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Acknowledgements & References

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パチュリー・ノーレッジ
 
 [キャラクター]
 
 最初から使用できるキャラ。
 「動かない大図書館」
 紅魔館の図書館に住みつく魔女。
 本を最重要視し、本と共にある。自身の健康には無関心。
 強力で多彩な魔法を駆使し、体術と言うか身体を動かす事の不得意をカバー。
 精霊魔法を会得し、陰陽五行の属性に基づいた魔法が得意である。
 魔法(主に精霊魔法)を扱う程度の能力を持つ。
 
 幻想郷を覆う、謎の気。
 その異変を自慢の大図書館で調べるが、詳細が全く分からない。
 異変の解決ではなく、情報収集と魔道書の編纂、つまりは蔵書の拡充のため
 宴会を除けば久々に館外に姿を現すことにした。
 普段は滅多に外出しない自分が宴会に参加すること自体珍しいことだったが、
 彼女自身も含め誰も不思議なこととは感じていなかった。
 本の傍らに在る者としての信条も、活動性を阻害する体調不良も
 なぜか霧散してしまったかのようだった。
 
 以前の事典にも記載あり:「東方紅魔郷
 
 テーマ曲(ヴワル魔法図書館、ラクトガール)についても
 以前の事典に記述あり:「東方紅魔郷

 
 
サマーレッド
 
 [技]
 
 パチュリーの必殺技。
 正面にかざした魔道書から、火炎弾が射出される。
 
 Summer Red.
 「夏の赤」
 五行のうちの火行にあたる季節が「夏」である。
 同様に火行にあたる色は「紅」である。
 
 ハイビスカスやイチジクの品種に同名のものがある。
 「夏」であるからどちらかと言われればハイビスカスの方がふさわしいか。
 また、鳥のフウキンチョウ属で赤が鮮やかな種類に
 アカフウキンチョウ (Scarlet Tanager) とナツフウキンチョウ (Summer Tanager) があるが、
 後者の別名に(特に雄を指して) "Summer redbird" がある。
 また、おそらく正式なものではないであろうが、
 時に鮮やかな赤色の名称に「サマーレッド」が使われる。

 
 
ウィンターエレメント
 
 [技]
 
 パチュリーの必殺技。
 相手の足下から水が噴出する。
 
 ・element …「元素、要素、成分、一団、基本元素(地水火風)、自然力、風雨、基本」
 
 Winter Element.
 「冬のエレメント」
 五行は、木・火・土・金・水の5つの成分から万物は成るとする思想であり、
 西洋の四元素説(地・水・火・風)としばしば比較される。
 西洋の四大がエレメントであり、それに由来して東洋の五行もエレメントと英訳される。
 五行の中で水行にあたる季節が「冬」である。
 すなわち、冬のエレメントはである。
 
 また、element には上述の様に「風雨、悪天候」の意味があり、水にまつわる要素が含まれる。

 
 
スプリングウィンド
 
 [技]
 
 パチュリーの必殺技。
 パチュリーの足下から風が吹き出し、相手を押し戻す。
 
 Spring Wind.
 「春風」
 五行の木(木行)に属する季節は「春」であり、
 「風」も木行にあたる。
 
 Spring には「春」の他に「泉、源、原動力、ばね、軽快さ、跳躍」の意味がある。
 パチュリーは普段の移動にも風・空気に乗ってラクチン移動しており、
 つまり風はパチュリーの移動においては原動力である。
 また、この技ではパチュリーの足下を中心に風が湧き出ており、
 パチュリーの身体も軽快に跳躍した様に浮き上がる。

 
 
オータムエッジ
 
 [技]
 
 パチュリーの必殺技。
 目の前に出現させた複数の金属片が、相手の位置を狙って直進する。
 
 Autumn Edge.
 「秋の刃」
 五行の金行に該当する季節は「秋」である。
 金行なので、金属の刃で攻撃。
 魔法の刃は、直接手に握って攻撃する必要性が無いため、
 持ち手や柄を持たず、したがって刀剣の類ではなく刃である。
 仮に「秋の刀」だったら大変。もうサンマ(秋刀魚)しか思い浮かばない。

 
 
ドヨースピア
 
 [技]
 
