸をもばら撒く。
 
 「晴明」については前項を参照。
 「道満」は、安倍晴明のライバル、蘆屋道満。
 道摩法師とも言う。というか、こちらが正式か。
 
 安倍晴明判紋は、紀州あたりでは「ドーマンセーマン」とも呼ばれる。
 (セーマンドーマンとも)
 ドーマンは蘆屋道満、セーマンは安倍晴明のことと言われる。
 荒俣宏の「帝都物語」でも紹介されている。
 本スペルはそれらを踏まえた上で「ドーマンセーマン」と読ませる当て字と考えられる。
  
 もう少し詳細を述べると、ドーマンが指す判紋とセーマンが指す判紋は
 どちらも晴明紋の五芒星を指すというわけではなく、
 ドーマンの方は九字紋を指すと言われる。(セーマンは五芒星)
 九字紋は、横5本・縦4本の線を格子型に交わらせたもの(線は全て縦横にはみ出す)。
 橙のスペル発動時背景が格子状でちょっとそれっぽいが、あれはどちらかと言えば平安京か?
 一般に早九字と呼ばれるものも同じ九本の線を描くもので、
 臨兵闘者皆陳裂在前の九字を印を持って結ぶ時間がない時に使用する。
 九本の線が九つの字それぞれに対応する。

 
 
陰陽 「晴明大紋」
 
 [スペル]
 
 橙のスペルの一つ。せいめいだいもん
 Lunatic でのみ使用される、道満晴明の上位版。
 
 ・大紋 …「大形の紋様。大形の家紋を五か所に染めた直垂」
 
 上にたくさん解説してきたから書くことがない。
 強いて言えば、家紋を五か所に施すことと五芒星が5で共通。

 【改訂用の備忘録】
 「×じるしですか?」
 「さよう。日本の最も古い魔除けだが、むろん源は中国だろう。中国では<文>という。
 あざやかだという意味だが、もとは額や胸にいれた刺青のことだ。つまり聖なるしるし
 付きの人間になるわけで、この×じるしが日本にはいって晴明判紋になった。星形、つ
 まり☆がそれだ。しかしこの判紋にはもう一つ別の形がある」
 「犬じゃよ。犬という文字じゃ。幸田さんは東京のお方とお見うけするから、赤んぼうが
 生まれると、その子の額に朱か墨で犬という字を書いて魔除けにする習慣をお持ちだ
 ろう。それから、赤んぼうがぐずると、<インノコインノコ>といってあやすだろうが。あれ
 はイヌノコ、つまり犬の子という意味の呪詞といわれておる。関西では赤んぼうが生まれ
 ると犬箱を置き、関東では、犬張子を飾る。いずれも犬じゃが、これはすなわち晴明判
 紋と同じ強力な魔除けなのだ。それ、犬とか大という文字は☆じるしとおく似ておろうが」
 「なるほど」
 (「帝都物語 第壱番」 荒俣宏著、角川文庫、より)
 大と☆はよく似ていることから、晴明大紋は大型の晴明紋の意に加えて、
 晴明紋の星印そのものを表していると言えよう。

 
 
天符 「天仙鳴動」
 
 [スペル]
 
 橙のスペルの一つ。てんせんめいどう
 丸まった橙が画面を縦横に駆け抜けながら弾丸群を放射して回る。
 ある程度弾丸を撒いたところで突如停止し、何やら術を及ぼすと
 画面中の弾丸がそれぞれいくつかの小弾に分裂し、ランダムに降り注ぐ。
 
 ・天仙 …「天に居て、自由に雲中を移動することのできる仙人」
 ・鳴動 …「大きな音を立てて揺れ動くこと、地鳴り」
 
 仙人は、高い山の上や天上などで暮らし、仙術を操る不老不死の人を指す。
 羽人とも呼ばれる。
 また、このような基本的な仙人とは異なる、
 自分の死後、死体を尸解(しかい)して肉体を消滅させ仙人になった尸解仙、
 羽化昇天して仙人となる天仙、地仙、西遊記の孫悟空のような妖仙などもある。
 
 天仙の大騒ぎ、の意か。
 あるいは、「大山鳴動して鼠一匹」と掛けたのかもしれない。(泰山とも書く)
 前触ればかりが大きくて、実際の結果の小さいことの例え、と国語辞典にある。
 もともとは西洋のことわざ "The mountains have brought forth a mouse." に由来する。
 本スペルの前半は、橙が大きく動き回り弾丸をばら撒くが、
 橙に攻撃を当てることを重視しなければ(重視しても?)たいした弾幕ではない。
 しかし、後半は、橙の位置も固定で降り注ぐ弾丸も小さくなるが、
 弾丸の数、ランダム性、加えて加速弾であることが脅威となる。
 前触ればかりが大きく演出されるが、攻撃の本質は後半の小弾幕にあり、ということか。
 「大山鳴動してプレイヤー一人」略して「天仙鳴動」。(合体漢字)

 
 
翔符 「飛翔韋駄天」
 
 [スペル]
 
