項目 / 自機 / Stage1 / Stage2 / Stage3 / Stage4A / Stage4B /

 Stage5 / Stage6A / Stage6B / ED / Extra / LastWord / Acknowledgements & References /

補遺:「永夜考」 / 補遺:「東方竹取考」 / 補遺:「ルナリアン考」

「東方備望録」TOPに戻る

 


人間の消える道
 
 [タイトル]
 
 Stage2のタイトル。
 夜の街道、森の道。
 人間の足も夜は無く、
 妖しき宙に響く声。
 一寸先も見えぬ闇、
 雀の歌にご用心。
 
 偶然通りかかったヒトの道は、妖怪・夜雀のテリトリーであった。
 (紅魔チームは人里を目指していたので必然だが)
 夜雀は人間を襲い、夜の道からは人が消える。
 今度も通りがかった人間を襲おうとするが、
 人間と一緒にいる妖怪は夜雀を遥かにしのぐ強さだった。(人間も)
 紫   「全く、夜雀風情が」
 アリス「こんな雑魚にかまってないで先急ぐわよ!」
 レミィ 「ふん。餓鬼が夜遊びか?」
 幽々子「雀は小骨が多くて嫌いなの」

 
 タイトルと共に以下の字幕が表示される。
 「人間の通り道も、真夜中に出歩くものは獣か妖怪位。
  少なくとも人の姿が見える筈も無い。」

 
 
夜雀の歌声 〜 Night Bird
 
 [音楽]
 
 Stage2テーマ曲。よすずめのうたごえ
 夜雀は普段は姿を見せない声の妖怪。
  鳥の歌声なんでたがが知れていますが。〜

 (曲解説より)
 
 夜雀は妖怪の類。
 夜の山道を歩いていると時折近くで雀に良く似た鳴声が聞こえてくる。
 地方や話により性質は種々異なるが、
 本作の夜雀はそれら全ての要素を兼ね備えている。
 ●夜雀に憑かれるのは不吉なことである。→妖夢「これは夜雀の鳴き声。最も不吉な音です」
 ●黒い蛾、あるいは蛾の一種とされる。→蛾符紫「羽蟲の王気取り」
 ●山犬あるいは送り狼が現れる前兆。→妖夢「じきに妖怪か何かが集まってきます」
 ●捕まえた者は夜盲症になる。→スペル・夜盲「夜雀の歌」
 しかし、などの蟲系はリグルとかぶることと、夜雀のネーミングから
 本作では基本的に本態は雀のようなとされている。
 梟・木菟・鷹・雀・鳥・小鳥・チキン、など鳥関連の単語の方が
 蛾・天蛾・毒蛾・羽蟲、などの蛾関連よりも多く見られる。
 東方花映塚ではもはや蛾の話題は出てこない。(花映塚は昼間だから?)
 
 そんなわけで、Night Bird、夜の鳥。
 夜雀は夜盲症(とり目)にするだけなので、
 闇を操るルーミアとは異なる質の闇。
 ルーミアのスペル「ナイトバード」も本事典では "night-bird" として区別しております。

 
 
ミスティア・ローレライ
 
 [キャラクター]
 
 Stage2のボス。
 「夜雀の怪」
 夜道に見境無く人間を襲う妖怪。
 夜雀とローレライの特性を持つ。
 その歌声は人を狂わせ、判断力を奪い、
 さらに、視力を落とさせる(夜盲症)。
 しかし、人間にしか効果は無い。
 歌で人を狂わす程度の能力。
  
 ミスティアは "Mystère" だろうか?
 英語の "mystery" にあたるフランス語で、ミスティアと読む。
 実際の外国人名に "Misstear" ミスティアもあることにはある。
 また、myth(神話)・tear(涙)とすれば神話の悲劇っぽい気もする。
 ローレライの悲哀だろうか。神話じゃないけど。
 
 ローレライ(Lorelei または Loreley)は、
 ライン川流域の、川幅が一番狭いところにある突き出た岩山のこと、
 あるいはこの岩の妖精を指し、後者はドイツの伝承に由来する。
 セイレーンの一種ともされる。
 多くの伝承に共通のモチーフとしては、
 不実な恋人に絶望してライン川に身を投げた乙女が水の精となり、
 歌声で猟師を誘惑して破滅へと導くというものである。
 古い伝承ではなく、クレメンス・ブレンターノが創作したものとも言われる。
 
