八雲
紫 [キャラクター] グッドエンディング8種を見ると使用可能になるキャラ。 「幻想の境界」 幻想郷の境の、誰にも知られていない屋敷に住む、 妖しくも怪しい妖怪。 非常に胡散臭く、理解不能。 境界を操る程度の能力を持つ。 本作の特色たるアクションでは、その境界操作能力を発揮し、 上空から墓石を落としたり、飛来する弾丸を異空間に飲み込んだり スキマを利用した胡散臭い行動をとる。 「幻想曲抜萃」ブックレット中の海原海豚氏の言によると 画面端でのバックダッシュで反対側から現れる、 上半身と下半身に分離して操作可能になる、とかいったことも考えていたとかいなかったとか。 これらを踏まえると、基本モチーフは「ヴァンパイアシリーズ」のアナカリス? 萃香が能力を行使し、幻想郷の住人を萃めて宴会を続けて もう何度目になるだろうか。 いい加減、気付く者が出てもいい頃合いだが、 動き出すものも居らず、為すがまま操られている。 どちらか一方に最初から属しているわけではない、中立・中間の立場に居る紫だが、 力のバランスが萃香に偏っているのが気にかかる。 加えて、萃香の所業を知っておきながら、何も知らない幻想郷の連中が その能力に翻弄されているのを黙って看過しているのは どうにも境界領域というよりは、加害者の共犯的な立場に近寄りつつある。 そろそろ、均衡の戻し時。 紫は胡散臭いモチベーションで、妖しく怪しい行動に出る。 以前の事典にも記載あり:「東方妖々夢」
夜が降りてくる 〜 Evening
Star [音楽] 紫のテーマ曲。 〜不気味さと気持ちよさを兼ね備えた紫らしい曲になっていると思っています。 それに西洋と東洋を混ぜずに、分離したまま一つの曲に纏める事が出来た、かなぁ。 紫の場合、和洋折衷じゃ駄目なんですよね。 分離したまま一つにしないと肝心の境界がなくなってしまいますから。〜 (曲解説より) 沈みかけの太陽、黄昏時、 夜の帳(とばり)の降りかけの、逢魔ヶ時。 「境界」とEvening
Star(後述)ということで、夕刻。 夜がいよいよ降りてくる時刻。 帳(とばり)は物を覆い隠し、遮って見えない様にする物を意味し、 夜の闇を帳に例えて「夜の帳が降りる(下りる)」と表現する。 おそらくはこの表現から「夜が降りる」としたものと思われる。 これとは別に、「夜降つ(よぐたつ)」という語もあるが、 こちらは夜がふける(夜が深くなる、真夜中に近くなる)の意。 Evening
Star 「宵の明星」 夕方の西天に輝く金星のこと。 明け方の東天であれば、「明けの明星」と呼ばれ、英名はMorning
Star. こちらはレミリアストーリーの幽々子戦「夜明けの亡霊」の英題である。 黄昏から宵のしばらくの間だけ輝く星。 おそらくは「夕刻」の象徴として宵の明星をタイトルに当て、 また、旧知の友である亡霊との関連も付けているのでは、と思われる。 ZUN氏の好きなアーティストの一人、服部克久氏の曲に 「イヴニングスター 〜Evening Star」がある。
【改訂用の備忘録】 英語表現では、「日が暮れる、夜が訪れる」 を "night falls"
と言う。 夕闇迫る頃、黄昏時となると、"night is falling"
である。 英語的な表現を日本語で表したものが、「夜が降りてくる」
であろう。
開けて悔しき玉手箱 [技] 紫の必殺技。 上空に生じたスキマから、大きな墓石を落下させる。 ・玉手箱
…「美しい手箱。浦島太郎が乙姫からもらった箱。秘密にして人に見せない大切な物」 ・開けて悔しき(悔しい)玉手箱
