タイトル等 / 自機 / Stage1 / Stage2 / Stage3 / Stage4 / Stage5 / Stage6 / Extra

補遺1・パチュリーの魔法体系 / 補遺2・咲夜とレミリア / 補遺3・紅魔郷の舞台

Acknowledgements & References

「東方備望録」TOPに戻る


夢幻夜行絵巻 〜 Mystic Flier
 
 [タイトル]
 
 Stage1のタイトル。
 むげんやこうえまき−やぎょうえまき 〜 ミスティック・フライヤー
 異変の解決に向け出立。
 木々の生い茂る境内裏と小川の夜。
 
 ・夢幻むげんゆめまぼろし
   「夢とまぼろし。実体が無く、無常ではかないことをたとえていう語」
 ・夜行やこう
   「夜、行くこと。夜間に出歩くこと。夜、見回りをすること。
    夜間の巡視。夜遊びにでかけること。夜遊び。夜行列車の略」
 ・夜行やぎょう
   「夜、行くこと。夜、出歩くこと。百鬼夜行のこと」
 ・絵巻
   「巻物に絵を描き、繰り拡げてゆくことによって
    次々と変化する画面を鑑賞させるもの。」
 ・mystic
   「秘密の、神秘的な、秘教の、秘伝の、不可解な」
 ・flier
   「空を飛ぶもの(生物)。飛行士、パイロット。チラシ、ビラ。
    (飛ぶように)高速移動するもの。」
 
 絵巻絵巻物は、日本の絵画形式の一つで、
 横長の紙を横方向に繋いで、長大な画面に情景や物語などを連続して描いたもの。
 横スクロール。
 
 紅色の霧に覆われ、月明かりにぼんやり妖しく照らし出された夜。
 夢まぼろしの様な世界の、禍々しき宵闇に息づく妖怪の気配。
 夢想の夜を進む妖怪退治のお話か、
 幻想の闇に潜む妖怪のお話か。
 
 Mystic Flier.
 「神秘の飛行者」
 意訳すれば神秘の夜をゆく者。(本作では皆空を飛ぶ)
 つまりは、「夢幻夜行」 の英訳であろうか。
 
 ZUN氏の好きなアーティスト、姫神の楽曲に
 「夢幻夜行まがどきをゆく)」 がある。
 まがどきとは、禍時あるいは魔ヶ時を言う。
 魔物・妖怪の出没する時間。
 大禍時あるいは逢魔時と言えば黄昏時。
 また、室町時代の絵巻に、付喪神を描いた 「百鬼夜行絵巻」 がある。
 Stage1テーマ曲コメントに 「百鬼夜行」 の語があり、関連する可能性がある。
 関連は不明。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」(夢幻、夜行、絵巻)
 「SPACE ALC」(mystic, flier)
 「Wikipedia」(絵巻物百鬼夜行
 「HIMEKAMI@02」>Discography



ほおずきみたいに紅い魂
 
 [音楽]
 
 Stage1のテーマ曲。ほおずきみたいにあかいたましい
 〜1面テーマです。
  夜の森をイメージしてあります。
  一面だし、曲に勇ましさがあるとやる気が出るかなと思い、
  ちょっと元気のある曲を目指しました。
  勇ましさというかコミカルな百鬼夜行って感じかな?〜

 (恋々音樂館 より)
 〜宵闇に鬼灯ほおずき)のように紅く丸く、ふらふら漂っている...
  よくあるただの鬼火です。
  ほおずきは季節ものですし、花言葉は「欺瞞」。
  季節ものつっても、夏コミだから夏。
  場合によっては冬以降のコミケで買う方も要るかもしれないのに... 〜

 (おまけ.txt より)
 
 ・鬼火おにび
   「火山などで、硫黄の燃える炎。湿地に小雨の降る闇夜などに燃え出て、
    空中に浮遊する青火。燐化水素の燃焼との説があるが、不明。陰火。
    ゆうれいび。きつねび。火の玉。出棺の時の門火」
 ・欺瞞(ぎまん
   「人目をあざむき、だますこと」
 
