Level 4 [ステージ] 全9シーン。 うちスペルカードは8種。 ステージは花映塚の「無名の丘」。 被写体は、 鈴仙・優曇華院・イナバ、コードネーム:視界を揺さぶる妖怪兎 メディスン・メランコリー、コードネーム:体に優しくない人形 因幡てゐ、コードネーム:飛び跳ねる兎の大群 の3名。
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霧符
「ガシングガーデン」 [スペル] メディスンのスペル。 カラフル米弾を多量に放射し続けつつ、自機照準3WAYで毒霧を放つ。 撮影成功4枚で強化一段階。 米弾の弾速が増す。 ・gas
…「ガスが抜ける。長々としゃべる。ガスを供給する。毒ガスで殺す」 Gassing
Garden. 「ガス殺の花園」 無名の丘の毒草群から 抽出した毒素を毒霧と化し攻撃。 おまけの同音解釈↓ ・gushing
…「あふれ出る、ほとばしる」 Gushing
Garden. 「(毒が)噴出する園」 植物毒が集まり、毒霧と化すのは メディスンの能力によるもの。 自然現象では起こり得ない。
参考 「SPACE ALC」(gas、gushing)
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脱兎
「フラスターエスケープ」 [スペル] てゐのスペル。 自機方向を基準に6WAYの弧を描く米弾列を放つ。 米弾は画面上端ならびに左右端で反射する。 撮影成功毎に多段階強化。 WAY数が2ずつ増大する。 ・fluster …「混乱。狼狽。動揺」 ・脱兎
…「逃げていくウサギ。非常に速いことのたとえ」 Fluster
Escape. 「狼狽脱兎」 慌てふためき、高速で逃走する兎の大群。 混乱のあまり方向を失い、文や画面端に突進してしまう。 というか、文から逃げているのか、てゐから逃げているのか。 「不思議の国のアリス」では、 アリスから不意に声をかけられた白うさぎは驚き、 手荷物を落として慌てて逃げて行く。
参考 「SPACE ALC」(fluster) 「Yahoo!辞書」(脱兎)
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散符
「朧月花栞(ロケット・イン・ミスト)」 [スペル] 鈴仙のスペル。(
)内は読み仮名。 自機方向を基準に、鈴仙の周囲に5箇所の弾源が出現。 弾源からは自機方向、その真逆、ならびにそれらに直交する、計4方向へ 高速銃弾列が連射される。 狂気の瞳の作用により、銃弾は進行方向に対して左右に平行移動する。 狂気の作用の間は銃弾はすべて幻視となり、当たり判定も無くなる。 撮影成功4枚で強化一段階。 弾列発射から狂気発動までが短くなる。 ・朧月(おぼろづき、ろうげつ)…「水蒸気に包まれて、柔らかくかすんで見える春の夜の月」 ・月花(げっか、つきはな)…「月の光、月光。月と花。月と花に代表される風雅な物事」 ・栞(しおり)…「紙・布・革などで作り、書物の間に挟んで目印とするもの。簡単な手引書。 山道などで、木の枝を折って道しるべとすること。」 朧月は春の季語である。 春の花を栞に書をたしなむ風流…かな。 また、「しおり(撓り)」は蕉風俳諧の根本理念の一つで、 対象に対する作者の繊細な感情が、自然に余情として句にあらわれたものを言う。 「花栞」で見れば 楽曲「アルプスの花栞」「礼文の花栞」 句集「花栞」、歌集「花栞」などがある。 また、池田英泉(渓斎英泉)の書に「朧月花の栞」がある。 英泉は美人画や風景画を描いた浮世絵師で、 葛飾北斎の画法に倣い独学を積んだことや歌川広重との合作でも知られる。 晩年は一筆庵可候の名で文筆業に専念した。 ・rocket
…「ロケット、ロケット弾、のろし、打ち上げ花火。ハナダイコン」 ・mist
…「霧、霞、靄。霧状のもの、霧雨、蒸気。ぼんやりさせるもの、はっきりしないこと」 ・ロケット
…「推進剤を燃焼させ、噴出するガスの反動によって前進する装置。 また、それで推進される飛行体。ロケットサラダ」 Rocket in
Mist. 「霧のロケット」 近代のロケットは20世紀に研究・開発が大いに進み、 1969年にはアポロ11号が初めて人類を月へと到達させたロケットとなった。 宇宙開発競争は冷戦下の大国の対立が加速させたようなものである。 発射煙の向こうの、反射光も朧な金属体。 Rocket in