… 「期待が外れて失望する例え」 言わずと知れた浦島太郎。 浦島太郎の物語は、そもそもは風土記に記される 水江浦嶼子(みずのえのうらのしまこ)の話をテンプレートに発展したもので、 日本書紀、万葉集にも類似の記述が見られる。 室町時代の御伽草子にて、現在も知られる浦島太郎の原型が描かれる。 水江浦嶼子の物語の頃から、 姫のもとで数年過ごす→帰る際に「開けてはならない」玉手箱(篋;くしげ)を渡される →帰ってみると里は見る影もない→箱を開けると終局(老人化・老化+死亡・鶴に変じる、など) この流れは保たれている。 (水江浦嶼子については、東方文花帖にも関係する。) 御伽草子には次の歌が添えられている。 君に逢ふ 夜は浦島が 玉手筥 開けて悔しき
我が涙かな また、むかし〜むかし〜うらしまは〜♪の歌詞の唱歌(童謡)でも、その五番は以下の歌詞である。 ♪心細さに蓋取れば、開けて悔しき玉手箱、中からぱっと白けむり、たちまち太郎はお爺さん♪ こちらの歌詞と、ことわざとしての「開けて悔しき玉手箱」の どちらが先に著されたかは不明だが、いずれにせよ御伽草子の歌が元となっていそう。 玉手箱の効果は、物語のバージョンにより異なるが、 現在知られている浦島太郎の昔話では「老化」が基本性能。 丹後国風土記の水江浦嶼子の話では、三百年経過しており肉親も知人もなく孤独で、 常世の国での暮らしや仙女を思い箱を開くが、それにより常世にも二度と関われなくなり 涙するバッドエンド。 万葉集の水江浦島子の話では、玉手箱の白雲により老化し死亡。 御伽草子では、時間経過がさらにシステマイズされ、 常世の国で三年過ごすと元の世界で三百年経過していた、という時間の流れの違いだけではなく、 浦島の700年分の加齢を玉手箱内に圧縮封印していたとすることで 常人が700年の時間経過を経た理由付けとし、また、玉手箱による老化の説明ともしている。 が、御伽草子では700年の時間経過を一気に経たことで鶴と化した。(妖怪化にも類した昇華) まぁ、基本は老化であると。 で、本題。(今頃) 紫と玉手箱の関連は、もちろん胡散臭いこともあるが、 東方妖々夢での紫の二つ名「神隠しの主犯」に関連するのではないかと推測。 こちらも東方妖々夢に関連する「遠野物語」にて記述される神隠しとして 「寒戸の婆」がある。(「八雲紫の神隠し」参照) 若い女性が神隠しに遭い、三十年も経ってから現れるが、 「極めて老いさらばえて」現れたとあり、神隠しと共に通常とは異なる速さの加齢を経ている。 紫と神隠し、神隠しと加齢、加齢と玉手箱…
禅寺に潜む妖蝶 [技] 紫の必殺技。 手にしている傘を画面手前に向けて開き、回転させる。 傘は卍を描くエネルギーを帯びており、このブレードにて切り裂く。 ボタン操作により、回転しつつ前身、あるいは、回転しつつ直上へ昇る。 ネーミングは、東方妖々夢のスペル「禅寺に棲む妖蝶」に酷似する。 「禅寺に棲む妖蝶」は、卍型のレーザーを回転させるスペルであり、 「禅寺に潜む妖蝶」でも描かれる卍のビジュアルから類似のネーミングをしたものと思われる。 禅寺については東方妖々夢事典の解説を参照。 サムライスピリッツの緋雨閑丸の五月雨斬り、暴雨狂風斬などのイメージが元だろうか。
枕石漱流 [技] 紫の必殺技。ちんせきそうりゅう。 スキマを開き、暗い異空間へと弾丸をやり過ごす。 吸い込んだ弾丸はストックされ、漱石枕流で一気に放出できる。 ・枕石漱流
…「山水の間に隠れ住んで、自由な生活をすることの例え」 石に枕し、流れに漱ぐ(くちすすぐ)、と書き下せる語。 自然と一体の隠遁生活。 中国の故事に由来する言葉。 次の「漱石枕流」に関連が深く、詳細はそこで述べる。
漱石枕流 [技] 紫の必殺技。そうせきちんりゅう。 スキマを開き、まばゆい異空間から光弾あるいはクナイ弾を放出する。 枕石漱流でのストックがあると、その分を一気に放出するため威力が増す。 ・漱石枕流
