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補遺1・パチュリーの魔法体系 / 補遺2・咲夜とレミリア / 補遺3・紅魔郷の舞台

Acknowledgements & References

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東方紅魔狂 〜Sister of Scarlet
 
 [タイトル]
 
 Extra ステージのタイトル。
 とうほうこうまきょう 〜シスター・オブ・スカーレット
 紅魔館を包むように降りだした雨。
 流れ水を越えることができないレミリアは、出先の神社に足留め。
 霊夢または魔理沙は様子を伺いに紅魔館へと赴く。
 紅魔郷の第二のお祭り。
 狂おしい弾幕囃し。
 その雨はレミリアを紅魔館に戻さないためのものではなく、
 紅魔館の内に孕む狂気を留めるための偏雨であった。
 
 ・
  「気がくるうこと。心の常態を失すること。一事に熱中して溺れる人。
   あれくるうさま。諧謔、滑稽」
 
 Extra の狂気はゲームタイトルの印象を変容せしめる。
 東方紅魔郷は東方紅魔 「狂」 に。
 「やめときな! 気がふれるぜ?
 
 「スカーレットの妹」
 危険の源はレミリアの妹
 もう一人の紅い悪魔
 狂いの紅魔

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (狂)



魔法少女達の百年祭
 
 [音楽]
 
 Extra ステージのテーマ曲。
 まほうしょうじょたちのひゃくねんさい
 〜エキストラステージのテーマです。
  時折中華風です。時折ニューエイジ風です。それはなぜか?
  何もテーマも考えずにキーボードを弾いてしまったら、
  こうなってしまいました。私の惰性の集大成みたいな曲です。
  よく聴くと、謎めいたフレーズが詰まっています。
  私のおもちゃ箱ですね。〜

 (恋々音樂館 より)
 百年に一度行われる収穫祭のようなものです。
  何が収穫されるのでしょう(笑)〜

 (おまけ.txt より)
 
 魔法少女とは、日本の漫画・アニメにおけるキャラクター類型の一つ。
 多くは十代の少女が、魔法・超能力など何らかの超自然的な能力を行使する。
 魔女や魔法使いとも言えるが、少女であることが強調され、
 魔法少女あるいは魔女っ子の語が用いられる。
 東方作品の少女達は、魔法を使う魔女をはじめ、
 個性的な超自然的能力を持つ少女達であり、魔法少女と言える。
 明確に 「魔法少女」 と言及されるのは
 本ステージボスのフランドールのみであるが、
 この曲名には魔法少女 「達」 とあり、フランドール以外の少女達も含まれる。
 
 百年祭は、多くは百周年を記念するお祭。
 人物や都市・町村など、生誕百周年記念のフェスタまたはイベントである。
 ここではパチュリー (約100歳) の生誕百年祭、紅魔館移転百年祭などが
 想像出来るが、定かではない。
 自機の命あるいはコインが収穫されるお祭。
 
 また、フランドールと百年の関わりとしては次の事柄もあるが、関連は不明。
 ・百年戦争
  「フランス王位の継承問題に、羊毛工業の盛んなフランドル地方領有の問題が
   加わって、1337〜1453年、百十数年間にわたってイギリス・フランス間で
   断続的に行なわれた戦争。1430年頃までイギリス軍はフランス北部および
   南西辺を占領したが、ジャンヌ=ダルクの出現などによって、フランス軍が
   攻勢に出、カレーを除いて全国土を奪回、戦争は終結」

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (百年戦争)
 「Wikipedia」 (魔法少女



フランドール・スカーレット
 
 [キャラクター]
 
 Extra ステージのボス。
 「悪魔の妹
 レミリアの妹。吸血鬼にして魔法少女。
 少々気がふれており、紅魔館内に幽閉されている。
 が、特に自ら外出しようともしない。
 最近は姉がしばしば神社へ出掛けていることを知り、
 外界に興味が湧き、自分も紅魔館敷地外へと出てみたくなる。
 食料として加工された後の人間しか知らなかったため
 実物の人間を見てみたくなったのかもしれない。
 ところが、その行動はパチュリーの降らせた雨に阻まれてしまった。
 ありとあらゆるものを破壊する程度の能力を持つ。
 
 ヨーロッパの一地域にフランドルFlandre) がある。
 オランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にかけての地域を指し、
 日本では英語のフランダース (Flanders) の方でよく知られる。
 中世、14世紀から15世紀にかけては毛織物業を中心に商業で栄え、
 当時のアルプス以北の経済・文化の一大中心地となった。
 前代の中心地パリが百年戦争で荒廃したのがその理由の一つに挙げられる。
 この地域を統括したブルゴーニュ公国の奨励により
 新しい文化・芸術の動きが生まれ、
 ルネサンス期の芸術と呼ばれる音楽・絵画等が発展した。
 ルネサンス音楽 (ルネサンスとは直接関与しないが、時期が同じ) の
 初期にはブルゴーニュ楽派と呼ばれる作曲家達が活躍し、
 それを引き継いだルネサンス音楽中期には
 音楽家の出稼ぎ活動や写本・出版楽譜の普及により
 ヨーロッパ全土にフランドル楽派と呼ばれる作曲家達の様式が流行した。
 絵画においてもフランドル絵画 (ネーデルランド絵画) が知られる。
 今から500年ほど前のことである。
 
 吸血鬼発祥の欧州における地名、その隆盛期 (おおよそ500年前) といった
 一致は見られるものの、関連は不明。
 
 英語で見ると、可愛らしいところで
 カスタード、果物、チーズ等を詰めたタルトやケーキを指すフラン (flan) がある。
 また、ドールも含めて 「フランドール」 として意味を作るならば、
 Flung Doll (投げ捨てられた人形)、Frantic Doll (気の狂った人形)
 あたりが近い音だろうか。

 
 参考
 「Wikipedia」 (フランドルフランドル楽派ルネサンス音楽
 「SPACE ALC」 (flan, flung, fling, frantic)



U.N.オーエンは彼女なのか?
 