 鬼灯酸漿)は、ナス科の多年草。
 白色の花の後に出来る果実は、萼がふくろ状に膨らんだもの。
 その内で球形の種子が赤熟する。
 果実全体もまた赤くなり、やがて外側は枯れて赤い種子が現れる。
 夏には全国各地でほおずき市が開催される。
 浅草寺のほおずき市(7月初旬)は有名。
 
 紅い魂ほおずきの種子に例えており、
 そして、ZUN氏のコメントにあるように、紅い魂鬼火を指す。
 鬼灯鬼火の漢字シャレ。
 
 怪異に関わる鬼火としては、
 ひと気のない場所で空中に浮かぶ正体不明の怪火を指す。
 春から夏にかけての時期、湿地帯や森、墓場などに現れることが多いとされる。
 特に雨の日によく現れるとされ、通常の燃焼の炎ではなく
 引火点が気温以下の可燃性ガスの自然発火や別種の発光体であるとされる。
 その昔は、水や湿気で燃え上がる陰火や、人間や動物の血が土中に染み入り
 長い年月を経て変化した精霊、人魂、あるいは昔の中国で
 空気中における自然発火や発光を指す「燐」と捉えられてきた。
 現代ではリン化水素、メタン、硫化水素などの可燃性ガスや
 放電現象、発光昆虫などの生物発光の誤認や錯覚などが鬼火の元と考えられている。
 青い炎であることが一般的とされるが、赤色など他の色調も含まれる。
 
 鬼灯の季節の森に浮かぶ紅い人魂。
 それは宵闇の百鬼夜行に伴う鬼火。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」(鬼火、欺瞞)
 「Wikipedia」(鬼火人魂
 「季節の花 300」(鬼灯)
 「日本妖怪大事典」(陰火、鬼火)


鬼灯
(「季節の花 300」より)


鬼火
(「日本妖怪大事典」より)



ルーミア
 
 [キャラクター]
 
 Stage1のボス。
 「宵闇の妖怪
 夜の境内をふわふわ飛んでいたところ、主人公とばったり遭遇。
 単に偶然の邂逅で、ストーリーには何ら関わらない。
 闇を操る程度の能力を持つ。
 
 ・宵闇
   「陰暦16日から20日頃までの、宵のうち月がまだ出ないで暗いこと。
    また、その頃。夕やみ」
 
 夢幻夜行は逢魔時の、コミカルな百鬼夜行
 日が沈んでから月が昇るまでの夕闇のひととき。
 ただし、闇を操るルーミアの周囲は常に夜。
 
 とはすなわち、光のないこと。
 自身から光を発さないことはもちろん、
 周辺からのあらゆる光を全く反射しない。
 そこから可視光の出力が認められないからこその闇。
 闇を操り周囲が闇であるならば、その能力はブラックホールの様に
 周囲からのあらゆる光子を吸収することに発揮されているだろうか。
 ルーミアは 「月光」 の意のスペルカードを使用したり
 通常弾幕2でレーザー照射したりする。
 このことから、闇を操り闇を発生させる能力というよりも
 光を操り闇を発生させる能力と考えることが出来る。
 当人が夜や闇を無闇に愛しているため、普段は闇に固執しているのだろうか。
 
 上記はルーミアという名前の響きからも連想される。
 ・lumiere [フランス語]
   「light」
 ・luminous
   「光を出す、照明された、輝く、光る」
 ・luminescence
   「発光、無熱光、冷光」
 それぞれ、ルミエール、ルミナス、ルミネセンスである。
 特に冷光とは蛍光・燐光など熱を発しない類の光を指し、
 前項の 「鬼火」 にも関連が深い。
 
 なお、東方Project におけるルーミアのスペルは "Rumia" とされている。
 
 ポリネシア神話に、ルミアRumia) という原初宇宙の貝が登場する。
 世界には何も無く、ただ闇だけが広がっていた頃、
 全ての神々の祖先であるタンガロアと、彼がその中で眠り続けた貝だけが
 世界に存在する全てであった。
 闇にあった存在のひとつ、それがルミアである。
 その後、タンガロアがルミアと名付けた貝を
 持ち上げ、砕き、空と大地が作られた。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」(宵闇)
 「SPACE ALC」(luminous, luminescence)
 「ジーニアス英和辞典」(luminescence)
 「ハワイの神話と伝説」>ポリネシアの神話 >創世神タンガロア(タヒチ)
 「New Zealand Electronic Text Center」>>「Anthropology and Religion」(55節)