…「屁理屈を並べ負け惜しみの強いことの例え」 中国の「世説新語」にある故事から。 晋の孫楚(そんそ)が、隠遁生活をするということを、故事を引用して 「枕石漱流」と言うべきところを誤って「漱石枕流」と言ってしまう。 石に枕し流れに漱ぐところが、石に漱ぎ流れに枕するというおもしろイメージに。 話を聞いていた友人はすかさずツッコミを入れるが、これを孫楚は冷静に 「漱石は歯を磨くこと、枕流は耳を洗うことだ」とさらりと返す。 これを屁理屈、苦しい言い逃れ、としたのが上記国語辞典の解釈。 日本での漱石枕流の解釈は一般的にこのようなもの。 しかしながら、漱石枕流の孫楚の解説を聞いたその友人(王済)は ニヤリとして「さすがだ!」と感心したという。 これは、中国の古伝説上の隠者・許由(きょゆう)の逸話、 聖帝に天下を譲ろうと言われた許由は、「耳が穢れた」と潁川(えいせん)の水で耳を洗い、 箕山(きざん)に隠れ住み隠遁生活をしたと伝えられるものに基づく。 この逸話から、耳を洗う、耳を漱ぐ、とは 俗世間の栄達にとらわれない高潔な心でいる、という意味の立派な言葉である。 従って、言い間違えの「漱石枕流」を即座に「耳を洗う」とし、 高潔な心と許由の故事と関連させ、最初に言わんとした「枕石漱流」にリンクさせたという 単なる誤りを高度な変換で立派なものに昇華した、教養人としてもかなりの高等テクニック。 単に弾丸を受け流す枕石漱流と、 単に受け流したと見せかけて、付加価値を乗せて高度な返しをする漱石枕流と見立てたものだろうか。 また、理屈・屁理屈で言えば、 理論物理学でその存在が示唆され、その後観測により存在も見出されているブラックホールと 入り口があれば、出口もあるだろうという良く判らない論理で想像されたホワイトホール (相対性理論に則って数学的に計算すれば存在し得るらしいが、物理的には存在しない) とを枕石漱流、漱石枕流とに当てはめたものだろうか。 暗黒空間と光輝空間のグラフィックともマッチする。 ちなみに、漱石と言えば明治の大文豪・夏目漱石だが、 これは元々は、正岡子規のペンネームのひとつ「漱石」がプレゼントされたもの。 もちろん、漱石は漱石枕流に基づいている。 夏目漱石と小泉八雲はほぼ同時代の作家にして、共に英語教師。 現在の熊本大学・東京大学に夏目漱石が赴任した際にはどちらも小泉八雲の後任としてであった。 小泉八雲については、東方妖々夢「八雲紫」「三國に渡り妖異をなすが」参照。
幻想狂想穴 [技] 紫の必殺技。 必殺技というか、ワープ技。 ネーミングは霊夢の「幻想空想穴」に近いが、 ワープするだけで蹴りは含まれないため、 性質としては咲夜の「バニシングエブリシング」に近い。 幻想空想穴とバニシングエブリシングの境界。 ・狂想
…「常識はずれでまとまりのない考え。気まぐれな考え」
境符
「四重結界」 [スペル] 紫のスペル。 「目の前に四の結界を生成して攻撃します。」 かざした手の前に四つの四角が陣を描いて回転。 ・四重
…「四つ重なること。四つ重ねたもの」 (仏教用語)「四種の重罪。殺生・偸盗(ちゅうとう)・邪淫・妄語」 仏教用語の四重の方は、四重禁、四重禁戒あるいは四重罪の略としての四重。 最も重い四つの禁戒。 これを犯すと出家教団から追放される。 結界は元来、神社などで見られる鳥居・注連縄・段差を持ってなされる外界との境界線であり、 俗と神、穢れと聖浄を隔て、明確な区分となる機能を担う。 仏法の定める罪や穢れを断固として遮断するものが四重結界であろうか。 紫と仏教が結びつくかは多少疑わしいが、禅寺もあるし卍だし…。 ちなみに、同じく仏教用語で四界は「地水火風」の四大を意味する。 四大に対する四種の結界を四重に張り、世界のあらゆる成分から隔絶される結界 という解釈もありだろうか。 上位版が「魅力的」なので、属性よりも欲や煩悩に誘引される方がしっくりくるだろうか。
式神
「八雲藍」 [スペル] 紫のスペル。 「藍を呼び出して攻撃させます。」 東方妖々夢にも同名のスペルがある。 八雲藍については、東方妖々夢の「八雲藍」参照。
境符