 [音楽]
 
 フランドール・スカーレットのテーマ。
 ユー・エヌ・オーエンはかのじょなのか?
 〜フランドール・スカーレットのテーマです。
  今回のもっともお気に入りです。
  いかにして悪魔っ娘を東洋風に
  かつ、ミステリアスに表現できるかに挑戦した結果です。
  ロリっぽいこのメロディは、
  今作品でもっとも私らしいメロディで、
  鍵盤弾くのが楽しかったです。〜

 (恋々音樂館 より)
 U.N.オーエンユナ・ナンシィ・オーエン)です
  分かる人だけ分かってください。
  元ネタはかなり古いです(70年前くらい?)
  なんで、この名前かっていうと、
  オーエンをアルファベット表記した方で考えて、
  フランドールは「何者とも判らぬ者」とかけています。
  フランドールの9枚目のスペルカードが、そのパロディになっています。〜

 (おまけ.txt より)
 〜東方紅魔郷は東方作品で6作品目です。
  でも、殆どの方には紅魔郷がデビュー作となっています。
  そこでデビュー作でいきなり意表を付く事が出来ないか、と考えた結果、
  「東方というタイトルで東洋風な物を想像するだろうから、
   一作目は東洋風にならないようにしよう」
  という思考に思い至りました。この曲はその結果でもあります。
  この曲を聴くと結構不安になります。
  個人的な感情というか幻覚ですが、
  どこか不安定な音と繰り返される軽快なメロディ。
  意図しない不気味さがこの曲にある。
  たまにはこういう曲を作っても良いかもしれない。
  なかなか今の能天気な幻想郷の連中には似合わないのが問題です。〜

 (東方文花帖 p.93 より)
 
 元ネタはアガサ・クリスティの
 「そして誰もいなくなった」 (英題:And Then There Were None)。
 個々の理由でインディアン島に招待された十人の人物たち。
 それぞれは古い知人やオーエン氏、オーエン夫人などに
 手紙を介するなどして呼び集められていた。
 島のオーナーでその招待主が正体不明、謎の富豪のオーエン夫妻である。
 オーエン氏が姿を見せない中、「十人のインディアン」 の歌の通りに
 一人また一人と殺されてゆく招待客達…。
 
 この物語途中で謎の招待主が話題となり、以下の会話が為される。
  「――しかし、オーエン夫人なんて、そんな女はいやしないんだ!」
  判事は人差し指で唇を押さえた。何か考えこんでいるような表情だった。
  「きみの推理は正しいと思う」と彼は言った。
  「Ulick Norman Owen(ユリック・ノーマン・オーエン)!
   ブレントさんの手紙を見ると、名字は走り書きでよく読めないが、
   クリスチャン・ネームは読めるようにしるしてある
   ――Una Nancy(ユナ・ナンシー)だ――どっちも
   同じ頭文字である事に注意するがいい。
   Ulick Norman Owen――Una Nancy Owen――
   どっちも、頭文字だけをとると、U.N.Owenユー・エヌ・オーエン)だ。
   ちょっと頭を働かせれば、わかるではないか。
   UN KNOWNアンノーン)(どこのものともわからぬもの
)だ!」
  ヴェラは叫んだ。
  「でもそんなこと――信じられませんわ!」
  判事はしずかにうなずいた。そして、言った。
  「たしかに、そのとおりだ。われわれは疑いもなく、
   頭のおかしな人間に招かれたのだ――おそらく、危険きわまる殺人者だろう!」

 
 U.N.Owen を人名としてではなく、一つの単語の様に続けて発音すると、
 Unknown の発音と同じ (非常に近い) ということ。ノーウン
 
 「そして誰もいなくなった」 の危険きわまる殺人者と目されたのが U.N.Owen
 特にZUN氏が元ネタとして挙げているのが
 夫人の 「ユナ・ナンシー・オーエン」 の方である。
 東方紅魔郷のジャケットを飾る
 シルエットとしての "Unknown"(何者とも判らぬ者) と掛けられている。
 また、ZUN氏の言にある様に、スペル 「そして誰もいなくなるか?」 や
 魔理沙のExtraクリア後の会話も 「そして誰もいなくなった」 ネタである。

 
 参考
 「東方文花帖 〜Bohemian Archive in Japanese Red.」 一迅社
 「そして誰もいなくなった」 ハヤカワ文庫



月符 「サイレントセレナ」
 
 [スペル]
 
 パチュリーのスペル。
 画面上部に次々出現する米弾が降り注ぐ中、
 パチュリーから放射状に米弾列が放たれる。
 
 ・silent
  「静かな、音がしない。無言の、黙りこくった、沈黙した」
 ・Selene 【ギリシャ神話】
  「セレネ。月の女神」
 
 セレナはギリシア神話におけるの女神である。
 後にアルテミスやヘカテと混同され、同一視される。
 一般にはセレネ、セレーネと呼び、
 また、英語ではサリーニーと発音する。
 太陽神ヘリオスが天空の旅を終えた後、
 月神セレナは馬車に乗り夜空を駆ける。
 セレナにまつわる神話としては、エンデミュオンとの愛の物語で知られる。
 話の筋は幾種かあるが、羊飼いの美少年エンデミュオンに対し
 セレナは直接または間接的に永遠の眠りを与える。
 