 パチュリーの必殺技。
 土中よりクリスタルもしくは何らかの鉱物の結晶を召喚、
 上空に舞い上がったそれらが攻撃判定を持って落下する。
 
 「土用の槍
 土用は日本語で、そのまま。
 五行思想に基づく季節分類の一つで、春夏秋冬・四季の各季節間の約18日間を指す。
 つまり、土用は一年間に4回あり、18×4=72日。
 72日×5(春夏秋冬+土用)=360、という按配。
 五行思想では、春に木気、夏に火気、秋に金気、冬に水気を割り当て、
 残った土気を季節の変わり目に割り当てて「土用」と称した。
 通例、立夏、立秋、立冬、立春の前のおよそ18日間が土用に当たり、
 夏の土用の丑の日は現在もウナギを食べる習慣で馴染み深い。
 この夏の土用しか現代では名残が無いため、
 土用と言えば一般には夏の土用しか指さないこともある。
 
 ・spear …「槍、投げ槍(lance)、長く尖った幼芽、幼根」
 五行思想の土(土行)は、
 植物の芽が地中から発芽する様子が元となっており、
 万物を育成・保護する性質を表すらしい。
 というわけで、"spear" は幼芽や幼根の意味で土行に含まれそう…か。
 
 しかし、土属性の攻撃で、土由来の攻撃成分をわざわざ上空に舞い上げて、
 降り注ぐ土の槍でダメージを与えると言う回りくどさ。
 「重力」がポイントなのか、「雨が降っても槍が降っても」がポイントなのか…

 
 
火金符 「セントエルモピラー」
 
 [スペル]
 
 パチュリーのスペル。
 「足下へ火球を叩きつけ、そこから立ち上る爆炎で攻撃します。」
 
 St. Elmo Pillar.
 「聖エルモの火柱」
 セントエルモの火は、雷・雷雲による強い電界の作用で起こる発光現象である。
 船のマスト、教会の尖塔、山頂、飛行船の翼など、高い位置で尖った構造の先端で発生する。
 静電エネルギーが溜まり、空気絶縁を破って起こる空中放電の一種であり、
 先端放電またはコロナ放電とされる。
 発生位置的に観測者と距離があり、また、天候条件も重なって「火」のように見える。
 冬場にドアノブなどで静電気を体験するケースも空中放電の類であるが、
 それに比較してセントエルモの火は持続する放電も特徴である。
 地面付近の大気と、やや高い位置の大気において、
 雷雲に由来する強い電界により電位の差が形成され、
 通例は空気による絶縁でエネルギーの逃げ道がないところだが
 船・建物など背の高い構造物があり、その先端が尖っていること、
 先端部から低い位置へ至る経路が絶縁されていないこと、の条件が満たされると
 持続的な放電が起こるという寸法。
 古代ギリシアの頃には、船の形式の名である、ヘレナ(Helena)と称されていたが、
 船乗りの守護聖人である聖エルモ(Erasmus of Formiae)の時代の後は
 セントエルモの火と呼ばれるようになった。
 18世紀になり、雷が電気であることを証明したベンジャミン・フランクリンにより
 この現象の謎も解明された。
 
 セントエルモの「火」と、効率的な放電のための「金属」の合成魔法で「火金符」なのだろうか。
 セントエルモの火という現象を知り、それをヒントに編み出した魔法なのだろうと推測。
 
 東方紅魔郷では五行相生の合成魔法で効率良くスペルを繰り出していたが、
 火と金は相剋関係で、火は金を打ち消す(火は金属を熔かす)のでよろしくない。
 このスペルはパチュリーのお遊び的要素が強いようだ。

 
 
土水符 「ノエキアンデリュージュ」
 
 [スペル]
 
 パチュリーのスペル。
 「かざした手から超高速の水の玉を連射します。」
 
 ・Noah …「ノア(聖書)」(Nóach とも)
 ・-an …(接尾語)「〜に関する、〜の性質を有する、〜の住人である、〜に精通する」
 ・deluge …「大洪水、ノアの大洪水、豪雨、大雨、洪水、殺到」
 
 Noachian Deluge.
 「ノアの大洪水」
 ノアの大洪水は、英語表現も様々で
 the Flood, the Deluge, Noah's flood, Noachian worldwide flood, Great Flood, などもある。
 旧約聖書、創世記にある記述で、
 地上に増え始めた人々が悪行ばかり行っているのを見た創造神に後悔の念が芽生え、
 これを滅ぼそうと考え、実行した結果が世界中を飲み込む大洪水であった。
 神は、「神に従う無垢な人」であったノアとその家族、すべての動物のつがいを
 箱舟(方舟、箱船)に避難させ、そして、大洪水後の世界を担わせ、
 二度と生物を滅ぼすことはないと言ったとか。
 Dドライブに必要ファイルだけ移してCドライブをフォーマットしたというところ。
 洪水は40日40夜続き、水が引くまでにはさらにおよそ200日を要したと言う。
 