「二次元と三次元の境界」 [スペル] 紫のスペル。 「画面中を一周する衝撃波を射出します。」 衝撃波が、画面端をぐるりと巡る。 二次元・三次元は、正確には 物理学や数学で言うところの次元が2つあるいは3つあることであり、 2つあるいは3つの座標で表される広がりを言う。 一般的には、二次元・三次元と言ってしまえば それはそれぞれ平面・立体である。 ここでいうところの二次元は、ドットでディスプレイに描き出されるゲーム画面、 三次元は、プレイヤーとしての我々の空間であろうと思われる。 彼女らの世界から見ればよく判らない奇妙な軌道を描く衝撃波も、 我々の世界から見れば単に画面端を巡っているものにすぎない。 八雲紫は幻想郷の「外」にも精通する身である。 「外」からの視点で「二次元と三次元の境界」と表現しており、 幻想郷で弾幕ごっこにいそしみながらも、視点は客観である。 幻想郷の外は人間界だが、それらを包含する世界とはZUN氏の設定世界であり、 その「外」の世界も八雲紫は知っている、ということだろうか。 幻想の中で生まれ幻想を愛する彼女も、 その能力を行使すれば、夢と現の境界も、空想と現実の境界も、物語と体験の境界も ちょいと弄ればこんにちは、である。 なんだか気分はボヘミアンラプソディ。
結界
「魅力的な四重結界」 [スペル] 紫のスペル。 「吸引能力を持つ結界を生成して攻撃する四重結界の上位版。」 外側に二重、内側に二重の四角形を描く結界で、内と外は異なる回転をする。 その中心部に吸引性がある。 四重結界については前述を参照。 魅力とは、人の心をひきつける力。 心が惹きつけられ、身体も牽き付けられる。 英語表現での「魅力」を意味する語のひとつに"attraction"がある。 attract
は「引きつける、魅力がある」という意味で、 物理的に引きつける力も精神的にひきつける力も表現できる語である。
式神
「八雲藍+」 [スペル] 紫のスペル。 「藍に加えて更に橙を呼び出すことが可能になります。」 八雲藍の上位版。 藍は回転しながら直進し多段HITする性質、橙は丸まってしばらく画面中を弾む性質。 ボタン操作でどちらかを召喚する。 "プラス"は橙のことだろうか。 紫の式神である藍の式神が橙であり、 紫から見れば下の下なのでプラス扱いなのだろうか。
結界
「客観結界」 [スペル] 紫のスペル。 「画面中を一周する衝撃波を前後に射出します。」 二次元と三次元の境界の上位版。 前後どちらかに打ち分けていた衝撃波を、前後に2つ発生させる。 ・客観
…「観察・認識などの精神活動の対象。世界。 主観から独立して存在する外界の事物。客体。 当事者ではなく、第三者の立場から観察し、考えること。また、その考え」 客観は明治初期の造語で、明治期には「かっかん」と読まれた。 多く認識論的意味で用いられる。 存在論的あるいは論理学的意味での行為・実践の対象は客体。 「二次元と三次元の境界」も参照されたいが、 ここでの外界・第三者とはすなわち我々プレイヤーである。 その視点を知る八雲紫のスペル。
符の壱
「四重結界」 [スペル] 紫のスペル。ストーリーモードのCPU専用スペル。 空中に停滞する紫の周囲を四つの四角形が巡る。……四つ…だと思う…。 結界に当たり判定は無いが、四角のいずれかの辺から自機狙いで楕円弾群が射ち出される。 前述の「四重結界」参照。
符の弐
「八雲卍傘」 [スペル] 紫のスペル。ストーリーモードのCPU専用スペル。 画面手前へ向けて、愛用の傘を開き高速回転させる。 傘の中心から四方にエネルギーが走り、傘の縁に達した部分が傘の回転に沿って流れ、 卍の形のブレードを成す。 このまま前方へ突進、あるいは突進後に上昇し斬り上げる。 さらに、上空から卍ブレードを地上めがけて見舞う。 卍ブレード付きの傘はグレイズ不可、直接攻撃はもってのほか。 上空からの卍ブレードは、今度はガード不可、グレイズ可。 また、回転させる傘に卍を伴わず、楕円弾を乱射するパターンもある。 この際は紫はグレイズ状態で、飛び道具不可、直接攻撃可。 卍については東方妖々夢事典の「アルティメットブディスト」に記している。 卍は万(萬)にも当たる。 元はサンスクリット語だが、仏典を通して中国に伝わり 中国で漢訳・音訳された際に万と関連付けられる。 したがって、卍は「まんじ、マン、バン」と読める。 八雲卍傘で「やくもばんがさ」と読むのはどうだろう? 番傘とかけていたりしないかなぁ、という読み。 番傘は和傘の一種で、普段用の粗末だが丈夫な傘。 紫の傘は和でもないし粗末でもないけど、打撃に使用可能な愛用の傘。