 橙のスペルの一つ。ひしょういだてん
 Hard で使用される、天仙鳴動の上位版。
 丸まった橙が画面を縦横に駆け抜けながら楔弾群を放射して回る。
 自機に飛来する楔弾の運動成分はある程度まとまっており、
 複雑交差系弾幕という感じ。
 
 韋駄天は、もとはバラモン教の神スカンダが仏教に取り入れられたもの。
 私建陀、塞建陀、垓陀、韋駄などと音訳され、仏教の伝播過程で「韋駄天」となった。
 増長天に従属する八将軍の長であり、四天王それぞれの八将軍を合わせた三十二将軍の長とされる。
 僧あるいは寺院の守護神とされる。
 高速で駆け、魔を排除する。

 
 
童符 「護法天童乱舞」
 
 [スペル]
 
 橙のスペルの一つ。ごほうてんどうらんぶ
 Lunatic で使用される、飛翔韋駄天の上位版。
 楔弾の弾速が上がり、難易度上昇。と思う。
 
 護法天童は、護法善神に使役される童子姿の鬼神で、護法童子とも呼ばれる。
 護法善神とは仏法を守護する善神で、
 梵天、帝釈天、四天王、十二神将、十六善神、二十八部衆などを指す。
 また、陰陽師の使い魔が式神であるのに対して、
 密法系の高僧・山伏や修験者系統の道士に使役される使い魔ともされる。
 単に護法とも呼ばれる。

 
 
仙符 「屍解永遠」
 
 [スペル]
 
 橙のスペルの一つ。しかいえいえん
 丸まった橙が画面上部をゆっくりと動き回りながら、
 ∞型に楔弾群を乱射する。
 
 「天仙鳴動」の項にも記したが、
 肉体を残さず死体を消滅させて昇天するあるいは仙化することを
 尸解または屍解と言う。(尸は屍の略字なだけだが)
 そうして仙化した仙人を尸解仙と言い、
 読みは「しかいせん」あるいは「しげせん」である。
 仙人の格は天仙・地仙・尸解仙の3種で、尸解仙は一番下のクラスである。
 仙人は不老不死であり、尸解後は永遠に仙人であり輪廻から外れる。

 【改訂用の備忘録】
 ZUN氏の好きな作家、荒俣宏の 「帝都物語」 にて、
 魔人・加藤保憲は屍解を経て不死者として現世によみがえった。
 (参考:荒俣宏著 「帝都物語 第四番」 角川文庫)

 
 
鬼符 「鬼門金神」
 
 [スペル]
 
 橙のスペルの一つ。きもんこんじん
 Hard でのみ使用される、屍解永遠の上位版。
 丸まった橙がその場から動かず、全方位に速度の違う楔弾を乱射する。
 
 ・鬼門 …「陰陽道で、鬼が出入りするとされる不吉な方角、北東(艮)」
 ・金神 …「陰陽道で祀る方位の神」
 
 鬼門は、古代中国の「山海経」が元となっており、北西(乾)を天門、南西(坤)を人門、
 南東(巽)を風門、北東(艮)を鬼門としたことによる。
 鬼門とは反対の南西(坤)の方角は裏鬼門と言い、こちらも忌まれるが鬼門ほどではない。
 陰陽道では、北・西が陰、南・東は陽とされ、
 陰と陽の境となる北東と南西は不安定であるとされた。
 京都に対する比叡山延暦寺、江戸に対する上野寛永寺は共に鬼門避けである。
 
 金神は方位神の一つであり、方位神とは九星術から生まれた神である。
 吉神のいる方角を吉方位、凶神のいる方角を凶方位というように、
 方角に対して吉凶の作用をもたらすと考えられた。
 自分の行きたい方角が凶方位である時に、一旦他の方角に逸れてから目的地に向かう
 方違え(かたたがえ)は平安時代に流行した。
 鬼門は固定方位だが、方位神はその年の十干によって動き回る。
 恵方参りや関西の恵方巻きの「恵方」が毎年異なる方角なのはそのため。
 ただ、一年を通して凶神が一つの方角に居座るとかなりの迷惑になるので、
 ある期間は他の方位に遊びに行ったりする。
 金神は凶神の一つで、金神の在する方位に対してはあらゆることが凶とされ、
 特に土を動かす、造作・修理・移転・旅行などでこの方位を犯すと
 家族7人に死が及び、家族が7人に満たない場合は隣家にまで及ぶとまで言われる。
 
 鬼門金神で、縁起でも無いに程がある。
 さすがは凶兆の黒猫。

 
 
方符 「奇門遁甲」
 
 [スペル]
 
 橙のスペルの一つ。きもんとんこう
 Lunatic でのみ使用する、鬼門金神の上位版。
 丸まった橙が画面上部を移動しながら全方位に楔弾を乱射する。
 
 奇門遁甲とは、中国で発明された方術で、
 陰陽二つの気の動きに応じて身を隠したり災難を避けたりするための方位魔術。
 天の九星・地の八卦に助けを借り、
 八門遁甲とも言われる門(各方位)のうち どこが吉か凶かを知る。
 天・地・陰・陽の力を使うため、三次元的な系に関わる高度な計算が必要とされる。
 行方をくらましたり、敵を誘い込む罠にも利用された。


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