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レミリア・スカーレット [キャラクター] Stage6のボス。 「永遠に紅い幼き月」 紅魔館の主。わがままお嬢様。 外見は幼い少女ながら、500年以上生きているヴァンパイア。 苦手な日光をカットするために紅い霧を放出し、 幻想郷を紅色に包み込んだ張本人。 運命を操る程度の能力を持つ。 吸血鬼であり、不老不死、吸血、驚異的な身体能力、 コウモリへの変身能力を有するが、 お決まりの弱点として、日光に弱い、流れ水
(雨、河など)
を渡れない、 にんにくや鰯の頭などの魔除けが苦手などの性質も持つ。 ただし、日光は直射日光で無ければ影響は少ないようで、 日傘があれば日中の外出も可能である。 一方、十字架には強い。 また、吸血鬼は霧やコウモリに身を変じることが出来ると言われるが、 これが霧やコウモリを放出できるレミリアの描写に関わっているものと思われる。 東欧における古い民話や伝承に登場する吸血鬼、 死者が蘇り、動く死体として夜間に彷徨い人を襲う類の怪物よりも それらを元ネタに構築された
「吸血鬼ドラキュラ」 など文学・創作によって 広まった吸血鬼の一般的なイメージを当て嵌めて大きな誤りはないであろう。 特に近年のファンタジー作品などで吸血鬼を扱う場合は 吸血鬼の被害にあって吸血鬼となった者と、 吸血鬼を介さない何らかの要因により吸血鬼化した最初の吸血鬼、いわゆる 始祖
(または真祖など)
とははっきりと区別を伴うことが時に見られる。 始祖は魔力や身体能力などで派生的な吸血鬼よりも抜きん出た存在であるとされ、 しばしば日光に対して耐性を備えた者としても描写される。 レミリアはその由来も家族構成も妹以外は明らかでないため、 半デイライトウォーカーのような日中の振る舞いも含め 始祖か、間接的な吸血鬼かは判然としない。 悪魔の要素も持つため、人間が吸血鬼化したと考えるよりは 種族としての吸血鬼とすんなり見る方が違和感はないだろうか。 レミリアは幼い容姿ながら、500年以上生きてきている。 吸血鬼と言えば中世ヨーロッパである。 吸血鬼の代表格であり、ブラド・ツェペシュの通り名を用いたキャラクター、 吸血鬼ドラキュラも五百年以上生きてきたと描かれる。 「吸血鬼ドラキュラ」
は、かなり残酷な映画なのである。 日本でも、ビデオとLDが発売されたが、詳しいストーリイを説明すると―― 若き医師ジョナサン・ハーカーは、トランシルヴァニアの古城に棲息する吸血鬼 ドラキュラ伯爵の脅威を撲滅すべく、単身、図書係としてドラキュラ城へと赴く。 ドラキュラが五百年も暮らしていると言われるそこには長身黒衣の伯爵の他、 うら若き美女が一人幽閉されていた。 (菊地秀行
「吸血鬼幻想 ―ドラキュラ王国へ」 中公文庫
より) レミリアの500年は、歴史上500年前に具体的にあった何かというより このような、吸血鬼といえばおおよそ五百年とか よくありそうなモチーフに由来しているのかもしれない。 また、上記の引用元、「吸血鬼幻想」
には、流れ水についての記述もある。 窓の外は雨である。 そういえば、流れ水
(ランニング・ウォーター)
はドラキュラの弱点のひとつで、 ハマー・プロの「凶人ドラキュラ」のラストを私は想起してしまった。 (中略) 必死にバランスを取る吸血魔王の努力も空しく、彼は水中に転落。 氷の下で長い眠りにつく。 流れ水か――川とかしか思いつかなかったが、縦に流れる雨も該当するに ちがいない。そういえば、吸血鬼映画で雨の降っている日というのは出会った 例
(ためし) がないな。 待てよ、憶い出した。これもハマーの 「ドラキュラ72」