 また、右図をはじめいくつかの図像では
 セレナは額や頭部に三日月をアクセサリーの様に伴っている。
 これはパチュリーの帽子に見られる装飾と一致する要素と言えよう。
 
 Silent Selene.
 「沈黙の月の女神」
 永遠に眠る美少年にどれだけ愛の言葉を紡いでも
 応えは全く返って来ない、というような神話に基づくものか、
 あるいは、静かな夜の月光のイメージか。
 
 ちなみに、月面に 「静かの海」 (Sea of tranquility) と呼ばれる地域があるが、
 これは音響的な静か (silence) ではなく、精神的な静か (tranquility) である。
 また、「静かの海」 に隣接して 「晴れの海」 (Sea of serenity) があり、
 こちらは気象的な静か (serenity) の意である。
 ・serene
  「晴れた、澄んだ、うららかな、波立たない。落ち着いた、平静な」
 Selene と serene のシャレ、serene と silent の語意シャレ、
 silent と selene の字面が少し似ている、なども考慮されているのだろうか。

 
 参考
 「SPACE ALC」 (silent, Selene)
 「ジーニアス英和辞典」 (serene)
 「Wikipedia」 (セレネ静かの海晴れの海
 「Wikipedia(英)」 (Selene
 「Dictyonary of Pandaemonium」 (セレネ)

EXTRA


「Selene und Endymion」
(「Wikimedia Commons」より)



日符 「ロイヤルフレア」
 
 [スペル]
 
 パチュリーのスペル。
 赤弾丸が次々と曲線状に配置されて行き、
 それらが広がるようにあるいは中心に収束してから飛び去ってゆく。
 
 ・royal
  「(所属が)王家の、王室の。王立の。最も大きい、最高の。堂々とした」
 ・flare
  「照明装置、揺らめく炎、炎上、フレア、閃光、発炎筒」
 
 Royal Flare.
 「高貴なるフレア」
 
 フレアは、太陽表面すぐ外側の薄い大気層である彩層にて
 時折起こる爆発現象を言う。
 その他の意味のフレアと区別するために
 太陽フレア (solar flare) とも呼ばれる。
 太陽の活動が活発な時にフレアの発生頻度は高くなる。
 黒点付近で蓄えられた磁気エネルギーが
 熱エネルギーや運動エネルギーとして突発的に放出される現象とする説がある。
 大規模なフレアの場合は高エネルギー荷電粒子が多量に放出され、
 その悪影響が地上の無線通信や送電網、上空の人工衛星などに及ぶ事もある。
 
 太陽自体が、熱と光により、
 生活に適した環境をもたらす存在であること、
 生命を育む源、作物を実らせる恵みの元であること、
 その運行により昼夜や季節がコントロールされることなどは
 人類が古代から把握していた理である。
 天を渡る偉大で神秘的なモノであり、人智の全く及ばない不可思議現象である。
 原初のそのような畏れ・敬いの発生や太陽信仰への発展は想像に難くない。
 世界の多くの神話・伝承において太陽神は神々のヒエラルキーの中で
 最高クラスに位置づけられることが多く、日本においても、
 天皇家が最高神にして太陽神の天照大神の子孫とされていた。

 
 参考
 「SPACE ALC」 (royal, flare)
 「Wikipedia」 (太陽フレア太陽
 「140億光年のすべてが見えてくる 宇宙の事典」 ナツメ社

EXTRA


太陽フレアと周囲のフィラメント
(「Wikipedia」より)



火水木金土符 「賢者の石」
 
 [スペル]
 
 パチュリーのスペル。けんじゃのいし
 5冊の本がパチュリー直下ならびに両翼に配置され、
 それぞれから五色の棘弾が乱射される。
 棘弾は自機照準や単純放射など色ごとにバリエーションがある。
 
 ・賢者の石
   「物質を金に化したり、万病を癒したりする力をもつと信じられた物質。
    西洋中世の錬金術師たちの探し求めたもの。「哲学者の石」ともいう。」
 
 賢者の石は、西洋錬金術発展の原動力となった伝承上の物体である。
 賢者の石哲学者の石第五元素など複数の呼び名で知られる。
 卑金属を金に変える黄金生成の触媒となる、あるいは、
 人間に不老不死を与える霊薬または万能薬などと考えられた。
 錬金術とは賢者の石を創る技術ともされる。
 一般には金属の黄金変成が錬金術の目的とされるが、
 物質の性質を具現化させている根源となるものを物質から解放し、
 そのものの性質を得ようとすることが目的ともされる。
 金への変成はその一端あるいは過程であり、究極の目的は
 生命の根源への到達であるとされる。
 この生命の究極に至れば不老不死も可能と考えられ、
 そのような不老不死をもたらすものを霊薬、エリクサーと呼び、
 後に賢者の石の概念がエリクサーに並び加わることとなった。
 西洋錬金術よりも歴史の古い中国の錬丹術が
 求めた不老不死薬の 「丹 (仙丹)」 も同様のものである。
 
 古代ギリシア時代には、「物質は土・水・火・空気 (風) から成る」 とする
 後世に言う四元素説が唱えられた。
 アリストテレスは四元素説を拡張し、
 四大元素が異なる割合で混合されてできている地上界の
 多様な事物の生成と消滅に対して、永久不変の天界を構成する
 天界の第五元素、エーテルを提唱した。
 第五元素は自然界の生命の誕生・存続・死にも深く関与していると考えられた。
 これが時代と共に各種哲学を経て西洋錬金術に継承されたとされる。
 物質は四大元素より成るが、その自然界の諸物にも
 その深奥には第五元素が秘められており、
 その追究こそが不老不死の秘薬に到達するエッセンスであると考えられた。
 