 ちなみにセイレーンは、ギリシア神話の半人半鳥の海の精で、
 美しい歌声で船乗りを誘い、船を難破させる。
 夜雀だけでなく、セイレーン(半人半鳥)もミスティアの鳥要素の元となっているだろうか。
 本当にミスティアは多種要素のごった煮だねぇ。

 
 
もう歌しか聞こえない
 
 [音楽]
 
 ミスティアのテーマ。
 〜ミステリアスな部分と鳥っぽい部分と夜っぽい部分を……、
  ってよく分からないテーマは置かないで、
  可愛い格好良さが出るように創ったもの。〜
 〜勿論、ミスティアの弾幕に引っ掛けた名前。
  歌しか聞こえないのは、歌が魅力的だからではなく、半強制的。〜

 (曲解説より)
 
 夜雀の能力により、歌声を聞いたものは夜盲症となる。
 夜盲症は俗に鳥目とも呼ばれる、夜になると視力が著しく衰えて良く見えなくなる病気。
 鳥目と言っても、夜間に視力を失う鳥は少ない。
 ミスティアも暗い夜道で相手を視認している。
 
 夜盲症は一般にはビタミンA欠乏症であるが、先天性疾患や眼底疾患による場合もある。
 ビタミンA は直接摂取、あるいは摂取されたβ-カロテンが
 体内でビタミンAに変換されて利用される。
 ビタミンAは化学的にはレチノイドと総称される物質群と同義であり、
 狭義にはビタミンAはレチノイドのうちレチノールのみを指す。
 レチノールは生体内で11-cis-レチナールに変換され、
 これが網膜にある光受容器細胞の一種の杆体においてオプシンと言うタンパク質と結合し
 ロドプシンと呼ばれる色素感受性の色素タンパク質となる。
 ロドプシンは可視光線を吸収する性質があり、光エネルギーを受け取ると
 そのエネルギーでロドプシン分子のレチナール部分が異性化し、活性型ロドプシンとなる。
 活性型ロドプシンからG タンパクを介する情報伝達カスケードが刺激され、
 視神経へのシグナルの変化から脳は光の存在を認識する。
 ヒトの網膜には2つのタイプの光受容器細胞が存在し、
 上述の杆体は暗い光に感受性、一方、錐体と呼ばれる細胞は明るい光の下での着色視を司る。
 暗い時には杆体が光検出器なのだが、ビタミンAが欠乏すると回路が動かず、
 つまり、見えない。
 
 と、いろいろ書いてきたが、ミスティアは歌で人を狂わせる能力。
 ビタミンAを操作するというよりも、視神経の神経伝達、あるいは、
 ロドプシンの関わるシグナルカスケードをピンポイントに狂わせるものと思われる。
 もしくは、脳の視覚野に干渉するのだろうか。
 歌や音楽を聞くと、脳の聴覚野だけとか限定された領域のみならず、
 脳全体の種々の領域が活性化するとかいうのを何かで読んだ気がする。
 ミスティアの歌は聴覚を通して脳に干渉し、特に視覚野を阻害するのだろうか。

 
 
声符 「梟の夜鳴声」
 
 [スペル]
 
 ミスティアのスペル。ふくろうのよなきごえ
 ミスティアの周囲に展開された楔弾群が交差系に拡がる。
 
 〜何処からか聴こえるフクロウ)の鳴き声。
  フクロウの眼は怖い。
  発生源がよく判らない弾道がポイント。〜

 (スペル解説より)
 
 ・夜鳴き …「鳥が夜中に鳴くこと」
 
 フクロウは、フクロウ目フクロウ科に分類される鳥。
 全身灰褐色で、目が顔の前面に並び、くちばしは短く鉤状。
 また、フクロウを含め、シロフクロウ、シマフクロウ、アオバズクなどの
 フクロウ科の鳥のうちミミズクを除くものの総称。
 大部分は夜行性。
 夜、羽音をさせずに飛び、小動物を捕食する。
 
 ちなみに、フクロウ目には梟類と夜鷹類が含まれる。

 
 
声符 「木菟咆哮」
 
 [スペル]
 
 ミスティアのスペル。みみずくほうこう
 梟の夜鳴声の上位版。
 Hard, Lunatic にて使用する。
 
 木菟ミミズク)の鳴き声。ミミズクとフクロウは分類学上
  大した違いはないらしい、強いて言えばミミズクの方が格好良い。〜

 (スペル解説より)
 