で、現代にドラキュラを 甦らせたオタンコナス、ジョニー・アルカードは、自宅のバスに落っこち、その 拍子にシャワーのハンドルに触れてしまい、たぎり落ちる水を浴びて死滅する。 ――しかし、雨とは言えまい。怪物を動けなくするために人工雨を使った例には、 大映の「ガメラ対バルゴン」があるが、吸血鬼とは少し違うしな。 (菊地秀行
「吸血鬼幻想 ―ドラキュラ王国へ」 中公文庫
より) 吸血鬼と流れ水の関係に雨を持ち込んだ、 紅魔郷エクストラバックストーリーもこのあたりに基づいている可能性がある。 流れ水に、自由落下する水滴群を考える例は菊地氏の記述以前には 菊地氏の知る範囲では稀有のようであるため。 「レミリア」 の由来は不明。 音は少し遠くなるが、架空の大陸であるレムリア大陸が挙げられる。 マダガスカルの固有種に富んだ生態系の中で、 マダガスカルでしか見られないキツネザルの化石がインドで発見されたこと、 キツネザルの近縁種がインド洋を隔てた東南アジアに生息することから インド洋上にはかつて巨大な大陸が存在し、それがいつしか沈没したと仮定された。 その仮想の大陸がレムリア大陸であり、この名はキツネザル (lemur)
に由来する。 大陸移動説、プレートテクトニクス理論により、まったくの幻想となった大陸である。 少し強引ではあるが、外国語発音を持ち出せば、 Lemuria
は英語でレミュリア (リミュリア)、ドイツ語でレミリアである。 ちなみに、マダガスカルの固有種には、亜阿相界が含まれる。
参考 「Wikipedia」 (吸血鬼、悪魔、レムリア) 「Wikipedia(英)」 (Lemuria) 「吸血鬼幻想 ―ドラキュラ王国へ」
菊地秀行著、中公文庫刊 |
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レミリア外観 1. 紅 レミリアは永遠に紅い幼き月である。 紅は血のイメージであろう。 また、本作での異変は夏の幻想郷が紅霧に包まれたものであるが、 五行で言うところの火行に夏は該当し、火行の色は赤であり、 この点も本作での重要な要素であろう。 本作の英題にもなっている
「Scarlet Devil」 の由来は おまけ.txt
に記されている。 〜彼女は少食で、多くの血を食べきれず残す (中略) その割に多くの血をこぼして、お洋服を真っ赤にしてしまうので、 皆から 「スカーレットデビル (紅い悪魔)」
と呼ばれています。〜
2. コウモリ レミリアはその背面にコウモリ型の大きな翼を伴っている。 もちろん、ヴァンパイアあるいはドラキュラと言えば コウモリのイメージというのも既に確立されたものであり、 レミリアはコウモリに変身したり、多量のコウモリを放つ。 しかし、さすがにコウモリの翼を生やしている吸血鬼は稀有であろう。 この翼は、吸血鬼の要素もさることながら、 悪魔のモチーフとしてよく用いられる、そのイメージと考えることもできる。 悪魔については
神罰「幼きデーモンロード」 の項に記した。
3.
蛇 また、レミリアの衣装には、 その襟元に絡まりあった双蛇のような形をしたものが描かれている。 東方萃夢想、東方緋想天での
alphes氏によるグラフィックでは よりはっきりと双蛇の意匠であるが、一方、東方永夜抄では描かれていない。 2匹の蛇が巻きつく意匠としては、 ギリシア神話のヘルメスが持つ杖、 ケリュケイオン
(別名カドゥケウス)
が知られる。 この杖には翼が飾られており、符合する要素はあるものの、 伝令神ヘルメスに関わるようなメッセンジャー要素がレミリアにはない。 レミリアに蛇が関わるならば、 それは蛇の永遠の生命力の象徴性や悪魔の化身とされること といった要素の方が大きいと思われる。
3.5.