 「シルフィホルン」 や 「プリンセスウンディネ」 の項などで記したように、
 錬金術師でもあったパラケルススは四精霊として
 四大元素に妖精を擬人的にあてている。
 日本では 「精霊」 と訳されているが、英語では "elemental" である。
 ・elemental
   「四大基本元素。基本的な、要素の、成分の、自然の」
 すなわち精霊魔法とは万物の根源、元素を
 自在に操る魔法であるとも言える。
 「賢者の石」 は生命の根源であり、
 上記を総合的に考えると宇宙の根底を成す要素。
 また、中国の五行説、
 「万物は木・火・土・金・水の5種類の元素から成る」 とする説もまた
 パチュリーの他のスペルに関与しており、同じく元素である。
 五行は太極を経て生み出された宇宙の要素である。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (賢者の石)
 「SPACE ALC」 (elemental)
 「Wikipedia」 (賢者の石錬金術四大元素元素エーテル (神学)五行思想
 「Wikipedia(英)」 (Philosopher's stone, Elemental, Classical element
 「bibliotheca hermetica」>>「蒸留術とルネサンスの錬金術

EXTRA


「The Alchemist in Search of the
 Philosopher's Stone」
(「Wikimedia Commons」より)



禁忌 「クランベリートラップ」
 
 [スペル]
 
 フランドールのスペル。
 複数の使い魔が画面端を移動しながら、赤紫弾丸または青弾丸を連射する。
 弾丸群は画面中央の一点に収束あるいは自機照準で飛来する。
 
 ・cranberry
   「ツルコケモモ、クランベリー。深紅色。赤目。ウサギの目」
 ・trap
   「わな、トラップ、落とし穴。防臭弁」
 ・禁忌
   「日時・方位・行為・言葉などについて、さわりあるもの、
    忌むべきものとして禁ずること。また、そのもの。タブーのこと」
 ・タブー
   「(ポリネシア語で「聖なる」の意のtabu, tapu から)
    超自然的な危険な力を持つ事物に対して、社会的に厳しく禁止される
    特定の行為。触れたり口に出したりしてはならないとされる物・事柄。禁忌。」
 
 クランベリーはツツジ科の常緑低木である。
 語源は、ツル (crane) の好物であること、または、
 花が開く前がツルに似ていることからとする説がある。
 クランベリーには、ツルコケモモを含む3種類が知られる。
 ベリーは単にフルーツの中で殻を持たない、
 汁の多い小果実を指す、単なる総称。
 クランベリーは甘いクランベリージャムなどで知られるが、
 もともとの果実は非常に酸味が強く、生食には向かない。
 加工用のクランベリーは果実を木から落とし、畑に水を張って収穫する。
 果実の中に空洞があるため水に浮きやすいことを利用しての収穫法である。
 
 Cranberry Trap.
 「深紅色の罠」
 クランベリーを模した様な弾丸が、全方位からゆっくり収束する捕獲魔法。
 見た目から甘く見ていると酸っぱい目にあう罠。
 
 クランベリーの捕集法、水上を浮遊するクランベリーの実を表している
 とも考えられるが、関連不明。
 
 あらゆるものを破壊する能力ということで、
 クラム (crumb) やクランブル (crumble) も掛けられているだろうか。
 ・crumb
   「パン粉をまぶす、ほぐす、小さく砕く、粉々にする。
    台無しにする、めちゃめちゃにする」
 ・crumble
   「砕く、粉々にする」
 
 また、クランベリーソースは七面鳥と共に感謝祭に欠かせない。
 魔法少女達の百年祭という収穫祭と収穫に感謝しての感謝祭。
 クランベリーソースの甘い罠で捕らえたヒトというご馳走だろうか。
 
 一方、東方Project 第4弾 「東方幻想郷」 では
 FINAL STAGE のタイトルが 「追撃 〜 Raspberry Trap」 である。
 ラズベリー (raspberry) はバラ科キイチゴ属の低木、その果実。
 フランス語ではフランボワーズという名である。
 関連は不明。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (禁忌、タブー、クランベリー、
 「SPACE ALC」 (cranberry, trap, crumb, crumble)
 「Wikipedia」 (クランベリーベリー感謝祭ラズベリー
 「幻想情報局 −イザヨイネット−」>会話 >東方幻想郷

EXTRA


クランベリーの実
(「Wikimedia Commons」より)



クランベリーの収穫
(「Wikimedia Commons」より)



禁忌 「レーヴァテイン」
 
 [スペル]
 
 フランドールのスペル。
 剣に見立てた赤レーザーブレードを振り回し、画面の大半を薙ぎ払う。
 レーザーの軌道には赤米弾が残り、遅れて飛来する。
 
 Lævateinn.
 「害なす魔法の杖」
 レーヴァテインは北欧神話に登場する武器である。
 日本語ではレヴァンティン、レーヴァティンなど種々の表記が取られる。
 "Læva-" は 「破滅、災厄」、"-teinn" は 「枝、杖」 を意味するが、
 ケニング (アイスランド文学における隠喩表現) の一つに
 「○○の杖」 で 「剣」 を意味するものがあり、
 レーヴァテインは 「杖」 という名を持つ 「剣」 とされることが多い。
 (但し杖=剣とは限らない。戦闘の火、鮮血の蛇なども剣を言うケニング)
 レーヴァテインはロキが作り、
 火の国を守る巨人スルトの妻が守っている剣であるとされる。
 近年になって (特に日本で) スルトの持つ炎の剣と同一視され、
 さらにはラグナロクにおいてスルトが世界を焼き払う剣と考えられ、
 世界を滅ぼす最強クラスの炎の剣とするイメージが強い。
 自ら空中で動くことができ、太陽よりも強い輝きを放ち、
 その威力はいかなる者も抵抗できないという。