 ・咆哮 …「猛獣などがほえたけること。また、その声」
 
 ミミズクは、フクロウ目フクロウ科の鳥のうち、
 耳の様に見える羽毛をもつ種の通称。
 オオコノハズクなどを指す。また、単にズクとも呼ばれる。
 フクロウとの分類学状の区別はない。

 
 
蛾符 「天蛾の蠱道」
 
 [スペル]
 
 ミスティアのスペルの一つ。すずめがのこどう
 ミスティアからは自機照準で中玉列が放たれる。
 また、画面上部を使い魔が行き交い、
 その経路上に設置された弾源から楔弾が降り注ぐ。
 
 天蛾スズメガ)が飛んで鱗粉を落とす姿。
  あの威圧感は凄い。天蛾型の戦闘機とかあったら夜戦に丁度良い。〜

 (スペル解説より)
 
 スズメガは、鱗翅目(チョウ目)スズメガ科の昆虫の総称。
 大形の蛾で体は太く流線型をしており、夜行性のものが多い。
 成虫の4枚の翅は体に対して小さく、比較的ほっそりした三角形をしており、
 すばやく羽ばたいて高速で飛行する。
 種類によっては時速50km以上もの移動速度が出せ、飛翔昆虫の中でも一番速い部類に入る。
 翅を羽ばたかせて空中に静止するホバリングも可能。
 一部の成虫の中には発音するものも知られる。
 毒は無い。
 
 むし)とは、ヘビ・サソリ・ムシなど魔力あるいは毒のある生き物を言い、
 特にまじないに用いて人を毒する目的で呪術的に利用される。
 たくさんの蠱を同じ容器に入れて互いに殺しあわせ、
 生き残った毒の強い蠱で作った毒物を蠱毒こどく)と言う。
 蠱毒を用いる呪殺術は古代中国で発達し、日本でも平安時代頃まで盛んに用いられた。
 このような呪殺術を蠱術こじゅつ)あるいは蠱道こどう)と呼ぶ。
 
 Stage1と2で、蠢とか蟲とか蠱とか出てきてますが、
 すみません、小さな字で…。
 
 ミスティアと蛾の関連は「夜雀の歌声」の項を参照。
 夜雀と蛾でスズメガなのであろう。

 
 
毒符 「毒蛾の鱗粉」
猛毒 「毒蛾の暗闇演舞」

 
 [スペル]
 
 ミスティアのスペルの二つ。どくがのりんぷん、および、どくがのくらやみえんぶ
 天蛾の蠱道の上位版。
 毒符はHard、猛毒はLunatic で使用してくる。
 使い魔から落とされる楔弾が、曲線を描いて左右から襲いかかる。
 
 鱗粉が毒を持ち、人間に襲い掛かる。
  そもそも蛾の翅の斑紋は毒々しい。素敵。〜
 〜鱗粉で人間を殺すくらいの猛毒の蛾は居るのだろうか。
  幼虫の時から冶葛を食す猛毒の妖怪蛾。幻想郷なら居るかも。〜

 (スペル解説より)
 
 ・鱗粉 …「チョウ・ガなどの体や翅を覆う微小な細片」
 ・演舞 …「舞を舞って多くの人に見せること。また、舞を練習すること」
 
 毒蛾は、鱗翅目(チョウ目)ドクガ科の昆虫の総称。
 中型の蛾で、夜行性。
 細かい毒針毛(どくしんもう)を持つため、人が触れると皮膚炎を起こす。
 
 スペル解説中の「冶葛(やかつ)」は、ゲルセミウム・エレガンスのこと。
 胡蔓草、シュア・ノーツア、野葛、秦鉤吻、毒根、冶葛、黄野葛、除辛、吻莽、断腸草、
 黄藤、爛腸草、朝陽草、大茶薬、虎狼草、黄花苦晩藤、黄猛菜、大茶藤、大炮葉、苦晩公、
 荷班薬、発冷藤、大茶葉、藤黄、大鶏苦蔓、羊帯帰。
 これらは全て、学名・Gelsemium elegans の一般名ないしは俗称である。
 ゲルセミン、コウミンなど多様なゲルセミウムアルカロイドを含み、
 中でもゲルセミン、ゲルセミシンが毒性の本体と考えられるアルカロイドで、
 根と葉の毒性が最も大きく、毒性が強いことで知られる。
 古来より毒殺に用いられた猛毒だが、神経痛やリウマチ、打ち身などへの外用も可能。
 正倉院には冶葛とその専用容器である冶葛壺が現存している。
 ゲルセミウムアルカロイドは中枢毒性を示し、脊髄運動ニューロンが麻痺し、
 全身筋肉の弱化、特に呼吸困難、呼吸麻痺が起こる。
 ストリキニーネと類似の神経毒。
 ストリキニーネはアガサ・クリスティの作品にしばしば登場する毒物である。
 冶葛の毒では呼吸困難で窒息死するわけだから、致死量を摂取した場合の苦しみは凄まじく、
 断腸草という呼び名もそこから取られたものと思われる。