コウモリ+蛇 尚、トカゲまたはヘビといった爬虫類がコウモリのような翼を持つイメージで 欧州神話やファンタジーにおいて描かれるのが、ドラゴンである。 ドラゴンはツェペシュを介して吸血鬼と強く関連する。 「ツェペシュの幼き末裔」
の項を参照。
4. 帽子 一方、レミリアの能力は運命を操る程度の能力である。 「ベラドンナ」
の項でも述べたが、 ベラドンナの学名、Atropa belladonna
は ギリシア神話の運命の三女神の一、 生命の糸を断ち切るアトロポスにちなむ。 また、ベラドンナはブルガリア語でルド・ビレである。 これらの要素が本作にちりばめられていることもあり、 レミリアの能力に注目すると やはりギリシア神話の運命の三女神が連想される。 (「東方雑考」
の 「東方ラスボス」
も参考にされたい) 右図はフランチェスコ・サルヴィアーティの 「運命の三女神」
の一部であるが、 このようなイメージでレミリアやフランドールの帽子が デザインされたとも考えられるかもしれない。
参考 「Wikipedia」 (悪魔、ケーリュケイオン、ヘビ#信仰、ドラゴン) |
コウモリ (「Wikipedia」
より)
ケリュケイオン (「Wikipedia」 より)
Welsh Dragon. (「Wikipedia」
より)
The Three Fates. (「テオポリス」 より)
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亡き王女の為のセプテット [音楽] レミリア・スカーレットのテーマ。なきおうじょのためのセプテット。 〜レミリア・スカーレットのテーマです。 これがラストだ!といわんばかりの曲を目指しました。 あんまり重厚さを出したり不気味さを出したり、 そういうありがちラストは嫌なので、 ジャズフュージョンチックにロリっぽさを混ぜて...、 ってそれじゃいつものあんまり変わらんな。 このメロディは自分でも理解しやすく、気に入っています。〜 (恋々音樂館
より) 〜とあるクラシックの有名曲をもじってタイトルにしています。 その曲とは一切の関係もありません。 しかも曲はセプテットでもないです。雰囲気だけ(汗) そもそも、誰も亡くなっていないし、王女ってだれ?〜 (おまけ.txt
より) 〜盛り上げよう盛り上げようと頑張った曲です。 この曲はテーマであるレミリア・スカーレットだけをイメージした物です。 不思議なことに、ゲームが終盤に向えば向かうほど、 曲が持つ対象物は狭く小さな物になっていく。 しかしながら、どんどんと深くもなっていく。 この曲は、私にゲームの幻覚を見せる。 幻想のゲームを遊んでいる感じを曲が与えてくれる。 ジャンルなど無い、何だから判らないけど何かのゲームを遊んでいる幻覚。 サビ後半のピアノは特にお気に入り。 作曲中どんどんとテンションがあがってラストは勢いに任せてといった感じ。 そんなんで良いのか?〜 (東方文花帖
p.48 より) ・septet 「7重奏、7重奏団、7人組」 「とあるクラシックの有名曲」 とは、 モーリス・ラヴェル作曲の 「亡き王女のためのパヴァーヌ」 である。 (原題: Pavane pour une
infante défunte、英題: Pavane for a Dead
Princess) ラヴェル初期の代表作の一つである。 題にある王女とは誰を指すか明らかではないが、 一説にはスペインの宮廷画家ヴェラスケス
(1599〜1660)
の描いた マルガリータ・テレサ王女の肖像を見た印象を、ピアノ曲として表したものとされる。 原曲は1899年のピアノ独奏曲で、1910年にラベル自身によって管弦楽用に編曲された。 パヴァーヌ
(pavane) とは、16世紀に流行したスペイン起源の優雅な宮廷舞踊、 またその曲。 「亡き王女のためのパヴァーヌ」 については、その楽譜の一部が 「夢違科学世紀」 や
「大空魔術」
のブックレットに使用されている。 500年ほど前に幼くして吸血鬼化し、歴史の闇に身を消さざるをえなかった 悲劇の王女がレミリアだろうか?