 Special Thanks!
  2008年8月26日のWeb拍手 by アルム=バンド様



妖魔夜行
 
 [音楽]
 
 ルーミアのテーマ。ようまやこう
 〜ルーミアのテーマです。
  この曲に限らず、今回、全体的に軽快な曲になっています。
  この曲は夜の妖怪をイメージしました、
  ・・・って言っても良いんだろうか(^^;
  ノリ的には結構馬鹿っぽいです。〜

 (恋々音樂館 より)
 ヨーマヤコーってかくとブータン人みたい。
  この辺はまだ、熾烈な闘いのイメージが少ないので、爽やかに。
  妖魔以外の魔は妖しくないの?〜

 (おまけ.txt より)
 
 ・妖魔
   「へんげ。妖怪。まもの」
 
 百鬼夜行の妖怪単体版。
 妖魔夜行
 ルーミアの散歩。
 
 1991年〜2000年に角川スニーカー文庫から発刊された作品の
 一連のシリーズに 「妖魔夜行」 シリーズがある。
 グループSNE所属の作家を中心に書かれた、
 現代日本を舞台とした、妖怪たちとそれに関わる人間をテーマとした作品。
 関連は不明。
 
 ブータン人の名前について。
 ブータン人の名前の多くは二つの部分から成るものの、
 両方ともその人固有の名で、家族で共有する姓の部分が無い。
 名前からでは多くの場合、家族関係や性別を窺うことはできない。
 しかし、ヨーマヤコーの音の響きは、人名というより備中の方言。

 
 参考
 「広辞苑 第五版」(妖魔)
 「Wikipedia」(妖魔夜行
 「環境goo」>暮らし >世界のエコライフ >ブータンのスローライフ >第20話



月符 「ムーンライトレイ」
 
 [スペル]
 
 ルーミアのスペル。
 Hard, Lunatic にて使用。
 小弾を自機照準で全方位に放射しつつ、
 両翼から発生させたレーザーを下方に向けて掃射する。
 
 ・moonlight
   「月光。月光の」
 ・ray
   「放射線、光線、熱線。一筋の光明、輝き、ひらめき」
 
 Moonlight Ray.
 直訳で 「月光光線」。
 意訳して 「月光」 あるいは 「月の光」。
 一般的な表現では "the ray of moonlight".

 
 参考
 「SPACE ALC」(moonlight, ray)

HARD



夜符 「ナイトバード」
 
 [スペル]
 
 ルーミアのスペル。
 Normal, Hard, Lunatic にて使用。
 自機照準の弾丸弧を左右交互に撃ち出す。
 
 ・night bird
   「夜鳥。夜型の人。夜遊びをする人」
 
 Night Bird.
 「夜鳥」
 鳥類は全て夜間に視力が著しく衰えるとされ、「鳥目」 の語があるが、
 実際には鳥類は夜間も視力を持つものが多い。
 宵闇に紛れて夜間に飛翔する鳥。
 月の無い夜の不気味な空にこだまする夜鳥の奇怪な鳴き声。
 
 〜スペルカード第一号です。
  ちなみにナイトバードとは鳥目を連想させるから選んでますが、
  元ネタはシャ(略) (ZUN) 〜

 (第2回 東方シリーズ人気投票 弾幕部門 結果詳細 より)
 
 イギリスのフュージョンバンド・シャカタク (Shakatak) の代表作に
 "Night Birds" がある。
 1982年のこの作品でシャカタクは世界的に大ブレイクした。
 日本を始めアジアでも強い人気を誇る。
 ZUN氏の言にある 「シャ(略)」 とは、シャカタクを指すと思われる。