符の参
「八雲藍」 [スペル] 紫のスペル。ストーリーモードのCPU専用スペル。 藍を召喚しひと暴れさせる。 藍は自機狙いで予告線を発し、その線上を回転しながら突進する。 その間、紫は上空に舞い上がるなどして、八雲卍傘の楕円弾乱射パターンを取る。 高難易度では、藍と同様の振る舞いをする橙も同時召喚される。
外力
「無限の超高速飛行体」 [スペル] 紫のスペル。ストーリーモードのCPU専用スペル。 水平に予告線レーザーが走ったのち、高速物体が駆け抜ける。 一瞬、その光跡も表示されるが、速すぎて文字通り目にも留まらない。 下段・上段・頭上・上空いずれか1本以上が高速物体の通路となる。 ガード・グレイズ共に不可のため、 しゃがみ・ジャンプ・ハイジャンプ・空中ダッシュ・霊撃を駆使して回避する。 ・外力
…「物体または物体系に外部から作用する力」 質量ある物体を加速し、速度を高めるにはエネルギーが必要である。 エネルギーさえあればどこまでも加速できるかと言うとそうではなく、 相対論的効果で、速度が光速に近づくほど慣性質量が増すため 更なるほんのちょっとの加速にも膨大なエネルギーが必要になってくる。 質量ある物体を光速にするには無限大のエネルギーが必要。 この場合は光速ではなく超高速で、物体の質量も不明だが、 無限に近い運動エネルギーを持つ高速物体ということだろうか。 すなわち、無限に近いエネルギーで加速された物体。 そんな膨大なエネルギーをどこから……それが系外からの外力。 ブラックホールの超重力場によるスイングバイで物体を超加速させ、 必要時までブラックホールの周囲を巡らせてストックしておくとか。 ひょっとしたら、物理定数も異なる別の宇宙の物体かも? 胡散臭いスペルであることは確か。
幻想
「第一種永久機関」 [スペル] 紫のスペル。ストーリーモードのCPU専用スペル。 自機周囲を使い魔がひたすら巡り、その外側に向かって弾丸を乱射し続ける。 内側に向けては大玉を四方から自機狙い、あるいは光弾をばら撒く。 使い魔の描く円周の外に出てしまうと、弾丸群に巻き上げられ、悲惨な結果に。 紫は円内も円外も関係無く、ふわりふわりと動いてプレイヤーをおちょくる。 永久機関とは、系外からエネルギーを与えられることなく仕事を行ない続ける装置を言う。 永久運動するだけでなく、外に対して仕事を行い続ける。 永久運動だけなら惑星もボイジャーも行なっている。 第一種永久機関は、外部からエネルギーを受け取らず、外部に対して仕事をする機関である。 当然ながら、外部からの熱も仕事も加えられずにエネルギーを出すことになり やがて系内のエネルギーは枯渇してしまう。 これを受け、熱力学第一法則としてのエネルギー保存の法則が定式化された。 紫の能力で、スキマを介して異なる系同士を結びつけて一つの系として扱えば 永久機関の構築も可能であろうか。 おそらくは、それでもスキマを開き維持するエネルギーや、 異なる系を行き来する際にかかる負担がエネルギーのロスにつながると思われるが。 だからこそ幻想郷においても「幻想」なのであろうか。
血の色のお酒 〜 Good
Morning [タイトル] 紫のストーリー、Stage1 紅魔館ロビー 2nd Day 28:00、レミリア戦。 実質的にFeast