などと妄想をかきたてられる曲名である。 そもそも、「亡き王女ってだれ?」
という問いに対して、ラヴェルの意図は 「亡き王女」
は語感からで、曲の中心的な内容とは関係が無かった、とも言われ、 これを踏まえてZUN氏も 「王女ってだれ?」 と言い放っているのかもしれない。 単に、王女 (infanta;スペイン語)
と幼い (infant;英語) のシャレか。 また、ZUN氏の言にあるように、セプテット (七重奏)
にはなっていない。 しかし、偶然か意図したものか、ここに至るまでに ルーミア、大妖精、チルノ、美鈴、小悪魔、パチュリー、咲夜と 7体のキャラクターを撃墜してきていることになる。 また、レッドマジックが登場する、森博嗣の「すべてがFになる」では 7が孤独な数字であると冒頭と終盤に語られる。 (7が孤独となるのは1〜10の数の中での話である)
参考 「東方文花帖 〜Bohemian Archive in Japanese Red.」
一迅社 「SPACE ALC」
(infanta, infant) 「Wikipedia」 (亡き王女のためのパヴァーヌ、重奏、 マルガリータ・テレサ・デ・エスパーニャ) 「暗愚楽CD博物館」>ドビュッシーとラヴェル >ラヴェル
>ラヴェルの作品 > 亡き王女へのパヴァーヌ 「与太郎文庫」>2003年10月10日 パヴァーヌ |
ディエゴ・ヴェラスケス 「女官たち」 (「Wikimedia Commons」 より)
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奇術
「エターナルミーク」 [スペル] 咲夜のスペル。 Normal, Hard, Lunatic
にて使用。 Stage中盤にて満身創痍ながら立ちはだかる咲夜、渾身のスペル。 方位ランダム放射状に弾丸を放つ。 弾速もランダムだが基本的に高速。 ・eternal 「永遠の、不変の、永久の、不滅の、無限の」 ・meek 「おとなしい、柔和な、従順な」 ・奇術 「不思議な技術。手品」 Eternal Meek. 直訳は 「永遠の従順な」
で不完全。 meek は形容詞で、名詞となると
Meek (人名)
としてしか用いられない。 でもまぁ、英文法の形容詞は和文に比べれば名詞的ニュアンスが強いし、 英語的に感じるニュアンスごと名詞として和訳してしまっても いいんではなかろうか
(乱暴)。 あるいは、「永遠に従順な咲夜」 の目的語省略かも。 というわけで 「永遠の従属」 という感じ。 「永久 (とわ) の忠誠」
とか。 主人公の前に再度立ちはだかり、なりふり構わず放つスペル。 人間の寿命は短く有限である。 その咲夜が
「永遠」 を誓うは奇術。 咲夜のタネ無し手品には時間を操るというタネがある。
参考 「広辞苑 第五版」 (奇術) 「SPACE ALC」 (eternal,
meek) |
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天罰
「スターオブダビデ」 [スペル] レミリアのスペル。 Normal
にて使用。 レミリアから放たれた16本の屈折レーザーが星状の網目を描き、 レーザーの節からは中玉が撃ち出される。 ・ダヴィデ 「(ヘブライ語で 「愛された者」 の意)
イスラエル王。 初代の王サウルの後を受け、近隣の諸国を征服併合、 エルサレムを陥れて都としイスラエルを統一。」 ・Star of
David 「ダビデの星。ユダヤ教の象徴である星型」 ・天罰 「天のくだす罰。自然に来る悪事のむくい」 Star of
David. 「ダビデの星」 ユダヤ教あるいはユダヤ民族を象徴する印。 ヘキサグラムといわれる形で、三角形と逆三角形を重ねた象形図である。 イスラエルの国旗にも描かれる六芒星で、 日本の篭目紋
(かごめもん)