 
 参考
 「SPACE ALC」(night bird)
 「Wikipedia」(鳥類シャカタク
 「東方Wiki」>人気投票結果 >第2回東方シリーズ人気投票

NORMAL

NORMAL
「Night Birds」 シャカタク



闇符 「ディマーケイション」
 
 [スペル]
 
 ルーミアのスペル。
 全難易度で使用。
 環状交差式に飛来する米弾三層が放たれた後、
 自機照準で多量の弾丸4群を次々射出する。
 
 ・demarcation
   「境界、境界画定、区分、管轄、縄張り」
 
 Demarcation.
 「闇の領域」
 境界線あるいは概念により明確に隔てられる分界。
 "demarcation line" といえば境界線に重きが置かれるが、
 単に "demarcation" である場合は
 二分された領域あるいは隔てることを指すだろうか。
 ここでは「闇の領域」 ぐらいの意訳だろうか。
 単語の意味の中では 「管轄」 や 「縄張り」 が近いニュアンスだろうか。
 光と闇の境界と共に拡大する闇の領域。
 青緑赤、光の三原色の円環状弾幕は
 闇の拡大に伴って外側に追いやられる光を表すだろうか、
 ルーミアが光を操作していることを表すだろうか。
 闇に捕われた獲物に対して、猛烈な攻撃が見舞われる。
 
 闇を操ることに関係して、次の単語もこれに掛けられているだろうか。
 ・dim
   「(場所などが)薄暗い、ほの暗い。(物が)はっきりと見えない。
    (視力が)弱い。(記憶などが)はっきりしない。頭の鈍い、理解の遅い」
 ・dimmer
   「薄暗くする人(物)。調光器」

 
 参考
 「SPACE ALC」(demarcation, dim, dimmer)

NORMAL



人類は十進法を採用しました
 
 [会話]
 
 魔理沙ストーリー Stage1での会話。
  魔理沙 「で、なんでそんな手広げてるのさ」
  ルーミア 「『聖者は十字架に磔られました』
         っていってるように見える?」
  魔理沙 「『人類は十進法を採用しました
        って見えるな」

 無闇やたらと両腕を真横に広げるルーミアについての話題。
 
 元ネタは、森博嗣の短編集 「まどろみ消去 〜Missing under the Mistletoe」 より。
  近づいて、フカシとヨーコが手を振ると、西之園萌絵は、
  両手を顔の横で広げてみせた。
  人類は十進法を採用しました、というジェスチャではない。

 フカシとヨーコと萌絵は同じ研究室に所属している。
 萌絵が主催者の一人であるイベントにはカップルばかりが参加していたが、
 二人がそんな間柄とは知らなかったと言わんばかりの
 萌絵の 「驚いた」 リアクションを表現したもの。
 
 この一節は 「森博嗣のミステリィ工作室」 中の
 森博嗣と萩尾望都との対談においても印象的に語られる。
  森 それは、「ジェスチャではない」 と書いてるんですから、フェアでしょう?
     「ジェスチャだ」 と書いてあるわけじゃありませんから (笑)。
  萩尾 いや、「顔の横で手を広げてみせた」 と書いてあるから、
      こうしたのか (腕を広げる) と思ったんですよ。でも、「十進法」 と
      書いてあるから、こうやった (指を広げる) んだなってわかったの (笑)。

 魔理沙の言う 「十進法」 は前者 (腕を広げる) である。
 
 さて、視点は先述の 「まどろみ消去」 に戻るが、
 ZUN氏が 「十進法を採用しました」 を採用した理由にはもう一つあると考えられる。
 というのも、先の引用が描写される短編作品名が
 「誰もいなくなった 〜Thirty Little Indians」
 だからである。実にシャレている。

 
 参考
 「まどろみ消去」 森博嗣著、講談社文庫
 「森博嗣のミステリィ工作室」 森博嗣著、講談社文庫


「まどろみ消去」 森博嗣



 タイトル等 / 自機 / Stage1 / Stage2 / Stage3 / Stage4 / Stage5 / Stage6 / Extra

補遺1・パチュリーの魔法体系 / 補遺2・咲夜とレミリア / 補遺3・紅魔郷の舞台

Acknowledgements & References

「東方備望録」TOPに戻る