 洪水は、箱舟外の系の生けとし生けるものをすべて滅ぼしたが、
 大地ならびに植物には影響を与えなかったものと思われる。
 全世界的な塩害に到らなかったところをみると、洪水の主体は海水でもなかった模様。
 「大洪水」が「大地」をなぎ払った、と見立てた「土水符」だろうか。
 あるいは、「季節の変わり目」としての土行ならぬ「世界の変わり目」という具合か。
 土と水もまた相剋関係で、土は水を打ち消す(水を濁す、水を吸収する、水を塞き止める)。
 つまり、土属性に対して水は効果を為さず、
 また、相生関係から木属性にもダメージを与えない(水生木)。
 したがって、ノアの洪水で大地と植物に影響がなかったのは、五行思想では自明。

 
 
金木符 「エレメンタルハーベスター」
 
 [スペル]
 
 パチュリーのスペル。
 「周囲に金属の刃を纏いゆっくりと放物線移動をする接近戦用の符。」
 
 ・harvester …「収穫者、刈取りする人、収穫農機具、刈取り機」
 
 Elemental Harvester.
 「エレメント伐採機」
 円盤ノコギリ様の金属ブレードが歯車の様に大小噛み合って
 パチュリーの背後でギリギリ回っているところから、刈取り機・伐採機で。
 金行の象徴する秋は収穫の季節でもあるし。
 エレメントは、「ウィンターエレメント」の項と同様に
 五行の木火土金水の5つのエレメントのいずれかで、
 ここでは収穫・伐採の対象ということで「木」のエレメント。
 木行に属する物を切って回る金属ブレード。
 「金木符」。
 金と木は相剋関係で、まんま金は木を切り倒すことで打ち消す。

 
 
日符 「ロイヤルフレア」
 
 [スペル]
 
 パチュリーのスペル。
 「頭上へ掲げた手から爆炎が噴出しあらゆる物を焼き尽くします。」
 
 以前の事典に記述あり:「東方紅魔郷

 
 
月符 「サイレントセレナ」
 
 [スペル]
 
 パチュリーのスペル。
 「周囲に魔法陣を展開し、そこから吹き上げる光で攻撃します。」
 
 以前の事典に記述あり:「東方紅魔郷

 
 
火水木金土符 「賢者の石」
 
 [スペル]
 
 パチュリーのスペル。
 「周囲に五属性にマジックアンプを召喚します。」
 例えば、サマーレッドを繰り出すと火属性のアンプがはじけ、攻撃が追加される。
 
 以前の事典に記述あり:「東方紅魔郷

 
 
符の壱 「セントエルモエクスプロージョン」
 
 [スペル]
 
 パチュリーのスペル。ストーリーモードのCPU専用スペル。
 魔理沙・アリス・妖夢・萃香使用時限定。
 セントエルモピラー+爆心地からの爆炎が地表を巡る
 
 St. Elmo Explosion.
 「セントエルモの爆発」
 セントエルモについては、「セントエルモピラー」の項を参照。
 火が暴れると書いて爆。
 セントエルモの火の暴発か、爆発性物質に放電エネルギーが接触したか。

 
 
符の弐 「デリュージュフォーティディ」
 
 [スペル]
 
 パチュリーのスペル。ストーリーモードのCPU専用スペル。
 魔理沙・アリス・妖夢・萃香使用時限定。
 ノエキアンデリュージュ+上空から自機狙いで水を落とす水泡群
 
 Deluge Forty-Day.
 「洪水の40日」
 ノアの大洪水は、洪水期間が40日間であったとされる。
 「ノエキアンデリュージュ」の項を参照。

 
 
金土符 「ジンジャガスト」
 
 [スペル]
 
 パチュリーのスペル。ストーリーモードのCPU専用スペル。
 魔理沙・アリス・妖夢・萃香使用時限定。
 くるくると舞い上がったパチュリーの背後から強い風が吹き、
 その流れに乗って攻撃判定を持つ旋風弾が飛来する。
 ロックマン2のエアーマンのよう。
 