と酷似する。 ユダヤのシンボルとして以外にも西洋では魔術や錬金術で用いられ、 錬金術においては2つの相反するシンボル、火を表す上向き三角と 水を表す下向き三角との組合せとされた。 魔術的な要素としてはこのような相反する二者、 火と水、男性と女性、肉体と精神、能動と受動等の合体・調和から、 地球または宇宙を象徴するとも考えられる模様。 また、6つの頂点と中心点を合わせた7の数字は 天地創造と安息の7日間との関連から宗教的に重要な数字であるとの解釈もある。 オカルトやファンタジーの世界では 天使・精霊・悪魔の召喚や退去の魔法陣によく用いられる。 ダビデは古代イスラエル2代目の王で、旧約聖書に登場する。 紀元前1000年頃、サウルの後を継いで統一イスラエル王国を成立。 家臣の妻を自らの妻にするための謀略でその家臣を戦死させたが、 神はこれを許さず、その妻とダビデとの最初の子供の命は奪われた、とされる。 次に生まれた子供が大魔術師の伝説も残る、 古代イスラエル第三代の王ソロモンである。 ソロモン王の死後、イスラエル王国は分裂。 紀元前700年頃に北のイスラエル王国が、 紀元前600年頃に南のユダ王国も滅ぼされ、バビロン捕囚へとつながる。 バビロン捕囚以後、救世主
(メシア) 待望が強まると、 イスラエルを救う救世主はダビデの子孫から出ると信じられるようになった。 現在でも、新約聖書でイエス・キリストがしばしば
「ダビデの子」 とされたり、 ミケランジェロの作品 「ダビデ像」、イスラエル国旗のダビデの星と有名。 しかしながら、六芒星がダビデの星と呼ばれることや ユダヤ人の象徴とされることの正確な起源については不明であるとされる。 文献などの記録として遡れるのは中世ヨーロッパまでで、 それより遥か以前のダビデ王やソロモン王と六芒星の実際上の関連は不明である。 伝説の信憑性は別にして、ダビデの星または六芒星は 上述の様に悪魔召喚に関連が深く、また、ソロモン王の魔術にも関わりがある。 ソロモン王は魔術を駆使して悪魔を使役したとか 72柱の悪魔を封じたとする伝説がある。 紅い悪魔レミリアと魔術的ダビデの星。 一方、「天罰」
と言えば、悪魔関連の魔術と言うより、神の怒りである。 ダビデは前述の通り神の怒りに触れて第一子を亡くしているし、 ソロモンもまた異教徒の女性を側室にしたことで神の怒りに触れ、 イスラエル王国の衰退に直結したとされている。 レミリアに関わる
「天罰」 は不明である。 悪魔はそもそも神に敵対するモノであるから神からの罰を受ける可能性はあるし、 あるいは、レミリアが吸血鬼の境遇に至るに神の罰を経ているとも妄想できる。
参考 「広辞苑 第五版」 (ダヴィデ、天罰) 「SPACE ALC」 (Star of
David) 「Wikipedia」 (ダビデの星、ダビデ、ソロモン王、ユダ王国) 「Wikipedia(英)」 (Star of
David, Seal of Solomon) |
ダビデの星、六芒星 (「Wikimedia Commons」 より)
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冥符 「紅色の冥界」 [スペル] レミリアのスペル。あかいろのめいかい、こうしょくの−。 Normal
にて使用。 円環状に放たれた紅棘弾が交差状に飛来し、 加えてレミリアから放射された紅棘弾が降り注ぐ。 ・冥界 「めいど。よみじ。あの世」 冥界は、あの世、死後の世界を意味する。 多くは地下世界が想定され、暗い。 死後、人間の魂が行き着く所であり、時に地獄と混同されるが、 天国
or
地獄の行きを決する裁きを待つ間に置かれる中間の場所として 地獄とは区別される。 ここでは紅一色に染まった此の世ならざる場所のニュアンスだろうか。
参考 「広辞苑 第五版」 (冥界) |
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呪詛
「ブラド・ツェペシュの呪い」 [スペル] レミリアのスペル。ブラド・ツェペシュののろい。 Normal
にて使用。 レミリアから放たれたナイフ弾が旋回し、 弧を描いたその経路に紅弾丸を配置して行く。 これらの弾丸が歪に配置を崩して襲い掛かる。 ・呪詛 (じゅそ) 「うらみに思う相手に災いが起るよう神仏に祈願すること。まじない。のろい」 ブラド・ツェペシュについては、「ツェペシュの幼き末裔」
を参照。 ここではその生涯、を簡単に記す。 ツェペシュは少年時代にオスマン帝国の人質となる。 父と兄が暗殺されたのをきっかけに人質から解放され ワラキア公となったが、敗戦、亡命を経て2度目のワラキア統治に至る。 領内の粛清やオスマン帝国との交戦などで ツェペシュ公
(ドラキュラ公)
として名を馳せるが、 オスマン帝国の支援を受けた弟や離反貴族に追い落とされ、幽閉される。 幽閉の身の間、最初の妻が投身自殺する。 (映画