 
 
鷹符 「イルスタードダイブ」
 
 [スペル]
 
 ミスティアのスペルの一つ。
 ミスティアから放射された使い魔群が経路上に点々と弾丸を配置、
 設置された弾丸からは主に自機狙いで線形に飛来する青楔弾群
 あるいは覆いかぶさる様に飛来する赤楔弾群が展開される。
 
 鷹の襲撃
  ……にしては速度は遅い。〜
 〜夜の鷹、っていうとちょっとアレな意味になってしまう。
  ミスティアはそっち方面とは関係ありませんよ。〜

 (スペル解説より)
 
 ・ill-starred …「星回りの悪い、めぐり合わせの悪い、不幸な、不運な」
 ・dive …「飛び込む、潜る、急降下する、突進する」
 
 Ill-starred Dive.
 「不幸なる身投げ」
 ローレライが水の精になる前、元は
 不実な恋人に絶望してライン川に身を投げた乙女であったことに基づくと思われる。
 星の巡り、運命を儚んでの投身自殺。
 
 投身の「ダイブ」に、鳥などが獲物めがけて急降下する意味の「ダイブ」をかけたもの。
 タカ目タカ科のオオタカ、ハイタカ、ならびにタカ目ハヤブサ科のハヤブサは
 優れたハンターであり、昼行性の猛禽類。
 ちなみにフクロウなどは夜行性の猛禽類。
 特にハヤブサは飛翔速度が速く、降下時の最高速度は時速200〜300kmに達すると言われる。
 スピードを活かし、上空から高速滑空し、小型〜中型鳥類を足で蹴落とし、
 死亡あるいは失神状態の獲物を空中キャッチする。
 それに対してオオタカなどは旋回能力に優れるため、林の中などでの狩を得意としている。
 
 ちなみに、
 夜鷹と言えば、フクロウ目ヨタカ科の鳥類だが、
 スペル解説にあるようにアレな意味も含まれる。

 
 
夜盲 「夜雀の歌」
 
 [スペル]
 
 ミスティアのスペルの一つ。よすずめのうた
 夜雀の能力が本領を発揮、自機周囲以外は闇に包まれる夜盲症。
 ミスティアから放たれた使い魔が中玉を配置してゆき、
 中玉から楔弾群が一斉に展開される。
 
 夜雀たるミスティアの得意技。
  昔からヤツメウナギを食べると直ると言われてるが、
  実際にビタミンAが豊富で効くらしい。〜
 〜夜雀の姿を昼間に見ると夜盲になるといわれている。〜
 (スペル解説より)

 
 
夜雀 「真夜中のコーラスマスター」
 
 [スペル]
 
 ミスティアのラストスペル。
 夜盲症発動に加え、弾丸列を多量に放射、
 その後、自機に向けて使い魔群を放つ。
 使い魔群は経路上に中玉を配置、中玉はしばらく後に使い魔と同じ方向に移動する。
 
 コーラスマスターとは指揮者の事。
  実はミスティアの歌ではなく、使い魔たちの合唱というオチ。
  真夜中の指揮者って書くと、別に何にも怖くない。
  コーラスマスターでも怖くない。最初から怖くない。
  というか、夜雀じゃ怖くない?
  まぁ、二面のボスだしねぇ。〜
 (スペル解説より)
 
 ・chorus master …「合唱指揮者」



 項目 / 自機 / Stage1 / Stage2 / Stage3 / Stage4A / Stage4B /

 Stage5 / Stage6A / Stage6B / ED / Extra / LastWord / Acknowledgements & References /

補遺:「永夜考」 / 補遺:「東方竹取考」 / 補遺:「ルナリアン考」

「東方備望録」TOPに戻る