 Jinn Jug Gust.
 「ジンの壺の突風」
 
 ジンは、アラブ・イスラム圏の精霊で、クルアーン(コーラン)にも記述がみられるほど
 イスラムでは一般的な霊的存在。
 神によって、火と風から創られた知的生物で、
 人間の目には見えないが、人間と同様にコミュニティを形成しているとされる。
 ヒトは土と水から創られた存在で、ジンを視認できないが、ジンからは確認される存在。
 ちなみに、ジン(Jinn)は複数形で、
 男性単数がジニー(Jinni)、女性単数がジンニヤー(Jinniyah)である。
 種別・階級分けもされており、
 上位から順にイブリース(Iblis)、マリード(Marid)、イフリート(Ifrit)、
 シャイターン(Shaytan)、ジン(Jinn)、ジャーン(Jann)とする場合や、
 4大元素に割り当てて
 地のダオ(Dao)、水のマリード、火のイフリート、風のジン、とされる場合がある。
 どちらかといえば、前者の階級制がクルアーンで記述される体系で、
 後者の種別は呪術的、オカルト的な分類方法であり、
 日本のRPGやファンタジーで、ジンが単体の風の精霊とされるのは後者の区分による。
 魔術で使役される悪魔や天使が、それぞれ害を為す、益を為す、という
 種族あるいは契約依存的な役割を担っているのに対し、
 ジンは自由意志を持ち、人間に干渉するのもジンの意思次第である。
 呪術的にジンを使役するには、アラビアン・ナイト(千夜一夜物語)でも見られる様に、
 ランプなど何らかの物体に束縛し、その枷からの一時的解放を条件にその能力を行使させる。
 ジン、あるいはジニーと言えば、アラジンの魔法のランプなど、
 ランプをこすって召喚し、3つの願いを叶えてもらう、というイメージが強いが、
 これはアラビアン・ナイトで描かれたジンのイメージをテンプレートに
 後に為された物語が広く世間(イスラム圏外)に知れ渡ったことによるもので、
 4大元素やクルアーンに基づくジンからすればほんの一部分の描写である。
 
 しかし、金土符が難解。
 ジンは先述の様に、火と風から創られた存在で、五行にあてれば火木符…。
 イスラム圏が中央アジアから西アジア・アフリカにかけて分布することから
 西(金行)と中(土行)で金土符だろうか、
 「ジョジョの奇妙な冒険」に登場した、アラジンの魔法のランプをモチーフに
 金属製の器から現れ、相手の願いを土に投影し具現化する「審判」とかけたものか…
 
 金と土は相生関係で、相性の良い要素の合成魔法であり強力。
  
 ちなみに、Jinn Jar GustとせずにJinn Jug Gustとしたのは、
 jar は、広口で円筒形に近く、取っ手の無いものを指すのに対して
 jug は、細口で取っ手のある水入れ、つぼ、かめを指すため。
 (細口で取っ手が無ければbottle)
 発音も、前者がジンジャーガストだが、後者はジンジャガストになるし。

 
 
火炉の鼠 〜 Fire Mouse
 
 [タイトル]
 
 パチュリーのストーリー、Srage1
 紅魔館大図書室 1st Day 14:00
、魔理沙戦。
 今回の異変について、蔵書で調べものをしている所へ、
 紅霧異変以来時折忍び込んでくる黒いネズミが侵入してきた。
 ネズミも今回の異変についてこっそり調べものをしたいと言うが…
 
 ・火炉 …「火を入れて暖を取るもの。火鉢・囲炉裏など。香炉。ボイラーの燃料を燃やす装置」
 
 煤や灰などで黒く汚れたネズミ、という意味と思われる。
 こっそり忍び込んできた黒い魔法使いを「黒ネズミ」と例えた表現にかけたもの。
 加えて、五行の「」をタイトル名に使っている。
 ちなみに、「頭の黒い鼠」と言えば、他人の私財を略奪するような悪人を指して言う。
 本をさっくり盗んで行く、スペルをこっそりインスパイアする、黒い鼠。
 
 Fire Mouse
 火鼠。
 中国の想像上の動物で、火山の火中に棲む白鼠。
 その毛皮は火に入れても焼けることがないと言う。
 かぐや姫の5つの難題の一つは、火鼠の裘(かわぎぬ)であった。

 
 
金属の猫イラズ 〜 Silver Knife
 
 [タイトル]
 
 パチュリーのストーリー、Stage2
 紅魔館大図書室 1st Day 21:00
、咲夜戦。
 ネズミが侵入するのは、猫としての役割の人間が目を光らせていないため。
 自身が図書館を留守にする以上は、猫の効果範囲を広げて、鼠の侵入を阻んでもらわねば困る。
 そこで、猫の再教育。
 図書館での調べものでも答えに到るには時間がかかるように思え、
 明日あたりは効率優先で情報収集に急ごうと考えていた。
 