「ドラキュラ」 (1992)
では、これをきっかけに ツェペシュが反キリストの吸血鬼となったとしている。) 幽閉から開放された数年後、オスマン帝国戦で戦死。
(暗殺とも言われる) 帝国軍はツェペシュの首を塩漬けにし持ち帰り、 コンスタンティノーブルに晒したという。 当時は珍しくない境遇かもしれないが、 残酷性や異常性のイメージも手伝って、 こんな彼が呪いは一際恐ろしい様に思える。 レミリアと呪いと言えば、Extra
のバックストーリーにて、 魔理沙がレミリアあるいは紅魔館を指して 「もともと呪われている」
としている。 関連は不明ながら、ツェペシュの何らかの呪いを 実際に受けているとも考えられるか。
参考 「広辞苑 第五版」 (呪詛) 「Wikipedia」 (ヴラド・ツェペシュ) |
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紅符
「スカーレットシュート」 [スペル] レミリアのスペル。 Normal
にて使用。 紅大玉、紅中玉、紅弾丸を、まとめて自機照準でぶっ放す、 または自機照準で放射する紅色の砲撃。 高速で対象を射抜く大玉と、低速で対象の行動を制限する弾丸群。 ・shoot 「発射。撮影。芽」 Scarlet Shoot. 「紅色の弾撃」、あるいは 「紅色の狩猟場」
といったところか。 狩りの対象はもちろん人間。
参考 「SPACE ALC」 (shoot) |
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「レッドマジック」 [スペル] レミリアのスペル。 Normal
にて使用。 レミリアより放たれた紅大玉は画面上端および左右端で反射し、 経路上に紅弾丸を配置して行く。 これらの弾丸が歪に配置を崩して襲い掛かる。 Red Magic. 「赤い魔法」 レッドマジックは、森博嗣の 「すべてがFになる」
に登場する オリジナルのOS名に由来すると思われる。 殺人事件の舞台は、孤島に建てられた、窓が一つも無い研究所。 レッドマジックは研究所のシステムほとんどを統括する。 レッドマジックが異常を来し暴走すると同時に悲劇の幕が上がる。 霧の湖の島にある、窓の少ない紅魔館。 物語は幻想郷が紅霧に包まれて始まる。 ゲームのローディング画面では "The border land was wrapped in Scarlet
Magic." と表現される。 紅い魔法の異変から東方紅魔郷の幕が上がる。 (レッドマジックか……) 犀川は、心の中で呟く。red
といえば、赤、共産主義、そして血……。 (すべてがFになる より)
参考 「すべてがFになる」 森博嗣著、講談社文庫 |
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神罰
「幼きデーモンロード」 [スペル] レミリアのスペル。おさなきデーモンロード。 Hard, Lunatic
にて使用。 スターオブダビデの上位版。 張り巡らされたレーザー網の間隙で レミリアから放射される黄大玉と青中玉の列を掻い潜る。 ・demon 「悪霊、悪魔。名人、達人。恐れ、心配。残虐な人」 ・lord 「封建君主、藩主、領主、主人、支配者。神。貴族」 ・神罰 「神が下す罰」 幼き Demon
Lord. 「幼き魔領主」 デーモンとはキリスト教における悪魔の総称であり、 人と神に害を成す存在である。 同じく悪魔を意味するデヴィルとは明確には区別されない。 時にデーモンを悪霊、デヴィルを悪魔として デヴィルを高位に見る場合もある。 デーモンロードは特に現代のファンタジーにおいて 高位の悪魔 (魔物)
として出現する。 魔大公、魔神、魔王、魔神王など作品によって和名は若干異なるが、 非常に高位の悪魔として扱われる点で共通する。 悪魔は宗教上の神に敵対する存在であり、 キリスト教で言う悪魔などはほとんどが異教の神々への蔑称でもある。 その土地に新しく入ってきた宗教が、土着の異教を根絶するため 異教の神々やそれに類する信仰の対象を否定し悪魔と扱ったり 神々を矮小化して妖精や魔物に貶める例はよく示唆される。 これらを踏まえての
「神罰」 だろうか。
参考 「広辞苑 第五版」 (神罰) 「SPACE ALC」 (demon,