 
 参考
 「Wikipedia」 (レーヴァテイン
 「幻想の武器博物館」>3.ゲルマン >レーヴァテイン
 「幻想世界神話辞典」>レーヴァテイン

EXTRA



禁忌 「フォーオブアカインド」
 
 [スペル]
 
 フランドールのスペル。
 4体に分身したフランドールそれぞれから赤米弾または
 青・緑・黄の中玉が多源放散される。
 魔法陣を纏っていないフランドールはダミーであり、
 プレイヤーがボムを使っても蝙蝠化しない。
 
 ・four of a kind
   「四つの同種のもの。《トランプ》フォーカード」
 
 Four of a kind.
 「4人の私」
 ポーカーの役、フォーカードにちなむ分身魔法。
 同一数字のカード4枚と任意の1枚から成り、
 ストレートフラッシュに次ぐ強さの役である。
 フォー・オブ・ア・カインドが正式呼称であり、
 フォーカードは日本固有の呼び方で、諸外国では通用しない。
 
 4体のフランから4色の攻撃が為される様は
 フォーカードにおける4つのスート (トランプのマーク) を
 意識したものと思われる。
 画面上の自機が任意の1枚のカードの役割と見れば
 フランドールと自機を合わせてフォーカードの完成となる。
 しかし、カードマジックで同じ数字の4枚のカードを言う用語にも
 フォー・オブ・ア・カインドがあり、
 実際どちらを意識したものかは不明である。
 
 青木智仁(b)・塩谷哲(p)・本田雅人(sax)・沼澤尚(dr) といった
 各楽器の人気プレイヤーが一堂に会したプロジェクトに
 FOUR OF A KIND があり、そのデビューアルバムが
 「FOUR of a KIND」 である(2002年1月)。
 他にもフォープレイの楽曲などで同名のものが知られるが、
 いずれも関連は不明。

 
 参考
 「SPACE ALC」 (four of a kind)
 「Wikipedia」 (ポーカーカードマジック
 「Yahoo!ミュージック」 (FOUR OF A KIND

EXTRA



禁忌 「カゴメカゴメ」
 
 [スペル]
 
 フランドールのスペル。
 緑弾丸が次々に出現して線を描き格子を形成する。
 フランドールから自機照準あるいは自機方向に放たれる
 黄色大玉につられて格子が崩壊し、大玉ともども襲い掛かる。
 
 ・籠目
   「籠の編み目」
 ・かごめかごめ (籠目籠目)
   「児童の遊戯の一。しゃがんで目をふさいだ一人を籠の中の
    鳥に擬し、周囲を他の数人が手をつないで歌いながらまわり、
    歌の終ったとき、中の者に背後の人の名をあてさせ、
    あてられた者が代わって中にうずくまる。細取。」
 ・細取
   「児童の遊戯の一。子捕り。「かごめかごめ」のことともいう」
 
 「かごめかごめ」 の歌詞は一風変わった、あるいは謎めいた、
 または神秘的な言い回しや表現と受け取られ、
 その意味を巡り様々な解釈や研究、俗説がある。
 妊婦の流産や水子にちなんだものとする説や、遊女の歌、
 埋蔵金の所在を示す暗号歌、単なる言葉遊び、方言、
 口頭伝達過程での偶発的変化説など多種多様。
 起源、発祥についても謎とされる。
 神秘学の見地からも着目され、
 「帝都物語」 作中にも印象的に使用されている。
 「帝都物語」 と言えば、荒俣宏 (ZUN氏の好きな作家の一人) 原作であり、
 藤原カムイ (ZUN氏の好きな漫画家の一人) によるコミック化もされている。
 
  かごめ かごめ
  かごの中のとりは
  いついつ出やる
  夜あけのばんに
  つるとかめとがつうぺった
  うしろの正面だあれ

 
 幽閉の身であるフランドールが 「籠の中の鳥」 だろうか。
 侵入者は当てられたら立場を入れ替わるが、
 フランの攻撃に当たったならば結局代わりになどなりはしない。
 籠の中の小鳥は子捕り。迂闊に遊んだが、最後。
 
 なお、篭目紋と呼ばれる六芒星を立体的に描いた象形が知られ、
 天罰 「スターオブダビデ」 との関連も疑われるところである。
 
 また、張り巡らされる網目は縦横と斜め二種の3パターンであるが、
 特に縦横パターンの際には縦4本、横6本のラインが引かれる。
 縦4本、横5本の早九字の印に近く、呪的な結界に封じられても
 それを撃ち破っている様ともとれるし、
 九字に一本追加されて 「十字」 ととれば
 吸血鬼の苦手とする十字が多量に織り成す封印結界を
 撃ち破っているとも解釈できる。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (籠目、籠目籠目、細取)
 「Wikipedia」 (かごめかごめ九字
 「帝都物語 第壱番」 荒俣宏著、角川文庫
 「藤原カムイコレクション[3] 帝都物語」 藤原カムイ著、荒俣宏原作、角川書店

EXTRA


竹籠と籠目
(「Googleイメージ検索」より拝借)

 


早九字
(「Fortunetelling」より)



禁忌 「恋の迷路」
 
 [スペル]
 
 フランドールのスペル。こいのめいろ
 Cの字の様に、ほぼ全方位に密集米弾孤を放射する。
 次の放射では少しずれた角度に通路があり、
 多層の放射状迷路を描く弾幕。
 