Day 4:00。未明の紅魔館。 良いお酒を頂きにスキマ妖怪参上。 紫 「貴方、良いお酒を持っていたわよね?」 紫 「電気ブラン」 レミィ 「ブランデー」 電気ブランとは、ブランデーを主にしたアルコール飲料の商標名。 ブランデーをベースに、白ワイン、キュラソー、ジンなどを加えたもの。 明治から大正時代にかけて流行し、電気が文明の先端であったことからの命名。 昭和中頃にデンキブランと改称された。 ブランデーは、果実酒から作られた蒸留酒の総称で、 通常はブドウを原料としたワインを蒸留して作られたものを指す。 リンゴやサクランボから作られたものもある。 アルコール度数は40度〜50度あたり。 ちなみに、ブランデーベースのカクテルに「デビル」「ディアブロ」が、 血にちなむならば「ピジョン・ブラッド」などがある。 未明だが朝なのでGood Morning。 紫 「もう陽が昇るわ」 紫 「その優しい火が〜♪ 命取られて消えていく〜♪」 ??? ブランデー・焼酎・ウォッカ・ウイスキー・ジンなどの アルコール分の強い蒸留酒は「火酒」とも呼ばれる。
葡萄色のお酒 〜 Wine
Biscuit [タイトル] 紫のストーリー、Stage2 魔法の森(マーガトロイド邸) Feast Day
13:00、アリス戦。 良いお酒を頂きにスキマ妖怪参上。 紫 「貴方も良いお酒を持っていたわよね」 紫 「ヴァンアレン」 アリス 「ワイン」 ヴァンアレンとは、ヴァン・アレン帯の発見者、James Van Allen
のこと。 ヴァン・アレン帯は、地球を取り巻く電磁気的な二層構造の放射線帯で、 太陽風などの粒子や電子、陽子が地球磁場に捕えられて形成されると考えられている。 フランス語で
vin (ヴァン)はワインのこと。 ワインは、葡萄酒とも呼ばれ、主としてブドウの果汁を発酵させたアルコール飲料。 ワインの歴史は古く、紀元前4000〜3000年のエジプトが最初と言われる。 ワインのお供はビスケット。Wine
Biscuit。 別々に口に含んだり、ワインをビスケットに染ませて味わったり。 赤ずきんがおばあさんに届けようとしていたのもワインとビスケットだし。 紫 「そうねぇ…… そこの割れ易いビスケットも戴こうかしら」 アリス 「ビスケット……? 何処にそんなものが?」 ・take the biscuit
…「一番になる、際立っている、ひどくずうずうしい、あきれる」 ちなみに、英語圏ではビスケットもクッキーも区別がない。 イギリスでは両方ともビスケットだし、アメリカでは両方ともクッキーと呼ぶ。 アメリカでいうビスケットは、日本でいうケンタッキーフライドチキンのビスケット。 紫 「その儚い火が〜♪ 厳しい風で消えていく〜♪」 ??? 漢詩で、他人の詩に和して、同一の韻を用いて詩を作ることを「和韻(わいん)」という。 ここでは、一ステージ前の詩との和だが。
【改訂用の備忘録】 biscuit … 「薄焼きパン、ビスケット。薄茶色の。(陶器の)素焼き
(bisque)。」 三番目の bisque
が、人形用などの素焼きや白磁を言うビスク焼きである。 フランス人形に代表されるビスクドールがそれである。 (東方元ネタWiki様の記事を参考にしました。感謝) また、マーガトロイドの名はワインの50Lボトルを指して言う語に 関係する可能性がある。 東方妖々夢事典の「アリス・マーガトロイド」参照。
半透明のお酒 〜 Milk
Sugar [タイトル] 紫のステージ、Stage3 大木の有る墓地 Feast Day
14:00、妖夢戦。 良いお酒を頂きにスキマ妖怪参上。 紫 「ところで、貴方も良いお酒を持っていたわよね」 紫 「ドブロイ波」 妖夢 「どぶろくです」 ドブロイ波は、ド・ブロイ波、ド・ブローイ波、物質波とも呼ばれ、 1924年にルイ・ド・ブロイにより提唱された、粒子性と波動性を結びつけた理論。 電子や光子などは果たして物質・粒子であるか、それとも波動・波であるかという議論や実験は 古典物理学の代から繰り返され、大筋では光やX線は波、電子などは粒子と考えられていた。 