Mist. 「春霞の蘿蔔」 ロケットは、ロケットサラダこと黄花蘿蔔(きばなすずしろ)の異称でもある。 蘿蔔はいわゆる大根であり、春の七草の一。 黄花蘿蔔は四枚の花弁が十字を描く。 弾速は文字通りロケットを、弾幕形状は黄花蘿蔔を模したものだろうか。 朧なる月の春の風情の下、白く映えるは蘿蔔の花。 関連:「幻朧月睨(ルナティックレッドアイズ)」、ヴォヤージュ1969、天呪「アポロ13」
参考 「Yahoo!辞書」(朧月、月花、しおり、ロケット) 「SPACE
ALC」(rocket、mist) 「Wikipedia」(栞、渓斎英泉、ロケット) 「季節の花 300」(ロケットサラダ) 「成田山仏教図書館蔵書目録」(朧月花の栞)
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毒符
「ポイズンブレス」 [スペル] メディスンのスペル。 メディスンから砲塔を巡らせつつ4方向に米弾が放たれ続ける回り弾幕。 米弾の巡りとは逆回転に毒霧が撒かれる。 撮影成功毎に多段階強化。 米弾のWAY数が増し、自機の可動域が狭まる。 Poison
Breath. 「有毒吐息」 RPGなどではおなじみのポイズンブレス、あるいは毒の息。 呼吸(breath)は、魂・精神・生命力の象徴であり "breath"
は「生命・生命力」の意に用いられることもある。 人形に魂が宿り意識が生じ、 満たされた毒を媒介に身体を随意に動かす、 自立した妖怪としての存在がメディスンである。
参考 「ジーニアス英和辞典」(breath)
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波符
「幻の月(インビジブルハーフムーン)」 [スペル] 鈴仙のスペル。(
)内は読み仮名。 鈴仙から64WAY全方位銃弾列が放たれる。 狂気の瞳の作用により、銃弾は拡散しつつベクトルを変え、 交差状に飛散する。 その後、鈴仙は移動しながら自機照準10WAY楕円弾を12乱射する。 狂気の作用の間は銃弾はすべて幻視となり当たり判定を失うが、 楕円弾は狂気の影響を受けない。 撮影成功毎に多段階強化。 楕円弾のWAY数が2ずつ増大。 Invisible Half
Moon. 「月の見えざる半球」 月は自転周期と公転周期が一致している。 そのため、地球に対しては常に一方の面のみを向け、 いわゆる月の裏側を地球上から直接観測する事は不可能である。 球体としての月のうち、裏側半分(正確には41%)は不可視、 それがインビジブルハーフムーンということだろうか。 この特質は、SFにおいてよく利用されてきており、 月の裏側に基地を構える宇宙人や、外宇宙に対する地球の前線基地など いくつものSFでは重要な拠点となる。 東方シリーズにおいては、月人がひっそりと暮らしているのが 月の裏側である。 月には「海」と呼ばれる、濃い色の玄武岩で覆われた平地がある。 地球から月を見て、兎に見えるとか蟹に見えるとか言われる模様の元だが、 月の海は、月の裏にはあまり見受けられない。 また、月の資源として注目されるヘリウム3は裏側に集中しているとする考えもある。 月の表側と裏側では、その表情は大きく異なると言える。 裏側、月軌道から見れば外側とも言えるが、こちらはむき出しで、 太陽風をよく受け、クレーターの数も多い。 一方で表側、内側は地球の陰に入る事もあり、 太陽風や宇宙塵から遮蔽される機会が多い、というように環境が異なる。 表面を覆う物質の分布や組成が異なるため 月光の明るさや含まれる狂気も、表側のビジブルハーフムーンとは違うかも。 関連 「狂気の瞳 〜Invisible Full
Moon」、散符「真実の月(インビジブルフルムーン)」
参考 「Wikipedia」(月、月の海、月の植民)
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譫妄
「イントゥデリリウム」 [スペル] メディスンのスペル。 毒霧一層と多量の中玉&大玉を全方位に撒き散らす。 撮影成功3枚で強化一段階。 弾群を放つインターバルが短くなる。 ・delirium
…「狂乱状態、幻覚症状、精神錯乱、興奮」 ・譫妄(せんもう)…「外界からの刺激に対する反応が鈍り、錯覚・妄想・麻痺等を起こす意識障害」 譫妄(delirium)は、急性脳症候群の主型とされ、 意識混濁・幻覚・不安などが加わった特殊な意識障害である。 強い不安・恐慌、激しい体動、幻覚の出現、記憶障害などが見られる。 特に注意力の低下が特徴的で、可逆的な病態。 電解質異常や感染症、チアミン(ビタミンB1)欠乏、ある種の薬物中毒や 脳血管性障害などが原因で発症する。 アルコール中毒やアルコール離脱によっても引き起こされ、 特に禁酒後数日で出現する強度の禁断症状の譫妄を アルコール譫妄あるいは振戦譫妄(delirium