 ・迷路
   「迷いやすい道。いったん入ると、入口も出口も、
    方角さえもわからなくなるような道」
 
 迷路 (maze) は作為的に作られた、複雑に入り組んだ道を言うことが多いが、
 自然や非意図的で複雑な道を比喩的に言うこともある。
 また、迷路のような建築物は迷宮 (labyrinth) と言う。
 クレタ島のクノッソスの迷宮が世界最古の迷宮と言われ、
 ギリシア神話においては、成長するにつれ乱暴になり
 手が付けられなくなったミノタウロスを閉じ込めた場所とされている。
 ミノタウロスの食糧として、9年毎に
 7人の少年と7人の少女が送られた。
 この迷宮自体は円形の外壁に取り囲また、
 外部からの入り口が一つの分岐の無い単純な迷路である。
 
 一方、ヨーロッパでは古くから迷路園が造られていた。
 迷路園は生垣や広大な農地などを利用して造られた迷路である。
 愛人を迷路園の中の隠れ家に住まわせ、妻から匿ったとされる
 ヘンリー2世の例も知られる。
 その妻は迷路園の迷路を解いて愛人を殺してしまったのだとか。
 
 フラン自身が展開する、外敵から身を護る純潔結界か、
 幽閉される自分自身を皮肉ったものか。
 いずれにせよ、恋心はフランの思いではなさそうである。
 フランに恋する者は幾多の障壁を越えねばならないということか。
 迷宮の奥のラスボスを少女的に表現した名か。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (迷路)
 「Wikipedia」 (迷路迷宮ミノタウロス

EXTRA


ミノタウロスと迷宮
(「Wikimedia Commons」より)



禁弾 「スターボウブレイク」
 
 [スペル]
 
 フランドールのスペル。
 画面上部に七色の弾丸がずらりとならんだラインが描かれ、
 それぞれが異なる速度で降下してくる。
 
 亜光速航行 (光速に近い速度) の宇宙船から星を見ると、
 光行差現象や光のドップラー効果から、
 進行方向を中心に同心円状の虹が見られると予想されている。
 この虹のような光をスターボウ、星虹と呼ぶ。
 虹と言うほどは鮮やかでないと考えられている。
 
 光行差現象はよく雨に例えて説明される。
 垂直に降る雨の中を突き進むと身体の前面も濡れ、
 前方の上空から雨が降っている様に感じる。
 超高速で突っ込んだなら雨粒は前方からのみ飛来する。
 宇宙船に全方向から降り注ぐ光についても同様で、
 頭上からの星の光も前方に移動して見える。
 速度が光速に近づくほど現象は顕著となり、
 後方の星々まで前方に見えてくる。
 正確には雨粒で見られるような原理ではなく、
 特殊相対論の光速度不変の原理に基づいて
 予測されている現象である。
 
 光行差現象では星々の光が前方に集中するのみである。
 スターボウの鮮やかな色が予想されるのはドップラー効果による。
 ドップラー効果はよく救急車のサイレンで馴染み深い現象である。
 音源と観測者の速度差に由来し、近づく音は音波が密になり
 振動数の上昇から高音に、遠ざかる音は逆に低音となる。
 光の場合は上述の光速度不変の原理から、
 音波で起こる様な速度差に由来するドップラー効果は生じないが、
 亜光速系の時間は特殊相対論的効果により遅延しているため
 この時間のずれなどにより光のドップラー効果が生じる。
 この場合、近づくベクトルの光は波長が短縮され青方偏移し
 (各色の光は虹色の種類の中で青い色方面へシフトする)、
 遠ざかる光は赤方偏移 (虹色の中で赤い色方面へシフト) する。
 
 総合すると、亜光速状態で宇宙船の前方を見ると、
 それまで全天にあった星の光がほとんど前方に集中し、
 もともと前方にあった近づくはずの光は青っぽく
 もともと後方にあった遠ざかるはずの光は赤っぽく
 見える様になるためそれらの加減で外側が赤、内側が青の
 虹色の光が観測されるという、その現象がスターボウである。
 
 Starbow Break.
 「星虹破壊」
 準光速系からブレーキ (brake; 破壊の break と同音) をかければ
 減速効果からスターボウは観測されなくなるが、
 これを 「破壊」 とは言わない。
 フランドールの 「ありとあらゆるものを破壊する能力」 で
 特殊相対論的物理法則を破壊することを指すか。
 
 禁弾禁断とのシャレで禁断の弾幕の意味合いであろう。
 ・禁断
   「ある行為をさしとめること。法度。禁制」

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (禁断)
 「Wikipedia」 (ドップラー効果光行差
 「DonnZillaimo' World」>水星人の部屋 >STARBOW
 「福江純ホームページ」>研究 >スターボウ

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スターボウの想像イラスト
(「DonnZillaimo' World」より)



禁弾 「カタディオプトリック」
 
 [スペル]
 
 フランドールのスペル。
 青大玉、青中玉、青弾丸の群れを、彗星が尾を引くような形状
 または、レミリアの「シュート」のような形状で乱射する。
 弾群は4つのパターンで放たれ、全て画面上端や左右端で反射する。
 
 ・catadioptric
   「カタディオプトリックの、反射屈折の」
 
 カタディオプトリックは光学系、
 特に天体望遠鏡に使われる専門用語。
 光学望遠鏡は原理によって大きく
 反射式・屈折式・反射屈折式の3種類に分類され、
 カタディオプトリック式は反射屈折式のことである。
 "catoptric" (反射光学の) と "dioptric" (屈折光学の) の合成語。
 