 ・猫いらず …「黄リン・亜ヒ酸などを用いた殺鼠剤の商標名」
 (もとは商標名、現在は一般化した名詞と判断すれば良いかと思われる。
  UFOキャッチャーとかシャープペンシルとかと似たようなもの。)
 
 黄リンは、不純物の混じった白リンのことで、白リンは、リンの同素体の中で最も毒性が強い。
 猛毒で、反応性も高く、空気中にあっても自然発火する。
 白リン(黄リン)以外のリンの同素体に毒性はない。
 亜ヒ酸は、三価砒素の化合物で、化学式は(HO)3As。
 五価の砒素化合物や砒素自体にはさほど毒性は無い(但し五価の一部は生体内で三価に還元される)。
 三価の砒素化合物はタンパク質のチオール基(-SH)と容易に結合し安定になる。
 多種多様な酵素が阻害され、毒性が発揮される。
 近年では、黄リン・亜ヒ酸などの毒性の強い成分は敬遠され、
 毒性の低いクマリンが殺鼠剤に使用される。(誤飲事故の軽減目的)
 クマリンは、2H-クロメン-2-オンの慣用名で、ラクトンの一種。起源は植物由来の成分。
 クマリンの誘導体であるワルファリンは、抗凝血薬として実際の医薬品に使用されるが、
 クマリンもそれに似た抗凝血作用に基づいて、継続的に少量ずつネズミに摂取させて死に至らせる。
 
 殺鼠剤で、ネズミを駆除する役目の猫が不要なので、猫いらず。
 そのネズミ(侵入者)駆除を、紅魔館のメイド長たる咲夜が担うべきとし、
 咲夜の武器が銀のナイフであることから、金属の猫イラズ&銀のナイフ。
 加えて、五行の「」をタイトル名に使っている。

 
 
水の原型 〜 Water Mind
 
 [タイトル]
 
 パチュリーのストーリー、Stage3
 紅魔館大図書室 2nd Day 13:00
、アリス戦。
 どんな魔導書でもあるはずの図書館に記述がない未知の力、
 相当古く、かつ、土着のマイナーな力の様で、その情報を仕入れるために
 幻想郷にかなり古くから居る者を訪ねる…訪ねようとした矢先のアリスの来訪。
 来訪というか、やはり侵入。
 
 水の根源と言えば、H2O。
 分子的には水素2つが酸素1つに結びついたものの集合で、液体のものを指す。
 温度が上がれば、ぬるま湯、湯、熱湯などの表現が為される。
 が、英語表現では、温度に関わらず液体状態のH2Oを water と言う。
 原型のH2Oだけに着目すれば、氷だろうが水だろうが水蒸気だろうがH2Oである。
 本を盗み出す黒い人間だろうが、ただ質問に来ただけの七色の魔法使いだろうが、
 本質はどちらも侵入者であり、変わりはしないということ。か?
 
 Water Mind
 そのまま直訳で「水心」。
 魚心あれば水心、を指すと思われる。
 魚に水と親しむ心があれば、水もそれに応じる心がある、という意から
 相手が好意を示せば、自分も相手に好意を示す気になる、
 相手の出方次第でこちらの応じ方が決まる、という意味。
 結果的に、魔理沙もアリスも調べものをさせてもらえず、質問に答えてもらえていないが、
 それはパチュリーや図書館自体に対する接し方やあり方に問題があったため。
 ちゃんと門番から敷地内に入る許可をもらい、メイド長から館内に入る許可をもらい、
 館の主に館内を歩く許可をもらい、図書室の主に利用許可をもらわねばならないのだ、きっと。
 つまりは、最初から他人が図書室内に入り込める余地はまったく無い。
 だから侵入者ばかりになる。
 
 五行の「」をタイトルに使っている。

 
 
木霊墓地 〜 Ghost Factory
 
 [タイトル]
 
 パチュリーのストーリー、Stage4
 大木の有る墓地 2nd Day 21:00
、妖夢戦。
 幻想郷に、レミリアよりも古くから暮らす者、ということで幽々子を訪ねて冥界へ。
 だが、白玉楼には有能な、見張りも兼ねた庭番が。
 
 ・木霊 …(こだま)「樹木に宿る精霊。木の精。山彦」
 
 妖夢ステージの「大木の有る墓地」にちなんで、木霊墓地、かな。
 木霊は樹木に宿る老精で、木魅・木魂とも書く。
 古木や巨木の中でも選ばれた木に木霊は宿り、
 木霊も神も寄せる木は神木とされ祀られる。
 妖夢ステージの大木も注連縄で飾られ、神木であることをうかがわせる。
 