tremens)などと分類する。 自律神経亢進症状を呈し、全身性の粗大な振戦をみる。 Into
Delirium. 「譫妄に陥って」 譫妄が薬物により引き起こされるケースとしては、 レボドパやリチウム、抗コリン薬、アルコール、睡眠薬など 中枢神経に作用する薬物の幾つかで見られる。 毒を操るメディスンによる、譫妄を特異的に起こす化合物の放散。 「幻覚と言えばデリリウム。」 ZUN氏の日記(博麗幻想書譜)を見られる方はよくご存知の通り 「デリリウム」がしばしば登場する。 デリリウムはベルギービールの著名な銘柄の一つ。 ZUN氏は2005年末からデリリウムのグラスも愛用している模様。 グラスに書かれる
"DELIRIUM tremens"
については上記参照。 ピンクの象。
参考 「SPACE ALC」(delirium) 「Yahoo!辞書」(譫妄) 「精神科ノート」(譫妄 delirium) 「Wikipedia」(ベルギービール) 「上海アリス幻樂団」> 博麗幻想書譜
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借符
「大穴牟遅様の薬」 [スペル] てゐのスペル。おおなむちさまのくすり。 自機方向を基準に全方向へ、弧を描く楕円弾列14WAYを放つ。 楕円弾は画面上端ならびに左右端で反射する。 撮影成功3枚以降、撮影成功毎に多段階強化。 WAY数が2ずつ増大。 大穴牟遅は、日本神話の中で出雲神話に登場する大国主の、若い頃の名。 その他にも多くの別名を持つ神である。 稲羽之素兎に登場し、外傷に苦しむ兎に治療法を伝えたことで知られる。 詳細は、東方永夜抄事典・因幡てゐの項目を参照。 大穴牟遅の薬は、蒲(がま)の花粉である。 蒲の花粉は「蒲黄(ほおう)」という生薬名で知られる。 外用で消炎、止血作用、内服で利尿作用が期待される。 その恩義・援助を受けて報いをしていないため「借り」。 弾幕形状はフラスターエスケープの発展形にして てゐの近距離域に限れば蒲の葉を模しているとも思える。
参考 「Yahoo!辞書」(借り) 「Wikipedia」(大国主、因幡の白兎、ガマ) 「季節の花 300」(蒲)
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狂夢
「風狂の夢(ドリームワールド)」 [スペル] 鈴仙のスペル。(
)内は読み仮名。 鈴仙から全方位44WAYの銃弾列が展開される。 銃弾列はそれぞれ歪な弧を描き、 全体でフレイザー図形に似た紋様を模る。 狂気の瞳の作用により場に存在する銃弾は全て虚像となり当たり判定を失うため それらが予告線のような役割を果たす。 撮影枚数に応じた強化は無い。 ・風狂
…「気が狂うこと。狂気。風雅に徹し他を顧みないこと。また、その人」 ・dream
world …「空想の世界」 風狂は仏教用語にもあり、仏教で本来は破戒と取られる戒律を逸した行動を 肯定的に評価する意味で用いられる。 中国仏教、特に禅宗で重要視され、禅宗と共に日本に伝わったとされる。 本来は瘋癲(ふうてん)と同義語である。(寅さんのフーテン。(風神の類の風天とは違う)) 江戸時代に入り、松尾芭蕉の俳諧に用いられるようになり、 風雅で世俗を超越したさまを言う、風流と同義語の様に扱われるようになった。 バンコクやオーストラリアのテーマパークや遊園地として ドリームワールドが実在する。 千葉市動物公園に併設の遊園地も同じくドリームワールドである。 風太〜! フレイザー図形あるいはフレイザー錯視は イギリスの心理学者フレイザーが発表したパターンで、角度・方向錯視を起こす図形である。 錯視の王様とも呼ばれるそうで、 「錯視の科学ハンドブック」(東京大学出版会)では表紙を飾っている。 本スペルは、フレイザー図形から渦巻きに錯覚する同心円が除かれているが、 この形状もより密になれば渦巻き錯視となる。 ちなみに、鈴仙の背景演出も錯視に由来すると考えられる。 錯視の狂気が視覚を介して精神を揺さぶる。
参考 「Yahoo!辞書」(風狂) 「Wikipedia」(風狂、錯視、ドリームワールド) 「北岡明佳の錯視のページ」> 渦巻き錯視、錯視本 「錯視―視覚の錯覚」>フレイザー
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