lord) 「Wikipedia」 (悪魔) 「神魔精妖名辞典」 (デヴィル、デーモン) |
ダンテの「神曲」、最下層のサタン (「Gustave Doré Art
Images」 より) Top > Inferno34
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獄符
「千本の針の山」 [スペル] レミリアのスペル。せんぼんのはりのやま。 Hard, Lunatic
にて使用。 紅色の冥界の上位版。 全方位に放射された紅棘弾が画面上端と左右端で反射して飛来し、 さらに、レミリアを中心に旋回していた紅ナイフ弾が交差状に襲い掛かる。 ・針の山 「地獄にあるという、針をいっぱいに立て並べた山」 針の山は地獄の定番である。 死後の魂の中でも特に悪行を為した者の霊魂が送られ 閻魔の審判に基づき様々な責め苦を受ける世界が地獄である。 仏教では六道の最下層が地獄道であり、 恵心僧都源信の
「往生要集」
には地獄の八形相が描写される。 日本に伝わってきた地獄のイメージは、 4〜5世紀頃の中国で、仏教、道教、民間信仰の相互作用により 形成されたものが伝わってきたのだとされる。 キリスト教では、神の言葉に背いた者や罪を悔い改めない者が 永遠の責め苦を受ける世界を聖書の記述から読み解いた、地獄説がある。 ダンテの
「神曲」 には九層から成る地獄が描写される。 源信の 「往生要集」
の八大地獄は 等活地獄、黒縄地獄、衆合地獄、叫喚地獄、 大叫喚地獄、焦熱地獄、大焦熱地獄、阿鼻地獄から成る。 各地獄において罪人が苦しむ阿鼻叫喚の様を一つ一つ記しており、 針の山や血の池、釜ゆでなど今日でも知られる地獄のイメージは この 「往生要集」
によるところが大きいとされる。 針の山については、黒縄地獄とされる範囲に含まれる中に 等喚受苦処があり、ここが針の山の原型と時に言及される。 謂挙在嶮岸無量由旬、熱炎黒縄束縛、繋已、然後推之、堕利鉄刀熱地之上 (謂く、嶮しき岸の無量由旬なるに挙げ在き、熱炎の黒縄にて束ね縛り、 繋ぎ已りて、しかして後にこれを推して、利き鉄刀の熱地の上に堕す) この場合、つき落とされる下の世界は 鋭利な刃が立ち並ぶ灼熱の大地のようである。 千本の針は、「指きりげんまん」 の針千本だろうか。 ♪指きりげんまん 嘘ついたら 針千本
飲ます 指切りは、遊女が愛情の不変を相愛の男に対する誓約の証の小指切断。 転じて、約束を必ず守るしるし。 拳万や針千本も同様で、上乗せに付け足されたもの。 結んだ契約にはきっちり従う悪魔としてのニュアンスも含むのだろうか。
参考 「広辞苑 第五版」 (針の山) 「Wikipedia」 (地獄、地獄_(仏教)、地獄_(キリスト教)、八大地獄) 「日蓮宗 現代宗教研究所」> >「往生要集」 「語源由来辞典」 (指きりげんまん) |
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神術 「吸血鬼幻想」 [スペル] レミリアのスペル。きゅうけつきげんそう。 Hard, Lunatic
にて使用。 ブラド・ツェペシュの呪いの上位版。 自機に向けて紅大玉8WAYを次々に高速射出する。 大玉の経路上には紅弾丸が配置され、それらが飛来する。 ・神術 「霊妙な術」 幻想郷の吸血鬼が繰り出す幻想。 辺りを包み込む紅い魔霧。
血を操る魔術。 高速の牽制と忍び寄る魔の手。 ZUN氏の好きな作家、菊地秀行の 「吸血鬼幻想」 にちなむだろうか。 「トランシルヴァニア 吸血鬼幻想」
の単行本が1996年に出され、 2000年出版の文庫版では 「吸血鬼幻想 −ドラキュラ王国へ」
に改題された。 取材旅行でトランシルヴァニアを訪れた紀行文。 ところどころにドラキュラ(主に映画)関連と ヴラド・ツェペシュの解説が挟まれる。 レミリアの設定に関わりそうな記述もあったが、 これは
「レミリア・スカーレット」 の項で引用したので、そちらを参照。
参考 「広辞苑 第五版」 (神術) 「吸血鬼幻想 ―ドラキュラ王国へ」
菊地秀行著、中公文庫 |
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紅符
「スカーレットマイスタ」 [スペル] レミリアのスペル。 Hard, Lunatic