 それにしても、冥界にある墓地は誰の墓か?
 幽霊達が、成仏した仲間を思って建てたりしたものだろうか。
 
 Ghost Factory
 一般的には、ひと気の無い廃工場を指したりする語だろうか(類例;ゴーストタウン)
 ここでは幽霊の製造工場の意味で、人斬り妖夢を指す。(違)
 妖夢の剣は実体も斬れるし、幽霊を斬って成仏もさせられる。
 
 五行の「」をタイトルに使っている。


  
土の下で眠れ 〜 Another World
 
 [タイトル]
 
 パチュリーのストーリー、Stage5 Masquerade
 白玉楼 2nd Day 26:30
、幽々子戦。
 健康的に早寝早起きの亡霊の姫を訪ね尋ねる異変の事。
 幽々子 「放っておきなさい。どうせ何も起きないわよ」
 パチェ 「やっぱり何か知っているの?」
 幽々子 「私は知らないけど凄く懐かしい力よね。力が今みたいに細分化される前の」
 パチェ 「知っているのね」
 幽々子 「知らないって言ってるわ」

 Masquerade;見せ掛け、虚構、〜のふりをする、〜と見せかけてだます
 
 土の下で眠れ、は妖怪桜・西行妖の根元に遺骸の埋まる幽々子を指すか。
 ちなみにその昔は、仏式葬法が火葬、神道では土葬で遺体を葬った。
 仏教系の幽々子(西行法師ゆかりということで)に対して廃仏毀釈じみたタイトル。
 まぁ、仏教では火葬後の骨は土中に埋葬(あるいは散骨)されるから、皮肉でもないか。
 
 五行の「」をタイトルに使っている。
 
 ・another world …「あの世、来世」

 
 
月の記憶 〜 History of Moon
 
 [タイトル]
 
 パチュリーのストーリー、Border Line
 博麗神社(境界) Feast Day 17:00
、紫戦。
 今回の異変については、幽々子の友人が詳しいと幽々子の言。
 しかし、その居場所が分からず、神社で霊夢と談話していると、噂に影。
 
 「月の記憶」の由来は不明。
 同名の楽曲や書籍はあるが、関連不明。
 月はその誕生(ジャイアントインパクト)以来、地球を見続けてきた訳で、
 その記憶にはこれまでの地球上の歴史のだいたい全部と生命史の全てが留められているのだろう。
 境界を操る紫は、幻想郷にも外の世界にも精通しており、
 スキマから幻想郷の全てを見た記憶と、地球の外から地球上を見つめる月とを重ねたものか。
 それだけ紫は古 「古いって酷いわね。誰が言ったのよ?」
 
 陰陽五行の陰にあたる「」がタイトルに使われている。

 【改訂用の備忘録】
 東方儚月抄の伏線か。

 
 
日の国 〜 Pandemoniac Land
 
 [タイトル]
 
 パチュリーのストーリー、Immaterial and Missing Power
 幻想郷 Feast Day 19:00
、萃香戦。
 
 日の国と言えば、日本。
 「」にはそれ自体で、皇室や皇族に関することの意味があり、
 太陽を神格化した日の神である天照大神の子孫、の意に由来する。
 国の象徴としての格以外は剥奪されてしまった今日のものではなく、
 古き時代の天皇の治める国を指すものだろう。
 鬼の討伐に天皇が討伐軍の編制を指示する程の時代。
 
 陰陽五行の陽にあたる「」がタイトルに使われている。
 
 英題については、霊夢の項を参照。

 【改訂用の備忘録】
 日の国と言えば、日本。
 日本と言えば、国歌は君が代。
 ♪君が代は千代に八千代に。
 ♪さざれ石の巌となりて
 ♪苔の生すまで。
 今が小石であるものが長い年月を経て
 萃まり、大きな岩となる。
 現実には、石が萃まるどころか、
 長い年月が経てば風化により大岩も砂礫となる。
 そんな起こりえないエントロピー減少を能力でやってのけるのが
 萃香の疎と密を操る能力であり、そんな技も作中で使われる。
 
 なお、小石が炭酸カルシウムなど石灰質に埋まった石灰質角礫岩が、
 小石が集まり一つの岩となったようなその外観から 「さざれ石」 と呼ばれている。
 さざれ石の主要産地は伊吹山である。


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