 屈折望遠鏡は歴史上最初の望遠鏡に見られる形式で、
 複数のレンズを組み合わせた望遠鏡である。
 対物レンズと接眼レンズ、場合によっては倒立像を
 正立像にするために光路にさらにレンズを使用する。
 反射望遠鏡はレンズを用いず、主鏡である凹面鏡や
 反射鏡を組み合わせた望遠鏡である。
 色収差を生じない、大口径の望遠鏡が作成可などの利点がある。
 カタディオプトリック式は反射望遠鏡をベースに、
 収差を補正する補正レンズを組み込んだ形式である。
 レンズが屈折、鏡が反射である。
 
 Catadioptric.
 「反射屈折光撃」 (単語は形容詞だが、意訳した)
 反射は見ての通り画面端での反射。
 屈折は大玉とは微妙にずれたベクトルの中玉や弾丸を
 総合的に見た感じを言うだろうか。
 光の性質や法則も破壊する、
 つまり量子論や相対論の法則をも意味するか。

 
 参考
 「SPACE ALC」 (catadioptric)
 「Wikipedia」 (天体望遠鏡
 「Wikipedia(英)」 (Catadioptric_system

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反射(カセグレン式)望遠鏡
(「Wikipedia」より)


反射屈折(シュミット・カセグレン式)
望遠鏡
(「Wikipedia」より)



禁弾 「過去を刻む時計」
 
 [スペル]
 
 フランドールのスペルカード。かこをきざむとけい
 使い魔2つがそれぞれ十字の青レーザーブレードを伴い、
 回転しつつゆっくりと移動する。
 また、フランドールからの自機照準
 多WAY赤弾丸連射が組み合わされる。
 
 ・刻む
  「切って細かくする。彫刻する。彫りつける。比喩的に、記憶にとどめる。
   入れ墨をする。切って跡をつける。切れ目を入れる。
   細かく区切るようにして進行する。責め苦しめる。さいなむ」
 
 時計は時を刻む
 これは 「細かく区切るようにして進行する」 意の刻む。
 過去は心に刻む
 これは 「比喩的に、記憶にとどめる」 意の刻む。
 スペルはレーザーブレードが自機を刻む (刻もうとする)。
 これは 「切って細かくする」 意の刻む。
 着目する物によって意味合いが異なるが、
 ここではフランドールの魔法 (能力) が
 過去という概念または記憶・記録上の昔を
 物理現象さながらにズタズタに刻み破壊するイメージか。
 
 過去とは時の流れの三区分、現在・過去・未来の一つ、
 既に過ぎ去った部分である。
 記憶と記録が保証するのみで、物理的に存在しない。
 忘却が記憶上の過去の一部に穴を穿ち、
 喪失が物質的に過去の一部を破壊するばかり。
 そのような部分的な破壊を自身の能力で実現しているのか、
 それとも、実在の時間を非存在と化す全ての所業、宇宙の法則を
 一手に担っているとでも言うのか。
 
 ギリシア神話の運命の三女神は、
 生命の糸を割り当て、紡ぎ、断ち切る、
 それぞれ誕生・生存・死亡にも関連しよう。
 断ち切る役割はアトロポス (Atropos) が担うが、
 このアトロポスにちなむのが
 植物のベラドンナ (Atropa belladonna) である。
 ブルガリア語でルド・ビレ気違い草である。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (刻む、過去)
 「Wikipedia」 (過去モイライ

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秘弾 「そして誰もいなくなるか?」
 
 [スペル]
 
 フランドールのスペルカード。そしてだれもいなくなるか?
 フランドール自身は姿を消し、プレイヤーは定められた時間
 逃げ切りを余儀なくされる回避特化弾幕。
 最初のフェイズは自機方向に時折突進しつつ
 その後方に多量の青弾丸を撒く弾源が次第に数を増やしてゆく。
 第二フェイズでは画面端四方から4色弾丸5パターンの弾幕が
 次々に発生し襲い掛かる。
 
 ・飛弾
   「飛びくる弾丸」
 ・被弾
   「弾丸に当たること」
 
 秘弾は、秘奥義の様な秘密の弾幕と言った意味合いであろうが、
 フランドールが画面上におらず、自機が弾丸を避けるばかりであるから
 「被弾」=誰もいなくなる、と掛けられているのであろう。
 
 「U.N.オーエンは彼女なのか?」 におけるZUN氏の言の通り、
 アガサ・クリスティの 「そして誰もいなくなった」 にちなむ。
 詳細は 「U.N.オーエンは彼女なのか?」 や
 後述の 「十人のインディアン」 を参照。
 小説版や戯曲版など、
 誰も居なくなるか否かの結末が異なるバージョンがあり、
 それも意識されているかもしれない。
 
 十人居た招待客もごっそりと数を減らし、
 物語は大詰め、クライマックスである。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (飛弾、被弾)

EXTRA


「And Then There Were None」
(「Wikipedia」より)



QED 「495年の波紋」
 
 [スペル]
 
 フランドールの最終スペル。495ねんのはもん
 フランドールの近辺から、波紋を模した
 円形配列の青米弾群が発生する。
 弾は画面上端ならびに左右端で反射する。
 
 ・波紋
   「水面にものを投げた時などに、輪のように広がる波の模様。
    関連してつぎつぎに及んでいく変化や反応。影響。波形の紋」
 ・QED
   「=quod erat demonstrandum、
    《ラテン語》証明されるべきこと、証明終わり」
 
 QEDQ.E.D.) は、上記のようなラテン語の略であり、
 英語で言うところの "which was to be demonstrated"、
 「証明されるべきであったもの (今は証明された)」
 すなわち、「証明終わり」 の意である。
 「かく示された」 とも表記される。
 数学や哲学などで証明の末尾に示される。
 また、ミステリ作家のエラリー・クイーンが
 論理展開後に用いたことなどから、
 ミステリ用語として 「事件終了」 の意にもなる。
 フランドールのスペルやテーマ曲が
 ミステリ 「そして誰もいなくなった」 にちなんでいることもあり、
 ここではこちらの意に近いか。
 トリックも全て明かされ、物語は結末を迎える。
 