にて使用。 スカーレットシュートの上位版。 自機照準で高速の 「シュート」
を連射した後、 周囲にも順次乱れ撃つ。 ・meister
[ドイツ語] 「親方。名人、巨匠。師匠、先生。チャンピオン。長」 Scarlet
Meister. 「紅色の支配者」 といったニュアンスだろうか。 マイスターは英語のマスターに当たる。 紅色の支配者のひと振いで画面は紅色に満ち、 他の色
(自機) は無残にも淘汰される。
参考 「マイスター独和辞典」 大修館書店 |
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「紅色の幻想郷」 [スペル] レミリアのスペル。あかいろのげんそうきょう。こうしょくの−。 Hard, Lunatic
にて使用。 レッドマジックの上位版。 WAY数、玉数、インターバル、大玉の旋回パターンなど 種々の増強が為されている。 幻想郷は紅色に包まれた。 日光を遮断するために朦々と垂れ籠める妖霧。 日中は日光を遮断し冥く紅く、 夜は月光に照らされ明るく紅く、 お嬢様の我儘ひとつで幻想郷は紅色に染まる。 紅色以外は放逐され、世界は紅色の支配下となる。 本作のラスボスは、云わば世界の色を変えるほどの力の持ち主。 その彼女の最終スペルである。 |
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パンの枚数 [会話] 魔理沙ストーリー Stage6での会話。 魔理沙 「今まで何人の血を吸ってきた?」 レミリア 「あなたは今まで食べてきたパンの枚数を覚えてるの?」 魔理沙 「13枚 私は和食ですわ」 荒木飛呂彦の漫画
「ジョジョの奇妙な冒険」 より。 ディオ 「この腹のキズを癒せば
ジョジョのやつにつけられた 火事での負傷はすべて完治する! こい!呪い師!
きさまの生命でこの傷の燻蒸消毒してくれよう!」 ツェペリ 「きさま―― いったい何人の生命をその傷のために吸い取った!?」 ディオ 「おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?」 ツェペリ (グ・・・) ディオは自らの意思で吸血鬼と化した元人間。 何人もの人間の血液、生命エネルギーを吸い上げたため、 全身に負った重度の火傷もほとんど癒えていた。 その様子を見て主人公ジョジョの師、ツェペリは怒りを露わにしたが、 人間なぞ食物連鎖の下位、食糧に過ぎない、とディオは更に煽り立てた。 ツェペリは静かに怒りをたぎらせた。 魔理沙は
「ですわ」
口調でおすまししてかわしているが、 レミリアも別段、怒りを煽ろうとしている気配ではない。 そもそも魔理沙の質問が唐突で、 レミリアの返しは含み無しのストレートなものになっている。
参考 「ジョジョの奇妙な冒険」 荒木飛呂彦著、集英社文庫 |
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亜阿相界 [会話] 魔理沙ストーリー Stage6での会話。 レミリア 「で、何しに来たの? もう、私お腹いっぱいだけど・・・」 魔理沙 「そうだな、私はお腹がすいたぜ」 レミリア 「・・・食べても、いいのよ」 魔理沙 「ああ、そうかい」 魔理沙 「今の、植物の名前だぜ 『亜阿相界』」 レミリア 「人間って楽しいわね それともあなたは人間じゃないのかしら?」 魔理沙 「楽しい人間だぜ」 亜阿相界 (ああそうかい)
はマダガスカル南西部原産の キョウチクトウ科の植物である。 学名は Pachypodium
geayi. マダガスカルはアフリカ大陸の東南、インド洋上の島である。 亜細亜 (アジア) と阿弗利加 (アフリカ)
の境界の島が 原産地である事と洒落っ気から命名された。 命名者は小説家にしてサボテン研究家の龍胆寺雄である。 マダガスカル島とその固有種は、 仮想の大陸であるレムリア大陸にも関連する。 詳しくは
「レミリア・スカーレット」
の項を参照。 ちなみに、マダガスカルの名は、 マルコ・ポーロの東方見聞録に由来するらしい。
参考 「Wikipedia」 (アアソウカイ、マダガスカル) |
Pachypodium geayi. (「Wikimedia Commons」 より)
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