1905年、アインシュタインは光電効果を、電磁波を粒子として解釈し説明付け、 1923年、コンプトンは電子によるX線の散乱でコンプトン効果を見出した。 波としての電磁波が、波動性と共に粒子性を示すことが明らかにされた。 これらに対してド・ブロイは逆に、粒子もまた波動の様に振舞えるのではないかと提唱。 運動している電子の運動量と電子の波(電子波)の波長を関係付ける式を仮定した。 提唱当時は常識外れの説として受け入れられなかったが、 トムソンらの実験に支持され、ハミルトンのアナロジーとマッチし、 シュレーディンガーの波動力学の定式化にも用いられた。 結局、アインシュタインの光量子仮説では光子に限られていた波動と粒子との二重性が、 ド・ブロイにより、物質全体に成り立つ性質であることが明らかになったと言える。 このあたりは東方文花帖の紫のスペルにも関連。 どぶろく(濁酒)は、米麹や酒粕に残る酵母を利用して炊いた米から作る酒である。 清酒に比べて濾過は甘く、濁り酒と呼ばれることもある。 未発酵の米に含まれる澱粉や、澱粉の分解産物である糖に由来するほんのり甘い風味。 アルコール度は清酒と同程度の14〜17度。 加熱殺菌処理されていない生酒であり、保存は難しく、お早めにお召し上がり頂きたい。 Milk Sugar
は「乳糖」 化学的にはラクトース(lactose)。 グルコースとガラクトースから成る二糖。 正確には、β-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-β-D-グルコピラノース。 ラクトースは哺乳類のミルク中の主要な糖質で、牛乳に含まれる(4.5%)よりも 母乳中の割合の方が高い(7.5%)。 一方、どぶろくの解説に述べた澱粉は、アミロースとアミロペクチンから成るが、 どちらの成分も多価(それぞれ200〜300分子と何十万分子)のグルコースから構成される。 つまり、どぶろく中に乳糖は含まれないのだが、 白く濁った外観とその甘み、(加えて、紫視点からの妖夢の幼さ)を ミルクとその甘みに例えたものと思われる。 紫 「血の気無い石の下〜♪ 未来永劫石の下〜♪」 ??? 雨水・汚水などが流れる溝(どぶ)は、周辺の地面より低い位置で、 石の板で覆われたりしてどぶロック?……強引すぎた…orz
霖雨のお酒 〜 Rainy
Woods [タイトル] 紫のストーリー、Stage4 魔法の森(霧雨邸) Feast Day
15:00、魔理沙戦。 安いお酒を頂きにスキマ妖怪参上。 ・霖雨(りんう)…「何日も降り続く雨。ながあめ」 紫 「貴方も安いお酒持っていたわよね」 魔理沙 「そこそこ良いお酒だ。」 紫 「奇焼酎」 魔理沙 「何も付かない焼酎。寄生虫みたいな言い方するな」 焼酎は、日本固有の蒸留酒で、穀類・芋類・糖蜜などをアルコール発酵させ、それを蒸留した酒。 米焼酎・芋焼酎・麦焼酎・泡盛など多くの種類がある。 アルコール度は20〜50。 夏の季語でもある。 焼酎→夏→梅雨→長雨・霖雨、だろうか。 Rainy
Woods. 「雨の森」「雨にぬれた林」 おそらくは「霖」の文字の分解&変換。 ついでに暗く湿った魔法の森も指すか。 紫「聳え立つ冷たい石の塔〜♪ 朽ち果ててく機械の街〜♪」 ??? 奇峭(きしょう)は、山などが険しく聳え立っていること。 石の塔を柱に見立てて奇峭柱(きしょうちゅう(奇焼酎))……無理がある…orz
神に奉るお酒 〜 Sea of
Nectar [タイトル] 紫のストーリー、Stage5 Masquerade 博麗神社 Feast Day
16:00、霊夢戦。 そこそこのお酒を頂きにスキマ妖怪参上。 紫 「貴方もそこそこのお酒を持っていたわね」 紫 「吟醸酒」 霊夢 「そう多分、吟醸酒。でも外のお酒だから外来酒」 日本酒のうち、60%以下に精米した白米を原料とし、 低温発酵させて醸造した清酒が吟醸酒。 吟醸とは、吟味した原料を使って丁寧に醸造することを言う。酒・味噌・醤油など。 また、酒の美称あるいは神に供える酒は、御酒あるいは神酒で、どちらも「みき」と読む。 神に奉るお酒なので神酒。おみき。 Nectar