 波紋は弾幕形状の、輪の様に広がる波の模様の意。
 「495年の波紋」 の表現からは、変化や反応、影響の意も
 含まれているだろうか。
 
 495はカプレカ数の一つとして知られる。
 ゾロ目以外の任意の整数について、その数字を並び替えた
 最大数ひく最小数を求め、さらにその数字について同様の操作を繰り返す。
 例えば123で見てみると、最大数321ひく最小数123=198
 →981−189=792 →972−279=693 →963−369=594
 →954−459=495 →954−459=495……
 と、3桁の場合は全て495に収束する。
 変化の途絶、永遠のループである。
 一方、495は完全数の一つ496に1及ばない数である。
 完全数とは、その数自身を除く約数を全て足すと
 その数自身と等しくなる数である。
 6、28に次いで三番目の完全数が496である。
 古くは、最初の完全数6は 「神が世界を作った6日間」
 次の完全数28は 「月の公転周期28日」 と関連すると考えていたとか言われる。
 495は完全数496より1少ない数で、
 「すべてがFになる 〜THE PERFECT INSIDER」 も想起されるだろうか。
 密室 (フランは幽閉されている) から自由に至るタイミング。
 いずれも関連は不明。
 
 また、495を二進数で表すと、111101111 である。
 見方を変えて… (((( ○ ))))
 まるで波紋
 もちろん関連不明。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」 (波紋)
 「SPACE ALC」 (QED)
 「Wikipedia」 (Q.E.D.カプレカ数496完全数
 「Wikipedia(英)」 (Q.E.D.
 「mystery anticlimax」>頻出用語 >Q.E.D.
 
 Special thanks!
  2006年11月12日Web拍手(完全数496)

EXTRA

 


波紋
(「Wikipedia」より)



十人のインディアン
 
 [会話]
 
 魔理沙ストーリー Extra 撃破後の会話に関与。
 
 フランドールのテーマ曲やスペルに関連する
 アガサ・クリスティの 「そして誰もいなくなった」 は
 現在でこそ 「And Then There Were None」 で知られるが、
 原書は 「Ten Little Niggers」、後に 「Ten Little Indians」 となり、
 人種差別的ニュアンスに配慮して現在のタイトルになっている。
 
 原書のタイトルの方は作品中でも用いられている
 マザー・グースの1曲に基づいており、
 作中ではこの童謡を連想させる連続殺人が起こる。
 作中の歌は以下の通り (英文はWikipediaより)
 
 Ten little Indian boys went out to dine;
 One choked his little self and then there were Nine.
  (10人のインディアンの少年が食事にでかけて、
   ひとりがのどを詰まらせて9人になった)
 Nine little Indian boys sat up very late;
 One overslept himself and then there were Eight.
  (9人のインディアンの少年が夜更かしをして
   ひとりが寝坊して8人になった)
 Eight little Indian boys traveling in Devon;
 One said he'd stay there and then there were Seven.
  (8人のインディアンの少年がデヴォンを旅していて
   ひとり残ると言ったので7人になった)
 Seven little Indian boys chopping up sticks;
 One chopped himself in halves and then there were Six.
  (7人のインディアンの少年がまき割りで
   ひとりが自分を真っ二つにして6人になった)
 Six little Indian boys playing with a hive;
 A bumblebee stung one and then there were Five.
  (6人のインディアンの少年が蜂の巣で遊んでいて
   ひとりがマルハナバチに刺されて5人になった)
 Five little Indian boys going in for law;
 One got into Chancery and then there were Four.
  (5人のインディアンの少年が法律の勉強をして
   ひとりが大法院に入って4人になった)
 Four little Indian boys going out to sea;
 A red herring swallowed one and then there were Three.
  (4人のインディアンの少年が海に行って
   ひとりが燻製ニシンに呑まれて3人になった)
 Three little Indian boys walking in the Zoo;
 A big bear hugged one and then there were Two.
  (3人のインディアンの少年が動物園に行って
   ひとりが大熊に抱きつかれて二人になった)
 Two little Indian boys were out in the sun;
 One got all frizzled up and then there was one.
  (二人のインディアンの少年が日向に座って
   ひとりが陽に焼かれて一人になった)
   ((バージョンによっては、二人は銃で遊び、一方が他方を撃つ))
 One little Indian boy left all alone;
 
He went out and hanged himself and then there were none.
  (一人のインディアンの少年がひとりぼっちで残された。
   彼が首を吊って、そして誰もいなくなった)
 
 クリスティは、もともとのマザー・グースの歌から
 最後の十人目の歌詞を上記の様に変更している。
 もとの歌では以下の通り。
 
 One little Injun livin' all alone ;
 
He got married and then there were none.
  (一人のインディアンの少年がひとりぼっちで残された。
   彼は結婚し、そしてだあれもいなくなった)
 
 魔理沙が 「有名な童謡」 「本当の歌」 と言うのはこのような由来である。

 
 参考
 「そして誰もいなくなった」 ハヤカワ文庫
 「Wikipedia」 (そして誰もいなくなった
 「Wikipedia(英)」 (Ten Little Indians

 


「Ten Little Niggers」
(「Wikipedia」より)



 タイトル等 / 自機 / Stage1 / Stage2 / Stage3 / Stage4 / Stage5 / Stage6 / Extra

補遺1・パチュリーの魔法体系 / 補遺2・咲夜とレミリア / 補遺3・紅魔郷の舞台

Acknowledgements & References

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