は、果汁、花の蜜を意味する語だが、 ここでは、ギリシア神話の神々の飲む不老長寿の酒・ネクタル、神酒である。 Sea of Nectar
は、神酒の海で、月面の豊かの海の西に位置する月の海の一つ。 月の記憶。 紫 「崩れ落ちてく砂の城〜♪ 溶けて消えるは土の国〜♪」 ??? 砂上の楼閣かと思ったが、砂の上の城ではなく砂の城なので違う…神酒の海の砂浜の波打ち際? あるいはコンクリート(砂や砂利、水などをセメントなどの糊状の物で結合させたもの)? 砂は溶け、土の国は失われるわけだ。舗装された道路。 神酒だけにミキサー(コンクリートミキサー)、なんて……orz
超古々酒 〜 Elder
Phantom [タイトル] 紫のストーリー、Border Line 博麗神社(境界) Feast Day
17:00、幽々子戦。 宴会会場に幽々子が現れる。 「どうしたの?宴会前だってのにこんなに荒らして」 紫 「ところで 話が変わるけど、そのお酒。物凄く古いお酒ね」 幽々子 「そんな事無いわ。賞味期限まであと千年以上はあるし」 ・古酒
…「前年度またはそれ以前に造った日本酒。長い貯蔵期間を経て熟成した酒」 超古々酒という種類のお酒は無いが、 例えば古古米(ここまい)は「収穫年度から二年経過した米」を意味する。 つまるところ、「とにかく古い」。 超古々酒で検索すると、石川は奥能登の超限定焼酎フジ・ブランドールがHIT。 超古々酒30年ものをブレンドした長期熟成本格焼酎なのだそうな。 ・elder
…「年上の、上位の、昔の。年長者、老人、長老、古老」 Elder
Phantom. 「昔の幽霊」 紫 「空だけは〜昔と変らぬ美しき蒼〜♪ 国〜破れて〜山河在り〜♪」 ??? 国破れて山河在りは、杜甫の春望の一節。 国は滅んだが、山や川は元の姿のまま存在している。 壮大な時間の流れで地形すら変ってしまっても、空だけは相も変わらず蒼く在る。
夢幻に湧く酒 〜
Pandemoniac
Land [タイトル] 紫のストーリー、Immaterial and Missing Power 幻想郷 Feast Day
19:00、萃香戦。 お酒を奪われた皆は怒り心頭。 そのお酒はどう見ても酒好きの萃香がすべて飲んでしまったことにする。 皆の注意と矛先は萃香に向き、能力も明らかとなり、宴会も自由意志となる算段。 萃香 「でも〜、みんなの前に出ても、私らはみんなの敵のままじゃないの?」 紫 「あら、そうかも知れないわね。でも大丈夫。 貴方の瓢箪を宴会で出すのよ。幾らでもお酒が湧くのでしょう?大喜びよ」 萃香の瓢箪は、無限にお酒の湧く瓢箪。 しかも、ひっくり返しても一度には瓢箪1杯分しか出ないセーフティ付き。 安心して酔い潰れられる。萃香は潰れないけど。 瓢箪はウリ科のツル性の一年草で、ユウガオの変種。 果実は中間がくびれて上下が膨らんだ形をし、熟すと果皮が堅くなる。 果実の中味を取り除き、乾燥して作った器もまた瓢箪である。 酒などを入れる。 ひさご、ふくべ、とも呼ばれる。 酒を入れる瓢箪は酒瓢(しゅひょう)とも呼ばれる。 ・夢幻
…「ゆめとまぼろし。また、はかないことの例え」 もちろん、無限とかけている。 英題については霊夢の項を参照。
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項目 / 博麗霊夢 / 霧雨魔理沙 / 十六夜咲夜 / アリス・マーガトロイド
/ パチュリー・ノーレッジ
魂魄妖夢 / レミリア・スカーレット / 西行寺幽々子 /
八雲紫 / 伊吹萃香 // 紅美鈴
Acknowledgements &
References
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